経済成長は格差を是正しない
貧困問題の解決策には、経済成長が必要だ、経済成長による解決以外に解決策はない・・と信じている人は、(この20世紀になっても)いまだに沢山います・・沢山と言うより主流でしょう。
20世紀は、工業の発展が牽引力となり、経済も驚異的に伸びましたが、経済的に大変豊かになったのは、一部の国々、一部の人々です。20世紀は経済成長の世紀でありましたが、貧富の差がより大きくなった世紀でもあります。経済が成長することで貧富の差はさらに広がってきたという厳然たる事実があるのです。
国連開発機構[UNDP]によるデータも、最も豊かな国に住む20%の人々と、最も貧しい国に住む20パーセントの一人当たりの所得の比は、1960は30倍だったのが、1995年には82倍になっていたなど、格差が増えたと言うデータばかりです。
それでも、各国政府や財界人、マスコミなど多くの分野の人々が出してくる格差是正策の対策の多くが、経済成長の方策ですから笑うしかありません。
このような対策を出してくる人々は、自らが富裕層か、支配層である富裕層の御用団体に属しているのではないでしょうか?でなければ本当の馬鹿です。
一国の最高指導者や経済界の代表者まで、経済成長こそ格差是正の方策だという人々は、信頼出来る筈がありません。・・・第一経済成長は、大きな環境の犠牲の上に成り立ちますし、それでも持続は出来ません。
普通に考えれば、経済成長は・・・少なくとも、現在の経済システムによる成長は、格差問題を是正するどころか、格差を助長させることは明らかではないでしょうか?
経済的に豊かな人々のほうが、貧しい人々より、資源を占有したり、新しい技術を導入したり、市況を左右したりして財産を殖やしていく事は遥かに簡単でしょう。
現在の市場経済は、弱肉強食とも言えるもので、その名の通り、強い者である富める者が、弱者である貧しい人々から搾取しているわけですから、格差は是正どころか増えていくのは当然です。豊かな先進国は、貧しい人々、国に多大な債務を負わせて、ずっと支配していく構造を作ってきたのです。現在それをグローバル経済が強化しているわけです。WTOも、その支配体制を助長しているだけです。
個人レベルで言えば、最高税率も引き下げられ、累進課税の率も下がってきて、金持ち優遇策になっているのは、政治家と富裕層の癒着でしょう。民主主義とは言いますが、選挙にはお金がかかり、金の力で政治を左右出来るのです。
つまり、弱肉強食の経済システムは、弱い貧しいものに不利、富める強者に有利に出来ているから、富めるものはさらに富み、貧しいものはさらに貧しくなると言うフィードバック構造になっているのです。
ごく当然の事ですが、富が公平に分配されれば、経済的格差問題は解決するのです。
経済成長よりも、社会主義的政策のほうがよっぽど格差是正になるでしょう。
普通に考えられる格差是正策は
貧しいものの生活の保証をするセイフティネットの充実や、累進課税の強化、贅沢品への重い課税、教育などの機会均など・・でしょう。・・・必ずしもそれらがすべて有効とは言えませんが、経済成長よりは、遥かにまともな政策でしょう。
経済成長が格差是正の有効手段である筈がありません。
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