J.フロント 決算/3~8月増収増益、インバウンド好調・主要店舗の改装奏功
2024年10月08日 16:21 / 決算
J.フロントリテイリングが10月8日に発表した2025年2月期第2四半期(中間期)決算によると、売上収益2093億6800万円(前年同期比9.3%増)、営業利益393億6400万円(100.0%増)、税引前利益382億6300万円(103.5%増)、親会社に帰属する当期利益290億9400万円(125.5%増)となった。
国内売上が堅調に推移したことに加え、インバウンド売上の好調等を背景に、各利益段階で過去最高益となった。百貨店事業やショッピングセンター事業を中心に事業利益が増加。加えて、心斎橋共同センタービルディングの株式取得(子会社化)に伴う段階取得に係る差益の計上などで営業利益、親会社の所有者に帰属する中間利益が増加している。
百貨店事業の業績は、売上収益13.3%増の1272億9300万円、事業利益が72.6%増の201億5400万円、営業利益が92.4%増の194億4900万円。
店舗別では、インバウンド売上が好調であった心斎橋店や京都店に加え、前中期経営計画にて戦略的に売場改装を実施してきた神戸店・札幌店、ターミナル店舗である東京店・梅田店など、主要店舗が業績をけん引した。
基幹店を中心にラグジュアリーなど主力カテゴリーの強化・リニューアルを通じて、高質・高揚消費層へのコンテンツ拡充に着手。具体的には、京都店に新規ブランドを導入し、神戸店では、主力ブランドのリニューアルなどを行っている。
名古屋店の改装も推進。既存顧客に加え、若年富裕層など新たな顧客層からの支持獲得に向け、婦人ファッションの圧縮を行う一方、ラグジュアリー・アートなど強化カテゴリーの拡大を予定しており、11月に第1期オープンを予定している。
店舗の魅力化とともに、顧客との強固な関係性を構築すべく、大丸・松坂屋アプリを通じた国内・海外在住顧客とのタッチポイントのデジタル化の取り組みを推進した。
また、7月には、持分法適用関連会社である心斎橋共同センタービルディングを大丸松坂屋百貨店の100%子会社化とすることを決定。完全子会社により、心斎橋エリア戦略についてJ・フロントリテイリングによる自由度の高い事業計画の策定に取り組んでいく。
SC事業の業績は、売上収益は12.1%増の318億1100万円、事業利益は61.0%増の78億3600万円、営業利益は23.1%増の71億1800万円。インバウンド取扱高の伸長に加えて、基幹店改装や各店でのプロモーション強化などにより国内取扱高も伸長したことから、増収増益となった。
韓国の大手百貨店「現代(ヒュンダイ)百貨店」と戦略的協業に関する基本合意を4月に締結したことを受け、渋谷PARCOでポップアップイベントを開催し、MZ世代を中心に新たな顧客層を集客した。韓国ファッションブランドやエンタテインメントなどの日本での展開に加え、将来的に日本のファッションやカルチャーをソウルを通じてアジアなどグローバルに発信することを目指す。
デベロッパー事業の業績は、売上収益が11.4%増の370億1300万円、事業利益が111.3%増の42億1000万円、営業利益が87.1%増の41億7600万円。J.フロント都市開発で保有物件の売却益を計上したほか、J.フロント建装におけるホテル内装工事の受注増加などで増収増益だった。
2026年度竣工・開業予定である「(仮称)錦三丁目25番街区計画」(名古屋)ならびに「(仮称)心斎橋プロジェクト」(大阪)を着実に推進。なお、「(仮称)錦三丁目25番街区計画」の建物の名称は「ザ・ランドマーク名古屋栄」に決定した。
また、2030年以降の開業を目指す「(仮)天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」は、J.フロント都市開発に加え、持株会社にも福岡天神エリア開発推進室を設置し、グループ横断的に計画を推進していく。
決済・金融事業の業績は、売上収益は3.6%減の64億8900万円、事業利益は32.1%減の10億6200万円、営業利益は40.1%減の9億円。売上収益は取扱高増により加盟店手数料が増加した一方、付与ポイント増などに伴うポイント費の増加などにより、減収となった。販管費は、グループカードの集約化に向けた投資費用や人財採用による人件費が増加している。
百貨店事業との協業によるカード会員の拡大及び利用促進を図った。新たな顧客基盤の拡大に向け、グループ内カード集約の取り組みの第1弾として新たにGINZA SIXカードの発行を開始し、会員数の拡大を進めている。加盟店事業では、特に名古屋・栄エリアでの顧客回遊の促進に向け、新たに開業した他社商業施設を加盟店化する等、重点エリアでの外部加盟店拡大を進めた。
7月には名古屋エリアで初めてエリアキャンペーンを実施。業界課題である不正利用対策としてオンラインサービスへの多要素認証導入、ワンタイムパスワード導入等を実施した。
通期は、売上収益4370億円(7.4%増)、営業利益520億円(20.8%増)、税引前利益500億円(20.9%増)、親会社に帰属する当期利益365億円(22.0%増)を見込んでいる。
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