雑草の言葉

人口バブルと食料バブル

2013/04/23
食料と人口 4
国連の世界人口の推計は、2100年におよそ100億人となっています。そしてその100億人を養う為の食料増産が必要だと・・農業ビジネス企業などが述べています。この辺りの数値は、かなりアバウトで不確実です。人口100億と言う数値の誤差範囲もかなり広いでしょう。
  現実的には、現在も何億人もの人々が飢えているのは、世界人口の増加に食料増産が追い付かないからでは無く、食糧分配の偏りによるものだと言う方が的確でしょう。即ち、一人あたりの食料は明らかに増えているのです。それなのに富の分配の不公平によって、食料を十分に買えない貧しい層が沢山現れ、さらに悪い事に、その貧しい層…小作人達・・が、産業による土地の囲い込みによって土地を追い出され、自給的農業も出来なくなって、食料は購入しなければ買えなくなったからです。
 しかしそれ以前に、「増加する人口を養う為に食料増産は必要だ」と言う事はかなりおかしな発想ではないでしょうか?百歩譲って、人口の増加に食料生産が追い付かないと言う、政府や多国籍農業ビジネス企業などの言う通りだとしても、食料の増産によってますます人口は増えるばかりでしょう。そして、更に食料生産を増やせばまた人口が増える・・と言うイタチごっこを繰り返すでしょう・・・悪循環です。しかしそれも永久に繰り返すわけではありません。地球は有限ですから、ある一定量・・・限界の量からは、人口も食料生産も増やす事は出来ません。増加する人口に追いつく為に集約的化学農業に移行すると言う事は、人口と食糧増産の発散的スパイラルに陥り、最後は限界に達して、非常に大量の食料不足と数多くの飢餓をもたらす事になりましょう。更に悪い事に、化学農業は、持続可能ではありませんから、土地の生産量は落ちてきます。生産性が落ちないように化学肥料や農薬を使えば使うほど、農地は疲弊します。その場限りの「一時凌ぎ」で生産性が上がっても、そのうちに生産性も下がってきて、最後に耕地は砂漠化するのです。
 この典型的な例が「緑の革命」でしょう。途上国を中心に、高収量品種を植えて、肥料を大量に投入し、従来よりも遥かに土地の生産性を上げて、作物の増産に成功しましたが、これによって途上国の農業は世界市場の中に組み込まれました。そして、毎年毎年より強い化学肥料、より強い農薬を用いなければ土地の生産性は下がる一方・・と言う悪循環に陥っています。緑の革命は「一時的な食料増産バブル」だったのです。この「一時的な食料増産バブル」を再び起こそうとしているのがモンサントを始めとした多国籍農業ビジネス企業と言えましょう。
永遠の経済成長が不可能なように、当然、限りない人口増加も不可能で、限りない食料増産も不可能です。持続可能な社会の条件は、食料も人口も安定している事でしょう。「増加する人口を養う為に食料増産は必要だ」等と言う詭弁に惑わされないようにしなければなりません。
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Comments 4

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団塊親爺の遺言

野生動物とどんぐり

もの心が付いた60年程前の山里は

どんぐり等の木が多くそれらの葉を
プールの冬のシバレ防止に全校生徒で
大きな袋一杯担ぎプールを護る為の秋の
行楽行事でした 木の実の豊富な昔は
山葡萄やコクアの実が其処ここに在り
森林に棲む生き物たちも多く川にも小魚や
鮭が上り、戦後の食糧難を乗り越えました
自然に対し人間の考え方は利益追求方に陥り
画一的な森林に変貌し様々な弊害が発生
食べ物が無くなった生き物は町中に餌を求める
様に・・人間にも花粉症等のアレルギーが増え
一部の人の都合の良い策に無知な私たちは囚われ
自然環境よりも経済と・・食べ物も不自然な
化学実験から産まれたものを食べる時代に・・
自然の恵みの豊かさを知らない人々が増え
画一的な社会構造の中で利益が吸い上げられる
今の仕組みは私たちを隷属させ様とするものです

今、私達は食べ物をスーパー等で切り身として購入
していますが 奇形のものが発生しても切り身では
判らず 頭が2つ在る魚や病気の家畜の肉を食べさ
れても育て方を見ていない私達には判りません
今の家畜施設には全く窓が無い施設が増え太陽さえ
浴びる事の無い生き物が食べ物として提供されます

そして病気に・・医者や薬だ
そんなもの直す薬はこの世に在りません

高齢者が癌に懸った時 治療しなければ
枯れる様に亡くなるそうです

抗がん剤や薬物治療の場合
苦しみながら亡くなる

私は昔ながらの一粒の種を播き
自然の恵みを育て 生きようと想います 

2013/04/25 (Thu) 11:35

guyver1092

増加する人口・・・

 「増加する人口を養うために・・・」と言う人は、地球の面積は無限大と考えているのでしょうね。発想が完全に経済成長中心です。このような発想する人間がいるからこそ、資本主義が発達するのでしょうし、発達することによって資本主義が自滅するのでしょう。
 人類は、第一次及び第二次世界大戦の前に世界規模の経済システムの崩壊を経験していますが、この次の経済システム崩壊は、地球の生態系の限界に突き当たることによる成長の限界と重なる可能性が非常に高いのではと考えています。

2013/04/25 (Thu) 22:04

雑草Z

Re:野生動物とどんぐり

    団塊親爺の遺言さんのコメントを読んでいると、昔に戻れてやり直せたらどんなにいいかと思います。
>木の実の豊富な昔は 山葡萄やコクアの実が其処ここに在り 森林に棲む生き物たちも多く 川にも小魚や鮭が上り、

団塊親爺の遺言さんが描かれたこのような情景、とてもいいですね。今では郷愁的な情景になろうとしていて寂しい限りです。

>自然の恵みの豊かさを知らない人々が増え
>一部の人の都合の良い策に無知な私たちは囚われ

これは非常に由々しき事ですね。いつまでもコンビニに行けば食料が手に入ると思っていたら痛いしっぺ返しに合いますね。やはり、野山で野生の実りを採る経験は大切だと思います。
戦後日本は、林野の行政も食料の行政も明らかに誤った道を歩んでいます。
 私の子供の頃も、山と言わず、ちょっとした林にも、栗やどんぐりやとちの木のような広葉樹が沢山あり、生態系は豊かでした。桑や木苺もここそこにあり、学校帰りにも実を取って舌が黒くなるほど食べました。戦後の杉の木の植樹は明らかに失敗ですね。非常に軽率な政策だったと思います。

>治療しなければ枯れる様に亡くなるそうです

野生の植物は腐らずに枯れますね。人間も老衰で枯れるように亡くなるのが理想かも知れません。

>私は昔ながらの一粒の種を播き自然の恵みを育て 生きようと想います

いいですね。やはり種は自家採種して、出来るだけ作物は種から育てたいものです。 

2013/04/27 (Sat) 11:07

雑草Z

Re:増加する人口・・・

    guyver1092さん

 仰る通り、
、「増加する人口を養う為に食料増産は必要だ」
と言っている連中は、地球の大きさ、キャパの有限性を無視していますね。多くの経済学者も然りですが、このような理性の無い方々・・・「理性が無い」と言うよりも「理性に富に対する欲望が勝った方々」と言うべきでしょうか?・・・が政治に口出しするのは大変危険な事です。このような方々だけを隔離して彼らだけでマネーゲームをして欲しいものです。・・・搾取する対象がいなくなるので直ぐにゼロサムゲームだと気が付くでしょう・・・そう、彼等は「搾取する相手」あっての経済成長ですね。

>この次の経済システム崩壊は、地球の生態系の限界に突き当たることによる成長の限界と重なる可能性が非常に高いのではと考えています。

はい、賛同致します。私も全く同様に考えています。・・この辺りは我々の共通理解の部分ですね。・・恐ろしい未来予想図です。何とかして避けなければなりませんが・・・。

2013/04/27 (Sat) 11:17
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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