雑草の言葉

経済成長は格差を是正しない

2008/01/29
Economic Fascism 10
 日本に限らず、世界中で格差問題が顕著になってきています。日本、アメリカ、中国、インド、ロシア・・・それぞれの国内でも個人的な経済格差は開いていますし、国同士を比べても、経済的に豊かな国と貧しい国の格差は開いています。

 貧困問題の解決策には、経済成長が必要だ、経済成長による解決以外に解決策はない・・と信じている人は、(この20世紀になっても)いまだに沢山います・・沢山と言うより主流でしょう。 

 20世紀は、工業の発展が牽引力となり、経済も驚異的に伸びましたが、経済的に大変豊かになったのは、一部の国々、一部の人々です。20世紀は経済成長の世紀でありましたが、貧富の差がより大きくなった世紀でもあります。経済が成長することで貧富の差はさらに広がってきたという厳然たる事実があるのです。
 国連開発機構[UNDP]によるデータも、最も豊かな国に住む20%の人々と、最も貧しい国に住む20パーセントの一人当たりの所得の比は、1960は30倍だったのが、1995年には82倍になっていたなど、格差が増えたと言うデータばかりです。

 それでも、各国政府や財界人、マスコミなど多くの分野の人々が出してくる格差是正策の対策の多くが、経済成長の方策ですから笑うしかありません。
 このような対策を出してくる人々は、自らが富裕層か、支配層である富裕層の御用団体に属しているのではないでしょうか?でなければ本当の馬鹿です。
 一国の最高指導者や経済界の代表者まで、経済成長こそ格差是正の方策だという人々は、信頼出来る筈がありません。・・・第一経済成長は、大きな環境の犠牲の上に成り立ちますし、それでも持続は出来ません。


 普通に考えれば、経済成長は・・・少なくとも、現在の経済システムによる成長は、格差問題を是正するどころか、格差を助長させることは明らかではないでしょうか?

 経済的に豊かな人々のほうが、貧しい人々より、資源を占有したり、新しい技術を導入したり、市況を左右したりして財産を殖やしていく事は遥かに簡単でしょう。

 現在の市場経済は、弱肉強食とも言えるもので、その名の通り、強い者である富める者が、弱者である貧しい人々から搾取しているわけですから、格差は是正どころか増えていくのは当然です。豊かな先進国は、貧しい人々、国に多大な債務を負わせて、ずっと支配していく構造を作ってきたのです。現在それをグローバル経済が強化しているわけです。WTOも、その支配体制を助長しているだけです。
 個人レベルで言えば、最高税率も引き下げられ、累進課税の率も下がってきて、金持ち優遇策になっているのは、政治家と富裕層の癒着でしょう。民主主義とは言いますが、選挙にはお金がかかり、金の力で政治を左右出来るのです。 


 つまり、弱肉強食の経済システムは、弱い貧しいものに不利、富める強者に有利に出来ているから、富めるものはさらに富み、貧しいものはさらに貧しくなると言うフィードバック構造になっているのです。


 ごく当然の事ですが、富が公平に分配されれば、経済的格差問題は解決するのです。
経済成長よりも、社会主義的政策のほうがよっぽど格差是正になるでしょう。

普通に考えられる格差是正策は
 貧しいものの生活の保証をするセイフティネットの充実や、累進課税の強化、贅沢品への重い課税、教育などの機会均など・・でしょう。・・・必ずしもそれらがすべて有効とは言えませんが、経済成長よりは、遥かにまともな政策でしょう。

 
  経済成長が格差是正の有効手段である筈がありません。
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Comments 10

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sitb

格差是正策をする理由が良く分かりません。
格差が広がっても、最も貧しい人の富が増えるのであれば問題ないのではないでしょうか?
結局、経済成長が環境に害を与えているから経済成長戦略自体がだめということでしょうか?
環境の数値化困難などの理由で今は導入さえていませんが、環境に害を与えるのを経済のマイナス成長と捉える考え方もあるようです。
あと、日本は世界の中でも格差が2番目くらいに少ない国だったと思います。ですから、もう少し能力別に評価する仕組みはあってもいいと思います。

2008/01/29 (Tue) 11:08

nao

そもそも食べて子孫を残す為に動物は生まれて来たのですから(笑)。
その中で人類だけが欲望を持ってしまいました。贅沢もそこそこならば経済成長も必要でしが現代世界は強者が弱者から収奪するシステムに変わってしまっています。こんなシステムがいつまでも続く訳が無くいつかは破綻するでしょうが、その被害を真っ先に浴びるのも又、貧しい人々です。

2008/01/29 (Tue) 15:01

雑草Z

ちょっと外した御質問です。

    sitbさん

>日本は世界の中でも格差が2番目くらいに少ない国だったと思います。

いつの時代のお話ですか?日本の格差は、ここ数年でどんどん進み、2年ほど前にアメリカに次いで2位になったと言われます。但し格差の定義も調べ方もあいまいですから、格差世界2位とは言い切れないでしょうが、格差が2番目くらいに少ないと言うことはないでしょう。


>格差是正策をする理由

 不公平だからです。同じだけ(時間や労働量)働いて、収入が10倍も100倍も違うのはおかしいでしょう?悪平等の必要はありませんが、例えば同じ仕事で正規雇用と派遣の待遇の違いはかなり不平等です。
勿論セイフティネットはもっと充実させるべきでしょう。

>経済成長戦略自体がだめということでしょうか?

 そういう事も言えます。成長には限界があります。あなたの身長だって体重だって、増え続けることはないでしょうし、増え続けたら大変です。

<以下略>

2008/01/29 (Tue) 21:35

雑草Z

ずるい卑劣な奴が、正直者から搾取するシステム

    naoさん

 歴史的にも、自由市場主義経済は、格差を助長する仕組みになっているのが明らかです。その理由は本文に書いたように
富めるものはさらに富み、貧しいものはさらに貧しくなると言うフィードバック構造
があるからです。
それだけでも格差は確実に生ずるのに、強者のなかでも卑劣で姑息な奴が、市場原理以外の不正をして富を蓄えようとするから嫌ですね。

2008/01/29 (Tue) 21:44

nao

場をお借りします(笑)。

sitbさん、確かに上智大学名誉教授の渡辺昇一先生は、富める者が存在しないと貧しい者は更に貧しくなるとおっしゃられています。その通りだと思います。更にイギリス病時代のマーガレット・サッチャー首相は「貧しき者を金持ちには出来ないが、富める者を貧しくする事は簡単だ」と暗にマルクス・エンゲルス路線を批判されました。それもその通りだと思います。76年に及んだ社会主義はいとも簡単に崩壊したのですから。しかしながら我々が危惧しているのは経済成長イコール富の偏りを杞憂しているのです。百万円を百人で分ければ一万円ずつです。そこに優しさ無き強者が存在すれば富のバランスは崩れます。
お借りした言葉ですが。
「物を奪い合えば物は足りなくなる。物を与え合えば物は有り余る」って事です。立食パーティーなんかでありがちですね(笑)。

2008/01/29 (Tue) 23:50

sitb

>雑草さん
日本における格差のことですが、何の資格が無くてもバイトだけで十分食べていける社会は格差社会だとは思えません。
>naoさん
naoさんのブログを見させてもらいました。
食糧を、機械を動かす燃料に変換する?
確かにそう言われればとてもおかしいことですよね。そんなことがまかり通るのはまさに世界が格差社会だからということでしょう。
正直マルクス・エンゲルス路線が何かとかは全く知らないのですが、自分の無知を知れていい勉強になります。

2008/01/30 (Wed) 23:01

雑草Z

何とお答え致しましょうか?

ナンとお応え痛しましょうか?

    nao さん
代わりのお相手有難う御座います。(笑)ただ
>富める者が存在しないと貧しい者は更に貧しくなる
と言うトリクル・ダウン理論には賛成出来ません。
「富める者」と言うよりも、「富める大地・・豊かな地球」と言うべきでしょう。

マルクスの哲学は、歪んだ嫉妬心あたりから来るから人間理解が間違っているとも言われますね。かと言って、アダム・スミスやケインズも有限性を考慮できなかったと言う致命的な欠陥はマルクスと同じです。

nao さんのおっしゃるように
>物を与え合えば物は有り余る
と言う豊かな精神の国であって欲しいものです。


    sitbさん

 食べ物もろくに食えなくて、飢えている人が何億人もいるこの世の中で、食えるだけでも幸せだという理論なら、一理あります。しかし、あなたは、ワーキング・プア問題とか知っていますか?
それを踏まえて、家族を養うのも派遣やバイトではかなり深刻な状態です。
また、資格がないと食っていけない社会なんてかなり不健全で危険です。食っていくのに資格も何も御座いません。
 非常にオリジナルな発想かも知れませんね。
バイオマスを世界の格差社会の象徴とするところなんか。

2008/01/31 (Thu) 21:59

nao

更にこの場をお借りして(笑)

僕の知人でも手取り17万円で奥様と子供三人を育てている人もいますから。
先日、子供さんのミルクを買う為にパソコンを中古屋に売ったとか言ってました(笑)。
sitbさん、現状はかなり深刻でね。
貧困による自殺者は少ないけど「鬱」に持って更に貧困となると首をくくってしまう人が多いんです。
発表では自殺者三万人ですが、自殺に失敗?(と言っていいのか)した方々は10倍の三十万人いるんですね。
アフリカの貧困層は命をつなぐ食べる為に水を汲み畑を耕します。私達から見たら悲惨に映るかも知れません。
アフリカの貧困層が日本のサラリーマンやフリーアルバイターを見たら、かなり悲惨に映るかも。

大学生にして雑草zさんに噛み付くsitbさん。今後の活動に期待してます(^_^)v

2008/02/01 (Fri) 00:02

sitb

ワーキングプアですか・・・
個人的にはテレビで大げさに報道しているだけのような気がして前回のコメントではあえて書きませんでした。

なんか生意気なことばかり書いてすいません。
次からはもう少し勉強してコメントしたいと思います。

2008/02/01 (Fri) 00:06

雑草Z

Frontier spirit

    naoさん

 更に、代わりのお相手有難う御座います。
アフリカの貧困層とは、西洋人の文明化(余計なお世話)によって出現したのですね。それまで資本主義どころか貨幣経済もなかったアフリカの原住民にとって、金持ちも貧乏もなかったわけですから。
世界中が欧米人の
開拓者精神=自己中的お世話
に翻弄されてますね。


    sitb さん

マスコミの言うことを鵜呑みにしないで自分の意見を持つ姿勢は素晴らしいと思います。もう少し内容を検討、吟味してからコメント下さい。 HNはどういう意味でしょう?

2008/02/01 (Fri) 19:58
☘雑草Z☘
Admin: ☘雑草Z☘
無理に経済成長させようとするから無理に沢山働かなければなりません。あくせく働いて不要なものを生産して破局に向かっているのです。不要な経済や生産を縮小して、少ない労働時間で質素にゆったり暮らしましょうよ!「経済成長」はその定義からも明らかなように実態は「経済膨張」。20世紀に巨大化したカルト。
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