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プラスチックとリサイクル


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プラスチック (合成樹脂) は、金属・セラミックスと並び、三大素材のひとつとされています。

三大素材の中でもっとも新しいプラスチックは、20世紀以降、さまざまな種類や合成法が開発され、短期間のうちに無くてはならない素材となりました。

今、家の中を見渡しても、家電,容器包装類,食器,文房具,衣服 (合成繊維),塗料,マーガリンなど、プラスチックの用途はさまざまです。

一方で、プラスチックによる資源・環境問題が近年は注目されています。

例えば、塩素を含むプラスチックを燃やすことで発生するとされる “ダイオキシン” には、強い発癌性が指摘されます。

“マイクロプラスチック” は、粉状になったプラスチックが海に流れて、それを生物が取り込むことで起こる問題です。
最終的には、私たちの口にも入るため、その影響が懸念されています。

……と、クサい前置きをした上で本題です。

プラスチックのリサイクルのお話です。

プラスチック製の容器や包装フィルムには、“リサイクルマーク” が記載されています。

リサイクルマーク

三角形のものは、アメリカのマークです。
そして、それを参考に日本で作られたのが、四角形のものです。

この記事では、アメリカのリサイクルマークに記載された1〜7番に対応するプラスチックを種類ごとに取り挙げます。

  1. ポリエチレンテレフタレイト (PET)
  2. 高密度ポリエチレン (HDPE)
  3. 塩化ビニル樹脂 (PVC)
  4. 低密度ポリエチレン (LDPE)
  5. ポリプロピレン (PP)
  6. ポリスチレン (PS)
  7. その他 (OTHER)

プラスチックのリサイクル

まず、プラスチックのリサイクルについてです。

プラスチックの処分は、リサイクルか埋め立てのどちらかです。

さらに、リサイクルは次の3つに別けられます。

  1. サーマルリサイクル
  2. マテリアルリサイクル
  3. ケミカルリサイクル

サーマルサイクルでは、燃やして発電などの熱源にします。
リサイクルされるプラスチックのほとんどは、このサーマルリサイクルです。

マテリアルリサイクルは、プラスチックとして再利用、ケミカルリサイクルは、化学薬品として再利用するリサイクル方法です。

ちがう種類のプラスチックが混じると、マテリアル・ケミカルリサイクルが難しいばかりか、塩素を含むプラスチックは、サーマルリサイクルでも問題となります。

詳しくはのちほど。

1.ポリエチレンテレフタレイト (PET)

リサイクルマークの1番は、“ポリエチレンテレフタレイト (PETまたはPETE)” です。“ポリエチレンテレフタラート” とも呼ばれます。

ペットボトルは、このPETというプラスチック製です。

ポリエチレンテレフタレートの構造式

PETの化学構造です。

PETは、“エチレングリコール” と “テレフタル酸” がくっついた構造です。

PETに限らず、プラスチックは、原料となる材料 (モノマー) が、鎖状に連なった (重合 (じゅうごう) した) “分子鎖” 構造をとります。これをポリマーと言います。

“ポリ” は、“たくさんの” を表す語です。(ポリゴンのポリ)

また、PETは代表的な “ポリエステル” でもあります。

実際、衣服などのポリエステルは、PETということが多いです。(エステル結合を含む合成樹脂をポリエステルと呼びます)

ペットボトルと服が同じ素材なんてちょっと不思議です。

2.高密度ポリエチレン (HDPE)

ポリエチレン

“ポリエチレン” の化学構造です。

ポリエチレン (PE) は、“エチレン” が鎖状につながった合成樹脂ですが、その密度によって、“高密度ポリエチレン (HDPE)” と “低密度ポリエチレン (LDPE)” に大きく分けられます。
それぞれ、特性も用途もちがいます。

分子鎖と密度

密度 (同じ体積あたりの重さ) のちがいは、分子鎖の枝分かれにあります。
分子鎖の枝分かれが多く、長いと、密度は “小さく” なります。

髪が “枝毛” によってボサボサになるイメージです。

3.塩化ビニル樹脂 (PVC)

『エコケーブルについて』という記事でも説明した “塩化ビニル樹脂 (PVC)” です。
ポリ塩化ビニルや塩ビとも呼ばれ、単にビニル (ビニール) と言ったら、このPVCを表すことが多いです。

ただし、ビニール袋は、ほとんどがポリエチレン製です。(ビニル基を持つモノマーはすべてビニル)

塩化ビニル樹脂

PVCの化学構造です。

PVCは、エチレンの水素 (H) のひとつが塩素 (Cl)に置き換わった “クロロエチレン (塩化ビニル)” が重合してできています。

PVCの使い捨ての用途には、食品用ラップやトレーがあります。

実は、サーマルリサイクルのくせ者が、このPVCです。

塩素を含むプラスチックは、高温で分解し、“塩化水素 (HCl)” を発生します。
この塩化水素の水溶液は “塩酸” であり、非常に強い酸です。

鉄やアルミ,コンクリートであれば、生成した塩酸に溶けてしまいます。

ですから、サーマルリサイクル用の焼却炉は高価です。
この炉を買えない自治体では、埋め立て処分をしています。

4.低密度ポリエチレン (LDPE)

先ほど登場したポリエチレンですが、こちらは “低密度” です。(構造は、高密度を参考に)

いわゆるポリ袋は、この低密度ポリエチレン製が多いです。

高密度ポリエチレンよりも柔らかいという特徴があります。

5.ポリプロピレン (PP)

ポリプロピレンの構造式

エチレンの水素のひとつが “メチル基”(-CH3) に置き換わった “プロピレン” が重合した構造です。

PPの特徴は、割れにくいこと,低密度 (軽い),そして高めの耐熱温度です。

PPの使い捨て用途には、食品の包装フィルムがあります。

6.ポリスチレン (PS)

“スチロール樹脂” とも呼ばれ、“発泡スチロール” の材料です。

ポリスチレンの構造式

エチレンの水素のひとつが “ベンゼン環”(六角形のやつ) に置き換わった “スチレン” の重合体です。

PSの特徴は、透明度の高さがあり、割れやすいという短所もあります。

PSの使い捨て用途として、食品トレーやパックなどに使われます。

7.その他 (OTHER)

リサイクルマークの7番は、上記の6種類以外のプラスチックおよび複合材料です。

例えば、容器に使われる “ABS (アクリロニトリルブタジエンスチレン)” や、真空パックに使われる “ナイロン (ポリアミド;PA) + ポリエチレン (PE)” などがあります。

専門的な単語や物質名,化学式が出てきて、ちょっと難しい記事でした。

プラスチックの種類やリサイクル問題の理解に役立てたらうれしいです。

そして、まだまだたくさんの種類のプラスチックがありますから、それらの説明もしたいです。

閲覧ありがとうございました。

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コメント

おはようございます。

プラスチックっていろいろな種類がありますよね。

もうなんだか訳わからないくらい。

リサイクル分別に迷うことも多いです。(;´・ω・)

Re: おはようございます。

ひまわりさま。

こんばんは。コメントをありがとうございます

本当にプラスチックの種類って多いですよね。
設計しだいで、新しい種類をいくらでも作り出せるのが、プラスチックの特徴のひとつといわれます。

反面、分別とリサイクルはメンドくさくなるのですね。

またのコメントをお待ちしています。

記事名:プラスチックとリサイクル.
返信日:2022年2月12日.

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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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