uneyama記録

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これまでの経緯

まず個人的に把握している背景から。
消費者庁の担当大臣が福島さんだった時にトランス脂肪酸について検討するように、という指示が出たのがことの発端だったと思います。
消費者庁では「トランス脂肪酸に係る情報の収集・提供に関する関係省庁等担当課長会議」を開催し(議事録等は以下からhttp://www.caa.go.jp/foods/index5.html)、その第3回に私が生協の鬼武さんと一緒に意見を述べています。
私が呼ばれたのは、著書「ほんとうの「食の安全」を考える」の中でトランス脂肪酸についての言及があったからで、消費者庁の事務局の方々がこの本を読んで評価して下さったということです。(ちなみにこの本の初版のトランス脂肪酸の記述に一部間違いがあります。食品安全委員会で「評価し」とあるのは間違いで、ファクトシートを作っただけです。正規のリスク評価はまだ結論は出されていません。新開発食品専門調査会で審議中です。最新議事概要はhttp://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20100412sh1)
この時の意見の趣旨は、日本人においてトランス脂肪酸対策の優先順位が高いとは思えない、表示の義務化や使用禁止などのような規制は費用対効果を検討してから導入する必要がある。一般論として日本人の疫学研究データが不足していて科学的根拠に基づいた政策決定が困難なので研究支援が必要。栄養成分表示については、北米などのような既にコレステロールや飽和脂肪が表示されているものにトランス脂肪酸を加えるのと、日本の状況で突然トランス脂肪酸だけ表示されるのでは手間も意味も違ってくるので、外国で表示を義務化しているから日本でもというのは無理がある。栄養成分表示や栄養教育から見直す必要がある。といったようなものでした。
私はこの時の主張の責任をとって栄養成分表示検討会の委員になっているというわけです。
一方別の検討会でトランス脂肪酸を自主的に表示したいという場合のための表示ガイドライン案が作成され意見募集が行われています。

今回の栄養成分表示検討会は、トランス脂肪酸の表示問題をきっかけにはしているものの、トランス脂肪酸の表示について検討するためのものではなくて、そもそも日本の栄養成分表示はどうあるべきなのかを検討するためのもの、と理解しています。
私は多分学識経験者枠なのだろうと思いますが、栄養学の専門ではなく、食品全体のリスクの観点から意見を述べることを期待されていると認識しています。食品安全委員会の委員の人が委員になることが適任なのかもしれません。
ちなみに私が食品安全委員会の専門調査会などの委員になることはありません。家族が食品企業に勤務しているから、というのが理由です。さすがに消費者庁では消費者製品に関わる業種全ての関係者を排除したら大変ですからそういう規定はないようです。利益相反という意味では、EFSAなどがそうであるように、情報の開示で十分だとは思いますが、日本では排除することが多いようです。一応ここで明確にしておきますが、夫は味の素(株)の研究所勤務です。ただ私は学会には入っておらず、当然役員等の経験もなく、特定の分野を推進したいというような利害関係は全くありません。研究費をたくさん使うような仕事をしているわけではないので研究費獲得関係でのしがらみはありません。ろくな業績が無いので自分の関わった論文や成果をアピールしたいというようなバイアスもありません。