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エコケーブルについて


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2021-10-27(水)

今回は電気ではなく、どちらかというと化学のお話です。
大半の人が興味を示さない分野です(笑)

こういう観点は少し新しいのではないでしょうか。

“エコケーブル” という電線やコード,ケーブルがあります。

これは、焼却炉のダイオキシンが問題となった1998年ごろ登場した電線です。
エコケーブルはダイオキシンの発生源となりません。

ダイオキシン

代表的なダイオキシンである2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン (2,3,7,8-TCDD) の化学構造です。
両端の塩素 (Cl) と真ん中の酸素 (O) が特徴となっています。(こういうのを貼ると論文みたいで頭が良さそうに見えますね)

ダイオキシンは、ハロゲンを含む物質を低温で燃焼させたときに発生すると考えられています。

ハロゲンは、フッ素 (F),塩素 (Cl),臭素 (Br),ヨウ素 (I),アスタチン (At) の5種類あり、比較的に高い反応性が特徴です。

単体の反応性が高い分、化合物は安定なものが多く、材料としては好都合なのです。

塩化ビニル樹脂

こちらは塩化ビニル樹脂 (PVC) の化学構造です。
しっかり塩素が含まれています。

塩ビは、VFFやビニルキャブタイヤなど、Vやビニルとつく電線類に使われています。

ネオプレン

ハイパロン

耐熱型のコードに使われる、ネオプレン (クロロプレンゴム) とハイパロン (クロロスルホン化ポリエチレンゴム) です。
こちらにも、ちゃっかり塩素が入っています。(クロロなんとかというのは塩素のことです)

これらを一般のゴミと混ぜて燃やすと、ダイオキシンの発生源となる場合もあるのです。

エコケーブルの材料と化学構造

エコケーブルに使われる材料は、ハロゲンを含まず、鉛などの重金属系の添加物も使っていません。
現在、エコケーブルの材料は、ポリエチレン (PE) や架橋ポリエチレン,エチレンプロピレンゴム (EPゴム) です。

ポリエチレン

架橋ポリエチレン

ポリエチレンと架橋ポリエチレンの化学構造の例です。

ポリエチレンは、塩ビから塩素をとったような構造をしています。

架橋ポリエチレンは、ポリエチレン分子中の炭素 (C) が、ほかのポリエチレン分子の炭素と浮気している構造です。
橋が架かっているように見えるので、架橋構造と呼ばれます。

なお、ポリエチレン自体は燃えやすい物質のため、難燃剤という添加物が入っています。

エチレンプロピレンゴム

EPゴムの化学構造です。

こちらも塩素は含みません。

ということで、エコケーブルの材料と化学構造でした。

エコケーブルの課題

ダイオキシン発生の原因とならないエコケーブルですが、課題もあります。

だいたい想像がつくと思いますが、第一に価格が問題です。
エコケーブルは高いのです。

従来の塩ビというのは、化学工場で発生した塩素の処分のために作られることも多く、また、原料の石油の比率が低いため安いという特徴があります。

エコケーブルのポリエチレンやEPゴムは、石油だけで作るので高くなります。

さまざまな添加物が必要なことも、値段に影響します。

塩ビは、そもそもが安定な物質であり、燃えにくく、紫外線にも強いです。

また、可塑剤の量を調整することで、硬いものや柔らかいものが簡単に得られます。

エコケーブルは、前述の難燃剤のほか、紫外線吸収剤や安定剤、または着色剤 (黒は紫外線を遮るため) が必要になります。

また、可塑剤がない分、塩ビに比べて硬く、加工や配線はしにくいです。

リサイクルの問題もあります。

現在、電線のリサイクルは、被覆を剥ぎ取って、導体の銅と被覆の樹脂・ゴムを分けておこないます。

銅はリサイクルされますが、被覆は埋め立てとなるのが一般的です。

いくらエコケーブルとはいえ、埋めるのでは、資源保護の問題は解決されません。

エコケーブルの使用例

エコケーブルは、塩ビと比べて耐熱温度が高いので、従来の電線に代わって使われることがあります。

ブザーの口出し絶縁電線

パナソニック製のブザーの口出し線には、架橋ポリエチレン絶縁電線が使われていました。

役所とかの場合、エコケーブルの使用を規定しているらしいので、そのためなのでしょう。

このブザーを学校で見たことがあります。

ごちゃごちゃと説明しましたが、燃焼時にダイオキシンを発生しないエコケーブルというのがあるんだよ、が伝わればうれしいです。

閲覧ありがとうございました。

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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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