加速した電子を試料に照射した際に生じる発光をカソードルミネッセンスと呼びます。この発光のスペクトルや空間分布像から試料の物性を評価する方法をカソードルミネッセンス法と称します。加速電子は容易に数nmに絞ることができるため、カソードルミネッセンスは微小領域の評価に有効です。さらにカソードルミネッセンス法は、加速電子によってもたらされる種々の信号(例えば二次電子、反射電子、EBIC、X線、DLTSなど)との複合評価が可能であるという特徴を持っています。半導体だけでなく、蛍光物質(ナノ蛍光体)、セラミックス、ガラス、酸化物などの無機物質、有機物質の研究にも広く用いられております。これらの物質からの発光は紫外から、可視、赤外と広い波長範囲に渡っています。とくに、励起源となる加速電子は数kV以上の高いエネルギーを持っているため、ダイヤモンドや酸化物などのワイドギャップ材料の評価に有効です。
電子ビームは容易に10nmから数nmの大きさに絞ることができるため、微小領域の評価に最適です。
また、電子ビームは簡単に操作できるため二次元画像より発光中心の分布を観察することができます。
半導体デバイスの動作領域や量子構造の殆どは表面下数十nmから数μmに形成しているため、これらの電子構造を評価するためにはプローブをこの深さまで入れる必要があります。CLでは電子ビームの加速電圧を変えることによってプローブとなる電子正孔対が形成される深さを数十nmから数μmの範囲でかえることができます。このため試料を非破壊で観察ができ、深さ分解の測定も可能です。
電子ビームによる励起はバンドギャップよりはるかに大きく、光励起が困難なワイドギャップ材料に適しています。
電子ビームは物質中の多様な信号を励起するためそれらの応答を使用した評価方法との複合評価が可能です。