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2008/06/17

Re: 電通調査の件

だいぶコメントするのが遅れたけど、この話。電通が2008年2月に実施した「クロスメディア行動調査」(リンク先はPDF )に関するsmashmedia 河野氏のエントリーから。まず電通の調査自体は、企業にオンラインでのマーケティングへもう少し意識を向けてもらう上で「使いやすい」調査結果だろうと個人的には思うが、「最近1カ月間に広告を見て、その内容に関してキーワード検索をした」人の比率に関する以下のコメントには同意。
1ヶ月以内っていうスパンの取り方が正しいのか微妙だけど、それはさておき、ぼくはケータイでしか検索しない人(この調査だと1.2%)がもっといると思う。これもパネルがPCユーザーだから現れてるバイアスじゃなかろうか。




それではこちらの調査はどうだろう。Jストリームが2007年12月に発表した「ネットユーザー利用動向調査」。マルチデバイスによるインターネットアクセスの拡大を見据えて、PC ユーザー/ケータイユーザーの双方を対象に実施したものだという。

この中に上掲の「広告によるキーワード検索」に関する設問と近いものがある。「テレビ視聴がきっかけで、詳細を知るのに使うネット端末はどちら?」というもので、ただし回答は「PC」「携帯」「PC や携帯ネットで詳細を調べない」の3択となっている。



こう見ると、ずいぶん違う結果だという印象を受けるのではないか。選択肢が違うものの聞きたいことはほぼ同じはずなのだが、パネルの組み方もあってずいぶん違ったものになっている。PC での検索だけでなく、モバイルへの取り組みも忘れずに、と伝える際に側面から援護してくれるような資料ではある。

#個人的には、(テレビではなく)交通広告などで検索を喚起している場合がこれに近いような感触ではないかと。

*ただしこの調査、有効回答数2,866のうち「携帯のみ+主に携帯でアクセスするユーザー」が1,696、「PC のみ+主にPC でアクセスするユーザー」が1,170ということのようなので、モバイル側の利用が強く出るきらいはあるだろう。これが日本のインターネットユーザーの端末利用動向に即しているか、というとそれはそれで微妙かも。詳しくは元のリリースを参照のうえ各自でご判断を。

2008/02/06

それはペイド・インクルージョン(Paid Inclusion)ではない

livedoor ディレクターBlog に「モバイル検索の裏側」というエントリーが掲載された。ジェイ・リスティングの山田という方が「ケータイlivedoor」のモバイル検索について語っている。モバイル検索におけるディレクトリ型検索エンジンの有効性を説明し、
登録サイトをロボット型検索エンジンのクローリングの基点にすると共に、登録サイトが優先的に表示されるようなアルゴリズムを組むことにより、検索結果の精度を向上させる取り組みが成されています。
と紹介している。つまり、もし仮にケータイlivedoor でのSEO を検討する際にはまずディレクトリ登録(≒Jリスティング社の「Jエントリーモバイル」)から、という話だ。



さて、明らかな間違いが次の「モバイル検索連動型広告について」の章に含まれている。いささか長くなるが、当該部分を引用する。
モバイルにおいてはロボット型検索エンジンのみの場合、前述の要因の影響で検索結果として不十分なものになる可能性が高い状況です。そこに対する解決策として利用されているのが、ジェイ・リスティングの検索連動型広告であり、ペイドインクルージョンという手法です。

ジェイ・リスティングの検索連動型広告では、事前にクライアントが購入するキーワードとそのサイトの関連性を審査しています。その審査を経た広告を検索結果の上位に混ぜ込むことで、検索ワードと関連性が高い検索結果としての広告を提供することに繋がっています。(強調は筆者)
うーん……。ペイド・インクルージョン(Paid Inclusion。Pay for Inclusion、略してPFI ともいう)とは、クローラーによるデータ取得が難しいサイト(例えばCGI を用いたECサイト)などを対象に、有償でWeb ページのデータを検索エンジンのインデックスへ格納するサービスを指す。山田氏が書くような「PCの世界においてはタブー視されている手法」ではなく、クローラーの性能が低かった時代にはそれなりの意味を持つサービスであった。ただし、必ずしも検索結果における上位表示を保証するものではない、という点を認識しておきたい。クローラーの性能があがり、かつ、まっとうなSEO の知識に基づく検索エンジンフレンドリーなサイト構築が普及してきた昨今ではほとんど顧みられることがなくなりつつあるプログラムといってよい。

ということで、上記のように「広告を検索結果の上位に混ぜ込む」というのはペイド・インクルージョンとは本来関係がない。混ぜ込む先はインデックスであるべきで、検索結果へダイレクトに「混ぜ込む」のはまた別の話だ(要は中国における百度の検索結果などと同一、という理解でよいだろうか?)。それはモバイルであっても「タブー視される手法」だろうと考えられるし、広告は広告として判別可能な形で掲載するのがのぞましいのではないだろうか。

意図的に話を混同させているのであればたちが悪いが、心からそう思い込んで書いている可能性もあって判断しがたい。思い込みで書いてしまったのであれば、早期に訂正されることをおすすめする。検索結果ページの表示形式についても(筆者の理解したような手法であるならば)再考されるべきかと思う。