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埼玉縄文カードツアー!「さいたま市岩槻区真福寺貝塚現地見学会」「白岡市生涯学習センター歴史資料展示室」

お待たせしました埼玉縄文カードツアー!続きです(*^^*)
今回は、さいたま市にある「真福寺貝塚」の発掘調査現場で開催された現地見学会の様子と、カードNo.013「タタラ山遺跡」出土の羽状縄文が描かれた深鉢の花積下層式縄文土器を展示する白岡市生涯学習センターを中心にご紹介します。


漆を塗った土器にドキドキ(^▽^;) 真福寺貝塚
土器展示の横でドングリ試食会だぁ!? 白岡市生涯学習センター



撮影:2023年12月9日 Canon PowerShot SX710HS


埼玉県地図


1 さいたま市岩槻区にある「真福寺(しんぷくじ)貝塚」は、‶SHINPUKUJI SHELL MOUND" として世界にも知られる国指定史跡です。縄文時代後期から晩期の遺跡で、古くから発掘調査が行われ、台地部分の集落跡や貝塚などからは、多数の土器、石器や土偶、獣魚骨が出土、低地部の泥炭層からはクリ、クルミ、ウリの植物種子なども出土しています。なお、この遺跡から出土した「みみずく土偶」(東京国立博物館蔵)は、重要文化財に指定されています。
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※さいたま市オフィシャルサイトへ
見学会の記事を見ていたら、なんと私の姿も当日の写真の中にありました。ヒントは黄色のジャケットを着た白髪のおじさんです(笑)



2 今回(23年12月実施)の現地見学会で公開されたのは、2年計画で発掘が行われている場所で、台地からの斜面を下った湿地に形成された地層です。「泥炭層」と呼ばれ、湿地に流れ込んだ木や土器などが、分解されずに保存されていて貴重な資料になって出土していました。
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3 発掘現場を説明する現地のスタッフ
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4 重機も使いかなり深い場所まで地層を掘り下げていました。当初予想していた以上の深さと傾斜を持つ場所だったようです。流れてきた木や枝の向きからも流れが予想できるそうです。
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5 発掘し出現した地層を線を引いて分類していました。
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6 このあたりは、およそ3,000年前の木や土器がそのままの形で埋もれていました。出土した木の中には、「木組遺構」と呼ばれるトチノミをあく抜きするための施設だった可能性も出ているようです。
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7 写真は、出現した漆塗りの土器です!ウルシの色が分かりますねぇ~💛
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8 発掘地に仮設されたプレハブに、調査で発掘された土器や土偶などが展示されていました。
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9 ウルシが塗られていた土器(壺の胴部)
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10 出土した土器を丁寧に見ている、見学会参加者!
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11 外の受付には、何人もの見学希望者が列を作っておりました。ネットの記事によるとこの日の見学参加者は400人を超えたそうです。ウ~ン!恐るべし縄文人気(^▽^;)
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12  さて、岩槻の真福寺貝塚の見学会を終えて、その足で向かったのは白岡市の生涯学習センターです。こちらでは、埼玉縄文カード No013のタタラ山遺跡出土の花積下層式の羽状縄文付深鉢土器が展示されています。
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「太さの違う縄でひし形の羽状縄文を描き、底部周辺には、貝殻背圧痕紋、内面には貝殻条痕文が見られる」(カード解説より)


14 生涯学習センター1階には、歴史資料の展示コーナーがあって、縄文土器が展示されています。その横には、縄文カードの配布を案内する掲示物。
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15 白岡市生涯学習センター「こもれびの森」 市役所の横にできた、とてもきれいで明るい施設で、公園もあって家族連れの姿も多かった。
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16 「こもれびの森」の裏から見た外観。イチョウがたくさんあって、まっ黄っ黄に染まっていました(笑) 
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17 そうです、イチョウがたくさんということは・・・銀杏(ギンナン)がたくさん!!! ということで、まぁ、足の踏み場が無いほど落ちていました。匂いもそれなりに(^▽^;)
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18 生涯学習センター内部の展示室です。写真中央にあるのが、カードNo013の縄文土器。
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19 こちらも展示コーナーの様子です。明るくてきれいで見やすい展示でした。
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20 トリケラの大好物は、「動物」の土器や土製品です。こちらは、イノシシを形どったものだそうです。
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21 こちらも大好物の「ミミズク型土偶」も出土しています。
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22 こちらは「石冠(せっかん)」と呼ばれる不思議な形の石器です。ウ~ン、これは何だろう??イモムシか??やっぱり「風の谷のナウシカ」の王蟲(オーム)でしょっ!(^▽^;) それにしても何に使ったのだろう?
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23 こちらは展示室前のスペースで、行われていた「体験コーナー」!なんと、ドングリの試食コーナーです。おおおっ、縄文人になってみようじゃないのと、トリケラの好奇心もソソラレマシタぁ!全部食べたよ(*^^*)
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24 本日のおススメは、こちら!「マテバシイ」です(*^^*)
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25 色々なドングリが用意されています。大きな栗も魅力的でしたが、これは食べさせてくれませんでしたぁ(;´Д`) ドングリは少しあぶるとより美味しいという説明でした。なるほど、これはお酒のアテになると言うと、年配のスタッフの方もうなずいていました(笑)
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26  さて、展示コーナーの展示物で、ひときわ興味を持ったものがありました。それは、白岡市と「新井白石」の関係です。全く知らなかったのですが、江戸中期に活躍した旗本・政治家・朱子学者である新井白石は、徳川家宣(いえのぶ)が6代将軍になったとき幕臣となって、白岡の野牛村など3か村で500石を拝領していました。野牛は、明治維新まで新井氏の領地となっていたのですねぇ。写真は、子孫が地元の寺院に奉納した新井白石の肖像画(複製)です。
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27 野牛には、白石ゆかりの、肖像画・扁額・直筆漢詩・郷蔵跡・堀など様々な文化財が大切に残されています。写真は、毎年命日の5月19日に白石の肖像画を掲げて白石の供養を行う「筑後様(ちくごさま)まつり」の様子だそうです!
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※新井白石の政策や行動(白石の墓のある中野・高徳寺サイトより引用):
 六代将軍家宣・七代将軍家継の時には幕政を補佐。綱吉が作った「生類憐れみの令」の廃止。武家諸法度改訂、貨幣改鋳、海舶互市新令(かいはくごししんれい)の施行、儀式典礼の整備などがある。正徳1年(1711年)以後は、将軍の政治顧問的立場で内政外交両面での大改革を主導した。七代将軍家継の時代には、金銀貨改良・長崎貿易制限の二大事業の達成に献身し、対朝鮮外交の刷新や対琉球外交の強化を実行した。
・「生類憐れみの令」の廃止
 江戸時代の第五代将軍・徳川綱吉による「生類憐みの令」は、犬、猫、魚だけにとどまらず、蚊も殺してはいけないという決まりであり、人間の生活が危ぶまれる極端なものだった。新井白石は綱吉の死後、綱吉の側近たちの反対を押し切り「生類憐みの令」の廃止に努め、成功している。
・通貨吹替え
 江戸時代の第五代将軍・徳川綱吉の時代に、荻原重秀の通貨政策により大量に鋳造された元禄金銀および宝永金銀を回収し、徳川家康の「貨幣は尊敬すべき材料により吹きたてるよう」の言葉に忠実に慶長金銀の品位に復帰する、良質の正徳金銀を鋳造。これを「正徳の治」と言い、正式名称は「正徳の貨幣改鋳」と言う。結果としてインフレの緩和に繋がったが、徹底した政策によりデフレを引き起こすこととなった。
・長崎貿易の縮小
 開幕以来、長崎貿易で大量の金銀が海外に流出した結果として、長崎貿易そのものが困難となっていた。そこで白石は貿易を基盤としていた長崎の困窮を解決するため、貿易そのものを縮小する政策を取った。これを「海舶互市新例」と呼ぶ。

歴史の勉強だぁ(^▽^;)

※縄文土器を観に行って思いもかけず「発見」のあった白岡遠征でした。次回も、白岡で見つけた土器以外の掘り出しモンをご紹介しますねぇ(*^^*)
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コメント

Re: タイトルなし

大原かずのりさん!こんばんは!

ウルシは深い文化があるのですねぇ。輪島塗だけではありません!torikeraが特に好きなのは漆を塗った耳飾りです!!

「ドングリ豆腐」で調べてみたら、韓国では結構有名なようですね「ドングリ粉」も売っているようです。ドングリ豆腐(こんにゃく)も普通にレシピが出てきますねぇ(^▽^;)

こんどチャレンジしてみようかなぁ(*^^*)!!

漆器=ジャパンと呼ばれてますが、縄文時代から漆の伝統が続くのは凄いことですね!参加者ウン百人は仕方ないかも
(^o^;)
それにしてもこんなに深く掘って採掘するんですね😲

ドングリの実を実食ですか!私は食べたことないです。高知にはドングリ豆腐がありますが、それはあります。まあ、あまり美味しくは無かったですが
(;^ω^)

Re: No title

たいやきさん!こんにちは!

縄文に魅かれる皆さんそれぞれに、惹かれるポイントがあるように思います。知れば知るほど奥の深い魅力的な「時代」であったのでしょう。

さいたま市のオフィシャルサイトにちゃっかりと写り込んでいたのはビックリでした(笑)フォールディングバイクで移動時間を稼ごうという作戦でしたので、バイク用の蛍光色で超目立ちたがり屋ジャケットが良かったのかも知れません?(^▽^;)

No title

縄文時代を見ていると、人間はもっと仲良くできないものかなあと思います。
ドングリを育て、それを主食にして、魚や獣やキノコを煮てみんなで分けて食べるなんて素敵です。
だから縄文に惹かれるのではないでしょうか。
元来争いが嫌いな縄文人が大陸の果ての果ての島まで逃げてきて作ったのが縄文文化ですから。
それにしてもさいたま市HPに登場おめでとうございます。
こちらのHPに載っている写真と角度が違うだけなのが面白いです。
ものすごくいいタイミングはココだ!と市の職員も思ったのですね。

Re: コメントありがとうございます

ぶらっと遡上探索 さん!こんばんは!

そうなんです。縄文大国というか、何でこんなに人気あるんだろう!まぁ、私もその中の一人ですからねっ。

マテバシイは、公園などにもたくさん植えてありますので、季節になると地面を覆いつくすくらいドングリが落ちてそのままになっているのを見ると、チトもったいなく思ったりします。拾って食べていたら周囲からドン引かれるでしょうけど。

今度は都内の運河ですかぁ!いいですねぇ、探索のついでにハゼ釣りとかできちゃいますねぇ(笑)

私設橋の鰻屋さん!見るからに格式が高そうです。チト庶民のランチには厳しいかなぁ(◎_◎;)
そうか、泡盛の壺ですね。縄文土器は同じものを大量生産できないから、「焼酎の壺」説に賛成します!!

Re: 社会科のお勉強

BUSYBEE-GAEI さん!こんばんは!

さっそくのコメントありがとうございました。

今回地図を入れていませんでしたね。失礼いたしました。岩槻は、さいたま市の北東に位置していますので、海からはだいぶ遠いです。もちろん埼玉県自体海なし県ですが!

県内では、トチノミを加工してあく抜きする木組遺構が他の縄文遺構でも見つかっています。やはりトチノミはボリュームもあるので、デンプンを得るためには格好の材料だったのではないでしょうか。しかし、あくが強いのでそのままは食べる事が出来なかったようです。

今回、白岡を訪問して、初めて新井白石との関係を知る事が出来ました。しかも、生類憐みの令の廃止に尽くしたという事は、知りませんでしたし、教科書にも書いてないですよねぇ(^▽^;)

生類憐みの令の酷い話は、平凡社新書の「江戸の釣り」に詳しく記述されていて面白いです。まあ、釣りもけしからんという事で大勢の釣り人や漁業に関係する人が処罰されています。貝は大目に見られていたようですが(笑)

こういう機会が無いと改めて歴史も顧みないので、いいチャンスになりました(^▽^;)

Re: No title

kanageohis1964 さん!こんばんは!

コメントありがとうございました。

そうなんです!縄文の漆文化は、もうそれだけでもワクワクします!ウルシの木自体は野生ではなく、栽培されていたものを利用しています。大陸から持ち込まれたのでしょうか。という事は、すでに材料の確保から加工までシステム化されていたのです。採取や加工などの分業化も進んでいたと考えられます。

東京都武蔵村山市にある下宅部遺跡では、ウルシの生産から加工、着色に至る全ての過程の遺構が出土しています!(重要文化財指定です)下記サイト参照下さい。
https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/tanoshimi/rekishi/shimoyakebe/urushibunka.html

縄文時代には、ウルシは様々な製品に利用され、応用されていたことが知られています。恐るべし「縄文時代」ですね。


コメントありがとうございます

今晩はトリケラさん、拍手コメントありがとうございます。
貝塚の見学会、大勢の人が来るのでビックリ!流石縄文王国ですね。ミミズク型土偶は見ていて楽しく、好きです。どんぐり、椎の実は子供の時のおやつでしたが、他の実はたべた事が有りません、ドングリはデトックス効果が高く隠れたスーパフードだそうです。でも、プーさんの餌なので、食べ過ぎてはダメですよ(笑)。

降雪後に異常高温、来週は冬に逆戻りだそうで、体が可笑しく成りそうです。次弾は都内の運河なのですが、今週末頃に運河沿いの河津桜が咲くのですが、天気が下り気味で、アッチャーどうしよう状態です、天気が回復する月末まで持つかな?
此処の鰻屋さん、可成り高級な店で鰻のコース料理が楽しめるそうです。壺っぽいのは、多分 泡盛の甕だと思います、まさか○○土器じゃないですよね(笑)。

社会科のお勉強

埼玉県の地理が頭に入っていないのですが、岩槻は海に近いのでしょうね。発掘現場はかなり広そうですね。3千年前からトチノミをあく抜きしていたのですか?!食べるための知恵は素晴らしいです。そして、漆塗りの土器!!これも素晴らしい。石冠はイモムシにしか見えません( ´艸`)。生類憐れみの令では、蚊も殺してはいけないなんて、随分酷い決まりだったのですね💦生まれる時代を間違えなくてよかったです😌楽しい社会科のお勉強タイムになりました!(^^)!

No title

漆掻きの様子を見ていると、充分な量を確保するのに物凄く手間と時間の掛かる仕事なのに、それを縄文時代から(当時の漆掻きはそれほど洗練されていなかったかも知れませんが)やっていたらしいのが驚きですね。漆の木から塗料が取れることに、縄文人はどうやって気付いたのでしょうね。

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季節の野草や身近な自然の写真のご紹介、トレイルランやポタリング、マウンテンバイクの記事、掘り出しモンCDアルバムなど音楽の話題、美味しい日本酒や蕎麦について、最近は庚申塔・石仏・富士塚・力石など石や塚などにも興味津々!とりとめのない記事ばかりですがよろしくお願いします。

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