まずはこちらの「“6ピクセルの違い”が広告収入を4億円以上変えた--ビッグデータ解析の可能性」と題された記事から2か所ほど引用する。
検索窓の位置がたった6ピクセル違っただけで、広告収入が4億8000万円変わる──10月8日、大阪で開催している「B Dash Camp 2013 Fall in Osaka」の最初のセッションで、こんな発言が飛び出した。
橋本氏によると、実はYahoo! Japanのトップページでは、検索窓の高さについて、膨大な回数のA/Bテストを実施しているのだという。そこでは高さを22ピクセルから28ピクセルに変えたところ、広告のクリック率が0.64%向上した。
*いずれも強調は筆者
特にリード部分がしっくり来なくて本文ともども読み返してみたのだが、まずこれは検索窓の「位置」ではなく「高さ」の話のようだ。また「たった6ピクセル」とあるが、22ピクセルから28ピクセルへの変更は高さを1.27倍にするという話であり、それなりに指標に違いが出ても不思議はないといえる。
また「広告のクリック率が0.64%向上」という表現の気持ち悪さ(率の変化をさらに率で表記)はさておき、このUI変更は主に検索数の増加につながるものと想定され、広告のクリック率への大きな影響は考えにくい。なんだろうこれはと思って少し調べてみると、以前に同じCNET に掲載されたインタビュー記事「ヤフー流のマルチビッグデータ戦略--データ統括責任者に聞く」に、本件に関する当事者からの言及があった。
これだけ小さな変化でも検索連動型広告の売上げが0.64%(この当時で4億8000万円)上がるなど、大きな影響があるのだという。
*クリックで拡大画像(CNET)へ移動 |
あくまで最終的な広告売上の変化率が+0.64%だったということであり、広告のクリック率が向上したという話ではないようだ。冒頭の記事においては、改善の実施主体と語り手と記者が異なることにより、伝言ゲームのように変化してしまったのかもしれない。
#本筋ではないが、上記スライドにおける検索キーワードは左右で同じものを使用すべきではないかと。
広告掲載媒体や広告配信プラットフォームが売上を増加させるために気にかける指標とその改善のための打ち手は、広告主/代理店の立場からはなかなか見えにくい。その一端が開示されたという意味で、興味深い事例ではあったかと思われる。
#業界的には先般、検索結果ページ上部の広告掲載本数を5本にし、かつ行間を広げてファーストビュー/Above the fold を広告のみにしたことの売上への影響なんかがより興味を引くところだろうけれど、これは開示されないだろうなあ……(といっている間に9月が終わって4本に戻したようだ。うわ何をするやm