藤堂志津子とは? わかりやすく解説

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とうどう‐しづこ〔トウダウ‐〕【藤堂志津子】

読み方:とうどうしづこ

1949〜 ]小説家北海道生まれ本名熊谷政江都会的な恋愛小説、特に中年女性の心理えぐった作品で、同年輩女性中心に多く読者を得る。「熟れてゆく夏」で直木賞受賞。他に「マドンナのごとく」「あの日、あなたは」「秋の猫」など。


藤堂志津子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/18 09:54 UTC 版)

藤堂とうどう 志津子しづこ
誕生 (1949-03-14) 1949年3月14日(75歳)
北海道札幌市
職業 小説家
エッセイスト
言語 日本語
国籍 日本
最終学歴 藤女子短期大学国文科卒業
活動期間 1987年 -
ジャンル 恋愛小説
エッセイ
主な受賞歴 第21回北海道新聞文学賞(1987年)
第100回直木三十五賞(1988年)
北海道栄誉をたたえて賞(1989年)
第19回札幌市民芸術賞(1990年)
第8回島清恋愛文学賞(2001年)
第16回柴田錬三郎賞(2003年)
デビュー作マドンナのごとく」(1987年)
ウィキポータル 文学
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藤堂 志津子(とうどう しづこ、1949年3月14日 - )は、日本小説家エッセイスト。中編小説「熟れてゆく夏」で第100回直木賞受賞。本名は熊谷 政江[1]札幌市在住の作家として知られる[2]

経歴・人物

1949年(昭和24年)3月14日、北海道札幌市に生まれる[1][3]北海道札幌北高等学校を経て[4]藤女子短期大学国文科に入学。1967年同人詩誌『にじゅうえん詩集』の創刊に参加[5]1968年には19歳で第一詩集『砂の憧憬』を刊行する(熊谷政江名義)[6]1969年、藤女子短期大学卒業[7]1974年、第二詩集『六月にひとり逝き七月溺愛八月水死』(熊谷名義)を創映出版より公刊して注目される[8]。そのころから詩から小説に転じ、同人誌『莞爾』『マロオス』などに作品を発表[8][注 1]

1978年(昭和53年)、29歳のとき『北方文芸』3月号に発表した小説「鳥、とんだ」(熊谷政江名義)が第12回北海道新聞文学賞候補作となり[10]、『北海道新鋭小説集 1978』(北海道新聞社、1978年)に採録される。翌1979年には、「熟れてゆく夏」(熊谷名義)で第11回新潮新人賞候補[11][12]、雑誌『すばる』5月号に発表した「三月の兎」が第13回北海道新聞文学賞候補に挙がる[13]1983年、「椅子の上の猫」(熊谷名義)で『月刊クォリティ』主催の第7回北海道文学賞を受賞[14][15]

1987年(昭和62年)、38歳のとき、札幌市の広告代理店パブリックセンター在籍中に高校時代の恩師・川辺為三の督促で「マドンナのごとく」(熊谷政江名義)を『北方文芸』4月号に発表し[16]、第21回北海道新聞文学賞を受賞[17]。翌1988年筆名を藤堂志津子として講談社から単行本化された『マドンナのごとく』が第99回直木三十五賞候補作に挙がる[15]。同年、文藝春秋から刊行した単行本『熟れてゆく夏』(藤堂名義)の表題作「熟れてゆく夏」で第100回直木三十五賞を受賞[18][19][20][21]。以後、女性の心の内部を突く恋愛小説を多く発表、エッセイストとしても活躍している。

1989年、「北海道栄誉をたたえて」賞を受賞[22]1990年、第19回札幌市民芸術賞を受賞[23]2001年、第8回島清恋愛文学賞を『ソング・オブ・サンデー』で受賞[24]2003年、第16回柴田錬三郎賞を『秋の猫』で受賞[22]

著作リスト

詩集

  • 『砂の憧憬』(熊谷政江名義)私家版 1968
  • 『六月にひとり逝き七月溺愛八月水死』(熊谷政江名義) 創映出版 1974[25]

小説(単行本:藤堂志津子名義)

  • 『マドンナのごとく』講談社 1988 (のち講談社文庫、新風舎文庫) ※第21回北海道新聞文学賞受賞作
  • 『熟れてゆく夏』文藝春秋 1988 (のち文春文庫) ※第100回直木賞受賞作
  • 『あの日、あなたは』講談社 1989 (のち講談社文庫、文春文庫
  • 『恋人よ』文藝春秋 1989 (のち文春文庫、講談社文庫
  • 『きららの指輪たち』講談社 1990 (のち講談社文庫)
  • 『かそけき音の』集英社 1990 (のち集英社文庫、文春文庫)
  • 『さりげなく、私』講談社 1990 (のち講談社文庫、幻冬舎文庫
  • 『ジョーカー』角川書店 1990 (のち角川文庫、講談社文庫)
  • 『さようなら、婚約者』中央公論社 1991 (のち中公文庫、講談社文庫)
  • 『あなたがいて、そして私』文藝春秋 1991 (のち文春文庫)
  • 『蛍姫』講談社 1991 (のち講談社文庫 -解説:川西政明-、幻冬舎文庫)
  • 『女と男の肩書』文藝春秋 1991 (のち文春文庫)
  • 『されど、かすみ草』実業之日本社 1992 (のち新潮文庫
  • 『プワゾン』講談社 1992 (のち講談社文庫)
  • 『白い屋根の家』中央公論社 1992 (のち中公文庫、講談社文庫)
  • 『われら冷たき闇に』中央公論社 1993 (のち中公文庫、講談社文庫)
  • 『恋人たちの憂鬱』角川書店 1993 (のち角川文庫)
  • 『聖なる湖』文藝春秋 1993 (のち文春文庫)
  • 『水色のノート』講談社 1993 (『目醒め』と改題して講談社文庫、「めざめ」と改題して幻冬舎文庫)
  • 『私から愛したい。』幻冬舎 1994 (のち幻冬舎文庫)
  • 『彼のこと』講談社 1994 (のち講談社文庫、文春文庫)
  • 『せつない時間』講談社 1994 (のち講談社文庫)
  • 『絹のまなざし』朝日新聞社 1994 (のち講談社文庫、幻冬舎文庫)
  • 『まどろみの秋』光文社 1995 (のち新潮文庫)
  • 『青い扉』新潮社 1995 (のち新潮文庫)
  • 『ある女のプロフィール』中央公論社 1995 (のち中公文庫、集英社文庫)
  • 『風と水の流れ』文藝春秋 1995(のち文庫)
  • 『ビジネスマンのための女性入門』諸井薫との共著 プレジデント社 1995
  • 『あすも快晴』文藝春秋 1996 (のち文春文庫)
  • 『やさしい関係』角川書店 1996 (のち角川文庫)
  • 『銀の朝、金の午後』集英社 1996 (のち集英社文庫)
  • 『29歳(トゥエンティ・ナイン)』講談社 1996 (『ふたつの季節』と改題して講談社文庫、幻冬舎文庫)
  • 『ぬばたま』日本経済新聞社 1997 (のち新潮文庫)
  • 『椅子の上の猫』新潮文庫 1997 ※文庫書き下ろし
  • 『海の時計』講談社 1997 (のち講談社文庫、幻冬舎文庫)
  • 『嘘』幻冬舎、1997 (『うそ』に改題して幻冬舎文庫)
  • 『夜のかけら』講談社 1998 (のち講談社文庫、集英社文庫)
  • 『風の部屋』角川書店 1998 (『プライド』に改題して角川文庫)
  • 『陽だまりの午後』朝日新聞社 1998 (のち幻冬舎文庫)
  • 『ひとりぐらし』文藝春秋 1999 (のち文春文庫)
  • 『昔の恋人』集英社 1999 (のち集英社文庫)
  • 『別ればなし』講談社 1999 (のち講談社文庫、幻冬舎文庫)
  • 『淋しがり』講談社 1999 (のち講談社文庫、幻冬舎文庫)
  • 『花婚式』角川書店 2000 (のち角川文庫)[26]
  • 『夫の彼女』幻冬舎 2000 (のち幻冬舎文庫)
  • 『ソング・オブ・サンデー』文藝春秋 2000 (のち文春文庫) ※第8回島清恋愛文学賞受賞作
  • 『アカシア香る』新潮社 2001 (のち新潮文庫、集英社文庫)
  • 『藤堂志津子恋愛傑作選』角川文庫 2002
  • 『秋の猫』集英社 2002 (のち集英社文庫) ※第16回柴田錬三郎賞受賞作
  • 『心のこり』文藝春秋 2002 (のち文春文庫)
  • 『人形を捨てる』新潮社 2003 (のち新潮文庫)
  • 『つまらない男に恋をして』角川書店 2003 (のち角川文庫)
  • 『男の始末』講談社 2004 (のち文春文庫)
  • 『夜の電話のあなたの声は』文藝春秋 2004 (のち文春文庫)
  • 『夫の息子』角川書店 2005(のち角川文庫)
  • 『情夫』幻冬舎 2005(のち幻冬舎文庫)
  • 『桜ハウス』集英社 2006 (のち集英社文庫)
  • 『かげろう』文藝春秋 2007 (のち文春文庫)
  • 『若くない日々』幻冬舎 2007 (のち幻冬舎文庫)
  • 『夫の火遊び』集英社 2007 (のち集英社文庫)
  • 『パーフェクト・リタイヤ』文藝春秋 2009 (のち文春文庫)
  • 『きままな娘 わがままな母』集英社 2009 (のち集英社文庫)
  • 『隣室のモーツァルト』文藝春秋 2011 (のち文春文庫)[2]
  • 『ほろにがいカラダ 桜ハウス』集英社文庫 2012 ※文庫書き下ろし

エッセイ

  • 『男の勘ちがい女の夢ちがい』新潮社 1992 (のち新潮文庫)
  • 『大人になったら淋しくなった』PHP研究所 1996 (のち幻冬舎文庫)
  • 『風にまかせて女のほんね』文春文庫 1997 ※文庫オリジナル
  • 『愛犬リッキーと親バカな飼主の物語』講談社 1998 (のち講談社文庫)
  • 『窓をあければ』 幻冬舎文庫 2002
  • 『独女日記』 幻冬舎 2011 (のち幻冬舎文庫)
    • 『独女日記2』 幻冬舎 2012 (のち幻冬舎文庫)
    • 『独女日記3』 幻冬舎 2016

メディア・ミックス

映画

テレビドラマ

出演番組

  • 藤堂志津子のやってやろうじゃないの(STVラジオ

脚注

注釈

  1. ^ 1974年当時の言及として、山田昭夫の批評「高齢化する道内同人誌作家」の「昭和四十九年北海道内作家評論」項(『月刊ダン』〔北海道新聞社、1974年5月1日発行。同誌はのち1988年に『道新TODAY』へ改題〕)に、「また今まで詩作していて最近小説に転じた熊谷政江(〔同人誌〕莞爾)も、先行者との距離を一気に縮めそうな期待をいだかせる。」と記述があるという[9]

出典

  1. ^ a b 藤堂志津子(トウドウシヅコ)とは - コトバンク
  2. ^ a b まさきとしか (2013年11月5日). “解説 『隣室のモーツアルト』(藤堂志津子 著) | 書評”. 本の話. 文藝春秋社. 2023年4月2日閲覧。
  3. ^ 藤堂志津子”. 新潮社. 2023年3月31日閲覧。
  4. ^ 開校記念日に寄せて : わたしたちの先輩/札幌飛行場跡地” (pdf). 北海道札幌北高等学校 (2012年). 2016年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月31日閲覧。
  5. ^ 札幌市教育委員会: “新札幌市史 第5巻 通史5(上) : 第九編 大都市への成長 : 第九章 市民の文化と活動 : 第一節 文学 : 四 詩 : 昭和四十年代”. 札幌市中央図書館 - 新札幌市史デジタルアーカイブ. 札幌市 (2002年3月31日). 2023年4月2日閲覧。 “〔昭和〕42年5月創刊の『にじゅうえん詩集』(東延江、熊谷政江、村木雄一)、同年6月創刊の『視線と拠点』(笠井嗣夫工藤正広、中森敏夫)など若い世代が登場した。”
  6. ^ 藤堂志津子”. ローチケHMV. 2016年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月31日閲覧。 ※「『ある女のプロフィール 集英社文庫』より」とある。
  7. ^ 新収資料紹介 : 芥川賞・直木賞受賞作コレクション」(pdf)『藤女子大学・藤女子短期大学 図書館だより』第36巻、藤女子大学図書館、1989年12月、6頁。  ※「100目の直木賞を本学卒業の藤堂志津子さん(本名・熊谷政江 短大国文科1969年卒)が受賞」とある。
  8. ^ a b 北海道文学館 編 1985, pp. 133–134, 「熊谷政江」.
  9. ^ 谷島瑤一郎(河村隆夫). “著者(河村隆夫)の創作への諸批評 : (四)山田昭夫「高齢化する道内同人誌作家」(『月刊ダン』p148・p150 北海道新聞社発行 昭和49年5月1日)”. 冑仏伝説 蒼天のクオリア. 2023年4月4日閲覧。
  10. ^ P.L.B. (2022年12月13日). “北海道新聞文学賞受賞作・候補作一覧 1-56回”. 文学賞の世界. 2023年3月31日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ 第11回 新潮新人賞”. 新潮社. 2023年3月31日閲覧。
  12. ^ P.L.B. (2022年12月11日). “新潮新人賞受賞作・候補作一覧 1-55回”. 文学賞の世界. 2023年3月31日閲覧。
  13. ^ P.L.B. (2022年12月13日). “北海道新聞文学賞受賞作・候補作一覧 1-56回”. 文学賞の世界. 2023年3月31日閲覧。
  14. ^ 北海道文学賞のあゆみ | 文芸賞”. 月刊クォリティ. 株式会社太陽. 2023年3月31日閲覧。
  15. ^ a b P.L.B. (2018年10月25日). “藤堂志津子(とうどう しづこ) - 直木賞受賞作家”. 直木賞のすべて. 2023年3月31日閲覧。
  16. ^ P.L.B. (2021年2月14日). “昭和61年/1986年、道新文化センター川辺為三の教室から同人誌『河108』が発行される。”. 直木賞のすべて 余聞と余分. 2023年3月31日閲覧。
  17. ^ 北海道新聞文学賞”. 北海道新聞社. 2023年3月31日閲覧。受賞時(1987年)の肩書きは「熊谷政江=広告代理店勤務」。
  18. ^ 熟れてゆく夏(ウレテユクナツ)とは - コトバンク
  19. ^ 札幌市教育委員会: “新札幌市史 第5巻 通史5(下) : 第十編 現代の札幌 : 第九章 芸術・文化の拡がり : 第一節 芸術文化 : 一 文学 : 女性たちが担い手に”. 札幌市中央図書館 - 新札幌市史デジタルアーカイブ. 札幌市 (2005年3月31日). 2023年4月4日閲覧。
  20. ^ P.L.B. (2022年7月10日). “直木賞 - 選評の概要 - 第100回|直木賞のすべて”. 直木賞のすべて. 2023年3月31日閲覧。
  21. ^ pelebo (2011年10月24日). “『オール讀物』の直木賞受賞者による自伝エッセイ一覧”. 直木賞のすべて 資料の屑籠. 2023年3月31日閲覧。
  22. ^ a b 第16回 柴田錬三郎賞 『秋の猫』藤堂志津子”. 平成15年度・集英社出版四賞の発表 (2003年). 2016年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月31日閲覧。 ※「著者プロフィール」あり。
  23. ^ 札幌芸術賞・札幌文化奨励賞 : 札幌市民芸術賞”. 札幌市. 2023年3月31日閲覧。
  24. ^ 島清恋愛文学賞受賞作品”. 白山市公式ホームページ. 白山市 (2022年). 2023年3月31日閲覧。 ※賞名は作家島田清次郎から。
  25. ^ 岡和田晃(@orionaveugle) 2020年10月5日のツイート、2023年4月2日閲覧。詩集『六月にひとり逝き七月溺愛八月水死』について。
  26. ^ 岸本葉子 (2018年3月3日). “『花婚式』(角川書店) - 著者:藤堂 志津子 - 岸本 葉子による書評”. 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS. 2023年4月2日閲覧。

参考文献

  • 北海道文学館 編『北海道文学大事典』北海道新聞社、1985年。  ※項目「熊谷政江」は佐々木逸郎の担当執筆。

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