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日本語の長音記号


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2021-5-8 (土)

今回は、久々の言語ネタです。

日本語のお話ですが、決してイルボノマンセーの意図はありませんよ。

突然ですが、カタカナの文字や記号のうち、もっとも発音のレパートリーが多いのはなんでしょう?

正解は、長音記号 “ー” です。

“ー” は、前にある文字によって発音が変わります。

例えば、“ア段” が前にあるなら、“ア” の長母音 “アー” という発音になります。

同じように、“イ段” なら “イ” の長母音 “イー”,“ウ段” なら “ウ” の長母音 “ウー”,“エ段” なら “エ” の長母音 “エー”,“オ段” なら “オ” の長母音 “オー” です。

さらに、“ウ段” でも、“ス・ツ・ズ・ヅ” は違うタイプの “ウ” なので、これも区別されます。(このお話は別の機会に)

しかも、“ンー” もありますから、長音は7種類の音を表すことがわかります。

ほかの文字などと比較しましょう。

“ッ” は、“k・t・p” の3種類、“ン” は “ng・n・m” の3種類です。(もっと細かく分ける方法もあります)

“ー” のレパートリーの多さがわかりました。

この長音、非常に便利な記号です。

長音がなければ、ピカチュウは “ピカチュ” に、厚生労働省 (コーセーロードーショー) は “コセロドショ” になってしまいます。

ちょっと舌足らずな発音ですね。

ところで、この長音記号は、日本語にしか存在しません。

日本語以外では、長母音と短母音 (ア・イ・ウ・エ・オなど) を区別しないか、区別しても表現する方法がなかったりします。

中国語,韓国語と比較します。(私がこれしか知らない……)

中国語にも、長母音はあります。
ですが、ほとんど区別せず、表す文字もありません。

特にわかりやすい長母音は、単母音 (a,o,e,yi,wu,yu) がついた音です。

通常、これは "la"(ラー),"ju"(ジュィー) など、伸ばして発音されます。

中国語には、こんな面白い言葉があります。

“妈妈骂马吗? (Māma mà mǎ ma?)”

これ、発音は “マーママーマーマ” で、日本語に訳すと、“ママは馬を罵りますか?” となります。

"ma" の上の線は声調記号という、中国語独特のやつです。

この場合、声調記号つきの "ma" が長母音 (マー) 、声調記号のない "ma"(軽声) が短母音 (マ) なのです。

これは、文脈で判断するしかありませんね。

次は韓国語の例です。

韓国語にも長母音と、その区別はあります。
ただし、表現する方法はありません。

例えば、“말 (mal)” という単語、は、“マール” と読むか、“マル” と読むかで意味が変わります。

“マール” は言葉、“マル” は馬です。

長母音を区別する方法がないため、近年、発音を区別しない人が増えているそうです。
そのうち、言葉も馬も “マル” になるかもしれません。(学習は簡単になりますが、なんか残念ですね)

おそらく、長音記号 “ー” は、日本を訪れた欧米系の人が作ったのだと思います。
濁音を表す濁点 “゛” や半濁音を表す半濁点 “゜” もポルトガル人が作ったといわれています。

日本語の長音の便利さが伝わったはずです。

長音がなかったら、町もマーチも “マチ”、角もカードも “カド” ですからね。

これは、外国語学習の難しいところでもあります。

また、日本語を学習している人は、長音記号・長母音を使えるようになると、上達がはやいかもしれません。

閲覧ありがとうございました。

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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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