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オシロスコープ用の変圧器


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オシロスコープ『DSO138』を買いました。(本体84円,電源4円)

DSO138

オシロスコープは、電圧の変化を波形として表示する機械です。

さっそくコンセントの電圧の波形を測ろうと思ったのですが、このDSO138は、耐圧が50V (ボルト) までということで、100V (最高141Vくらい) のコンセントにダイレクトに差し込むと壊れます。

コンセントの100Vを50V以下にする方法で、最もオーソドックスなのは変圧器 (トランス) を使う方法でしょう。変圧器を使えば、元の波形を崩さずに電圧を下げることができます。

で、変圧器をどこから入手するかですが、残念ながら、変圧器はホームセンターに売っていません。(海外旅行用の変圧器はありますが、高価でもったいないです)

なんと、変圧器は、家電やACアダプターの中に入っています。こういうときのためにメーカーが用意してくれているのです。

ということで、使わなくなったACアダプターから変圧器を入手しましょう。

ここからは、変圧器の選び方と注意点です。

間違った変圧器を選んだり、使い方を誤ると、恐ろしいことになります。

  • 60ヘルツ専用の変圧器は、50ヘルツでは使えません
  • 高周波トランスは使えません
  • 1次側と2次側を逆につないではいけません
  • 短絡・感電に注意してください

それぞれ、ちょっと詳しく説明します。

60ヘルツ専用の変圧器は、50ヘルツでは使えません

60Hz専用のイメージ

変圧器は、鉄心 (コア) にコイルを巻いた構造をしています。60Hz (ヘルツ) 用を50Hzで使うと、コイルが焼けます。

一般に、電源の周波数 (ヘルツ) が大きいほど、変圧器のコアを小型化できます。実際、60Hz専用の変圧器は、50Hzのやつよりも小型で軽量です。

一方で、60Hz専用は、小型なぶん、磁力のエナジーを蓄える能力が低いという短所があります。結果、次のような現象が起こります。

  1. 60Hz専用変圧器に50Hz
  2. コイルの電流が60Hzより1.2倍 (電流は周波数に反比例)
  3. 磁束が1.2倍 (磁束は電流に比例)
  4. 鉄心の断面積が不足し、それ以上は磁束がとおらなくなる (磁気飽和)
  5. 鉄心の透磁率が急激に下がる
  6. コイルのインダクタンスが低下 (インダクタンスは透磁率に比例)
  7. インピーダンスが低下 (インピーダンスはインダクタンスに比例)
  8. コイルの電流が急激に増える
  9. コイルが発熱し焼損

上の理屈はどうでもいいので、“60Hz専用の変圧器は50Hzでは使えない” ということが伝わってほしいです。

逆に、50Hz用の変圧器は、60Hzでも使えます。

50Hz用と60Hz専用の変圧器の見分けるには、ACアダプターや家電の定格周波数の表示を見ます。

ACアダプターの表示

このACアダプターは、“50/60Hz” の表示があり、50Hzと60Hzの両方で使えることがわかります。

定格周波数の表示の例と、50Hz・60Hzの使用の可否をまとめます。

定格周波数の表示 使用できる周波数
50Hz 50Hz・60Hzの両方
60Hz 60Hz専用
50/60Hz 50Hz・60Hzの両方

家電やACアダプターから変圧器を取り出す場合は、その家電が50Hzに対応、または50・60Hzの両方に対応しているか確認してください。

60Hz専用の家電に使われている変圧器は、50Hzでは使えません。

高周波トランスは使えません

スイッチング電源の回路

高周波トランスは、商用電源の周波数 (50Hzと60Hz) よりも大きい周波数 (1万Hz〜100万Hz程度) で使う変圧器です。

具体的には、スイッチング方式のACアダプターに使われています。

スイッチング方式のACアダプターは、高速でオン・オフを繰り返すことで、周波数が高い状態を作り、高周波トランスで電圧を下げるしくみです。

上にも書きましたが、周波数が大きいほど、変圧器の鉄心 (コア) を小型化できます。

高周波トランスの鉄心は、鉄 (ケイ素鋼) ではなく、より軽いフェライト (酸化鉄を混ぜたセラミックの一種) などとなっています。

で、高周波トランスに50Hzや60Hzをダイレクトで入力すると、磁気飽和により焼損します。

一般的な変圧器と高周波トランスの見分け方は、回路を見る方法と、変圧器の鉄心を触る方法があります。

ACアダプター

左のような回路なら一般的な変圧器、右の回路なら高周波トランスです。

ACアダプター

グレーの部分が変圧器の鉄心です。一般的な変圧器の鉄心は、薄い板を重ねて作られているので、細かい凹凸があります。(積層鋼板といい、 (うず) 電流による損失を減らす効果があります)

鉄心の表面に細かい凹凸があれば一般的な変圧器、つるつるならフェライトの高周波トランスです。

ちなみに、ケイ素鋼もフェライトも磁石に着きますので、磁石で見分けることはできないです。

1次側と2次側を逆につないではいけません

変圧器は、電源を入力するほうを1次側、変圧した電気を取り出すほうを2次側と呼びます。

100ボルトの入力に対して、何ボルトが出てくるかは、変圧器のコイルの巻き数の比によります。

例えば、1次側が100回巻き、2次側が10回巻きなら、2次側からは10Vが出てきます。

この変圧器の1次側と2次側をアベコベにすると、1次側が10回巻き、2次側が100回巻きとなり、100Vの入力に対して、2次側から1,000Vが出てきます。

結果、発生した1,000Vで感電したり、コイルの絶縁体が耐えられず絶縁破壊し短絡 (ショート) したりと、非常に恐ろしいことになります。

短絡・感電に注意してください

変圧器に限らず、電気で遊ぶ際は、短絡 (ショート) や感電に注意してください。

100Vのところ (充電部) を露出させず、絶縁体で覆うと安全です。

なお、コンセントから先の工作になるので、資格などは不用です。

家電から取り出した変圧器で遊ぶというのは、なかなかない貴重な経験ですが、失敗して火を噴いたり、ビリっときたり、オシロスコープが壊れたりしたら、途端につまらなくなります。

安全で楽しいオシロライフを。

閲覧ありがとうございました。

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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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