U.S.M.H 決算/3~11月増収減益、売上2.0%増も価格訴求の強化などで利益率悪化
2025年01月09日 16:27 / 決算
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)が1月9日に発表した2025年2月期第3四半期決算によると、営業収益5355億8700万円(前年同期比2.0%増)、営業損失10億6200万円(前期は26億5700万円の利益)、経常損失10億1800万円(前期は26億4000万円の利益)、親会社に帰属する当期損失30億4000万円(前期は1億8900万円の利益)となった。
マルエツでは既存店客数が伸長。カスミも第2四半期以降、客数が回復基調にあることで、営業収益は前年を上回り、売上総利益も2.9%と伸長した。だが、物価の上昇や競争環境の激化への対応として加工食品を中心に価格訴求を強化したことから、売上総利益率は想定した水準を下回っている。
販管費は労務費や水道光熱費・物流費の上昇、デリカセンターへの投資等に関しては想定した水準となったものの5.0%増。この結果、営業利益が減益となる。加えて、子会社で税制改正に伴う外形標準課税の税率変更を織り込み、第3四半期連結累計期間の四半期純利益の減少に影響した。
マルエツでは来店客数と客単価が前年同期を上回り、営業収益は増収だった。売上総利益が改善し、最終利益は増益となっている。
一方、カスミは客数が回復傾向にあり、客単価も前年同期を上回ったことで営業収益は増収が図れたものの、売上総利益率が0.7%悪化。さらには外形標準課税の税率変更の影響も受けたことで最終利益は20億円の減益となった。
マックスバリュ関東は、前期末に店舗を閉鎖した影響で営業収益が1.2%減となり、さらに人件費を始めとした販管費が1.7%増加したことで、営業利益は前年を下回った。最終利益は3億円の減益となっている。
なお、いなげやは貸借対照表数値を連結数値として反映させたが、損益計算書数値に関しては、対象期間外であるため第3四半期連結累計期間に反映させていない。
店舗面では、マルエツが4店舗、カスミが4店舗を新設。一方、経営資源の効率化を図るため、マルエツが1店舗、カスミが3店舗を閉鎖し、3社の店舗数は533店舗となった。なお2024年11月末に経営統合した、いなげやの128店舗を加えた店舗数は661店舗となっている。
マルエツでは、「マルエツ草加デリカセンター」で開発・製造したオリジナルブランド「まいごころ」「うまごころ」の開発を推進。「マルエツ プチ 稲荷町駅前店」など4店舗を新規出店し、既存店28店舗の活性化を実施した。
生産性向上施策として、セルフレジを239店舗、電子棚札を179店舗へ導入。利便性向上の施策では、来店宅配サービスの「らくらくクマさん宅配便」を219店舗で展開した。「移動スーパー」は新たに2車両増加し、5車両43カ所で販売を実施している。
カスミでは、引き続き消費頻度の高い商品の店頭価格の引き下げを行うとともに、週末に利用できる「お買い物値引き券」を発行。来店頻度の向上に注力した。
9月には「フードスクエアオリナス錦糸町店」を業態変更し、「BLANDEオリナス錦糸町店」としてリニューアルオープン。アルコールも楽しめるバーカウンターや、イートインスペースでの作り立ての食事の提供サービスなどに取り組んだ。11月には「フードスクエアカスミ八潮大曽根店」「フードスクエアカスミバイユー江戸川松江店」を新規出店している。
マックスバリュ関東では、「商品変革」「デジタル変革」「店舗変革」を取組の柱とし、独自の提供価値を追求。10月に活性化した「マックスバリュ新船橋店」では、地域一番の鮮度・接客の実現に向け、農産売場と水産売場で「地元生産者売場の拡大」「産地直送商品の取扱拡大」に取り組み、買物体験型スーパーマーケットとしての提供価値向上に取り組んだ。
このほか2024年11月末に実施した、いなげやとの統合を契機に、コスト適正化を始めとした経営基盤の強化に向けた取組に着手した。これを機に事業会社間の関係を抜本的に見直し、共通する価値観と思想の基に全体の連携を強化。首都圏最大規模のスーパーマーケットとして強固な経営基盤を構築する体制へと移行する取組を開始した。
当面は「規模を活かした加工食品、日配食品を始めとした一括仕入調達体制を構築する」「コスト適正化のため人事・総務・ITなどバックオフィス部門を集約し共通業務の効率化を図る」「業務品質の向上に向けIT・ロジスティクス・店舗開発などの業務を統合し、情報共有の迅速化とマーケティング機能の充実等を図る」ことなどを目標に取組を進めていく。
また、第3四半期連結累計期間に「マルエツ草加デリカセンター」を本格稼働させた。伸長が続く調理食品の品ぞろえの充実を図るとともに、店舗作業の軽減を実現するべく、グループ約500店舗への商品供給を開始している。
通期は、営業収益7275億円(2.9%増)、営業利益59億円(14.6%減)、経常利益58億5000万円(15.6%減)、親会社に帰属する当期損失9億円を見込んでいる。
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