JapanのベーシストだったMick Karn(1958-2011)は僕の中ではトップベーシストの一人(後は、Miroslav Vitouš、Lemmy Kilmister、Jack Bruce、Michael Hendersonといった人達)。それに、Mick Karnはベースだけでなく、サックスやクラリネット奏者としても個性的だった。どの曲にも、どのセッションでも必ず彼の刻印が残されている。
Japan初期の黒っぽい音楽を目指した時期でも、「Quiet Life」以降の時期であっても、Japanの音楽が安っぽいビート音楽やロマンチシズムの陥ることなく、革新性を感じさせたのたのは、高い感性に裏打ちされたなSteve Jansenのドラムと、ポストロック、ポストジャズ的なMick Karenのベースとサックス、そして、控えめでありながら、空間を充すRichard Barbieriのキーボードがあったから。
Mick Karenのベースは、あの「ブーブォ〜ン」というフレットレスベースのフレーズばかり注目されるが、曲をリードするメロディラインとリズムを同時にこなしたり、その間を自由に行き来することができる才能があった。
ソロになってからも、元JapanのSteve Jansen、Richard Barbieriとのユニット、David Tornのような個性的なギタリストとの共演を通して、どれも充実したアルバアムをリリースしている。彼が不幸だったのは、元Japanというイメージが良い意味でも悪い意味でも強すぎたこと、それに、「ブーブォ〜ン」というフレットレスベーススタイルがいつまでも期待されたことだろう。
彼の7枚のソロアルバムは、多様な音楽を追求しながら、アーティストとしての発展と葛藤の記録が刻まれている。それは、アンビエントからマルチカルチャーマッシュアップまで幅広い音楽性に表れている。
これまでも彼のソロを持っていたが、先週、CDがまとまって中古に出たのを購入してて毎日聴いていると、改めて彼の献身的な音楽的への情熱を強く感じる。