日本公開を考えてタイトルつけれんか~という理不尽なツッコミをしつつ、思ったよりも好きな感じのゾンビものパロディ映画だった、63点
バーでハメを外して知らんイケメンの家で目が覚めたテレビカメラウーマンのデブ(デボラの略称)が男からさっさと家から追い出されると外はゾンビだらけに。イケメンと手を組み逃避行の末、イケメンの家に逃げ込むも実はこの騒動がイケメンの実家の問題だったことが分かり再び逃走、自警団による街の封鎖から逃げ出したりしつつテレビで街の実情を訴えたデブはなんだかんだで助かるのだった。
と、いうわけでデブっていうのは肥満体のデブじゃなくてデボラのデブで日本の配給会社がもうなんでもええわ!とヤケクソになってこのタイトルを付けたわけではなく、原題も「NIGHT OF THE LIVING DEB」という出会いがしらの特大ノイズ。冒頭のバーのシーンでデブ(主人公)とデブ(肥満体)が一緒に飲んでるところから始まるから余計に混乱する。
で、この作品を完走できるかどうかはこのデブをどう感じるかによる。っていうかこの作品に出てくる奴ら全員ちょっとっていうかだいぶおかしくてその中でも主人公であるデブは自信過剰で自意識過剰で空気が読めないイカれたクソポジティブオタクっていうドカ盛り属性でメチャクチャウザい。こいつをウザ面白いと思えなかったら90分もたないと思う。
一方でヒロインになるイケメンも過剰に意識高い系で顔に自信がありすぎるし、なんか常に髪を直してる。これは日本でいうところのアイドル主演映画で顔には汚しが入るのに髪がサラサラみたいなののアメリカ版パロディなんだろうな。
感じ悪い金持ちや権力者、なんか調子乗ってる自警団気取りの奴らと映画あるあるがどんどん登場する。
そんなこんなであるあるネタでカリカチュアされすぎた奴らがゾンビ映画をパロディし続ける映画。
笑いもしょうもない小ネタをひたすら重ねていくスタイルで本当にバカバカしいし不謹慎。
例えば、隣人の老人の様子を見に行くと死んでいる。それを見たデブは老人の手をそっと胸の上に直して顔に手を置き瞼を引き上げる。イケメンが「なんで目を開けさせたの?普通は閉じるだろ」と突っ込んで目を閉じさせるもデブは「天に昇っていくさまを表している」と目を開けさせる、対抗して閉じさせるイケメン、また開けさせるデブ。といった「死体の目を閉じさせるシーン」パロを延々とやったりする。
他には車で逃げだしたデブがなぜか蛇行運転してわざとゾンビを轢きまくりながら「イエーイ!40ポイント!」とか言いながら爆走するシーンとかもシンプルイカれてるし、そこでイケメンが「もし治療方法が見つかったらどうするんだ!」と諫めるのも、言われてみれば確かにその視点なかったなと思わされる。
パロディ要素を抜くとバカみたいにスカスカの映画なんだけど、撮った人はゾンビ映画好きなんだろうなっていうのがかなり伝わってきてよかった。
スカスカの中でもモテずに生きてきたオタクのデブが逃避行を通じてイケメンといい感じになって気持ちが通じ合い、最終的にテレビ局から街の外にメッセージを送るシーンは結構よくて。いかにもオタク女子みたいな服装だったデブがキャスターのドレスを身にまといヘアメイクもバッチリして(誰がやったんだ)、カメラに挑む。
「コストを払ってまで私たち2人を助ける必要があるのかという疑問はあると思う。でも、こんなひどい状況でも真実の愛を私たちは見つけた。だから最初の疑問への答えはYesよ。みんなは私たちを助けるべきよ」というような演説をする。いや、どういうことだよ!と思いつつも「コスト」じゃなくて「愛」で助け合うのが人間だと、利己的の塊のデブがポジティブを貫き通したメッセージはなんか妙な説得力があってよかった。
しかしその後、後ろから洗われたゾンビにデブは肩を噛まれてしまいその様子もテレビ中継される。
そして街の外ではTikTokやテレビであの映像は本当かどうかを自称有識者らが話し合い、ご意見表明し、助けるべきかどうかの議論が活発化し挙句の果てには「デブの雄姿を見て私も勇気を出して彼にプロポーズしたの!」と隙あらば自分語りはじめるバカまで現れててんやわんや。ここ好きポイント。
で、結局噛まれたデブは助かるんだけど、これ意外にちゃんと考えて作られてたなってなるのが「ゾンビは人を食べる」は描かれてるけど「噛まれた人がゾンビになる」は作中で一切描かれてない。「噛まれること」と「ゾンビになる」は別問題だったという驚愕のオチが出てくるんだけど、これも言われてみれば確かにそうだなって。
そして救助隊に「ゾンビだからって先入観で見ちゃダメだよ。それともゾンビヘイト?」ってイケメンが窘められて、イケメンが「そんなわけないだろ、俺の友達にもゾンビはいるし」とまさかの「I have black friends」構文で返すという展開も嫌いじゃない。
そんなこんなで低予算ながらも徹底的にゾンビ映画や社会をパロディしたいい意味でしょうもない映画。正直、映像としての見応えはあんまないし、特殊メイクは明らかにヘタクソだけど主人公たちを楽しく観察できるならそこまで悪い映画でもなかったかな。