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2015/03/09

大きなミスほど見逃されやすい、の例( #Googleセキュリティ月間 から)

すっかり乗り遅れたが、先月(2015年2月)の前半、Google の公式Twitter アカウントが、オンラインで安全に過ごすための一般的な注意点を紹介する「Googleセキュリティ月間」なる取り組みを行っていた。セキュリティに関する問題を画像付きで出題し、追ってその答えを解説するというスタイルだったが、その2日目にちょっとしたミスがあったとのこと。こちらのエントリー(↓)にうまくまとめられている。

Google Japan 公式 Twitter、セキュリティ月間で問題を出すも、正解とは別のところで突っ込まれる | WWW WATCH

要約すると、
  • 本来の出題意図は「本物と見間違いやすいURLにご注意を」というもの
  • しかしURLの先頭が「http://」ではなく「http//:」になっていたため総つっこみを受ける
  • 気を取り直して、修正した画像にて再出題
という流れ。 気を取り直した後の「正しい」画像はこちら:
解答はこちら:
URL の確認が重要であることに異論はないが、米国国旗の星の数よりもっと大きなつっこみどころがあることに読者諸賢は気づかれただろうか? それはここ:


……外貨預金なのに、なぜ日本円が対象になっているのか。しかも筆頭。計算してつっこみどころを入れたのならすごいが、まあ違うだろうなあ。
(*参考:画像検索「外貨預金」

筆者の経験上も、雑誌のゲラを確認する際、見出しなど目立つところほどミスが発見しにくかったりしたが、今回の事象も同じようなことかと推測する。まあ取り組みとしては有意義だし、それなりに面白いものだとも感じたので、これにめげずがんばっていただきたい。

2010/05/30

日本の検索サービス利用動向(2010年4月)

日本の主要14検索サービスについて、ネットレイティングスが検索者数、クエリ数(検索数)、検索結果ページビュー数、検索セッション数などを発表している(2010年4月、家庭と職場のPCからのアクセス)。これは"インターネットユーザーの検索行動に焦点を当てた検索サービス利用動向レポート"「MegaView Search(メガビューサーチ)」の提供開始にあたり、その内容紹介を兼ねて発表したもの。

MegaView Search による2010年4月の検索サービス利用動向

発表された数字をもとに軽く触ってみるといろいろ興味深い内容が浮かび上がってくるが、その前に注意しておきたいのは、以前に「Yahoo! JAPAN とGoogle、実際の検索シェア」で紹介した2008年10月の数字とは、対象検索サービスおよび調査パネルが異なるという点だ。検索サービスは9から14へ増えており(独自開発ものではNaver が入った)、パネルについては名前のとおり、NetView ではなくMegaView を使用している模様(*)。特に調査パネルが異なるため、前回の数字との連続性はないと考えるほうが安全だ。

*23時40分追記: 「MegaView Search はNetView と同じパネルを使用している」との指摘が入ったため訂正を行った。「NetViewはコンテンツ単位にURLを束ねて集計しているが、MVSは検索クエリ単位にURLを束ねて集計している」とのこと。@nisitomo に感謝。

検索数(検索クエリー)のシェア

まずはベタにいわゆる「検索のシェア」から。前回発表されたのは「検索結果ページのページビュー数」のみであったが、今回は「検索クエリ数」も発表されており、こちらが検索の使われ方を示す数字としてはより適切かと思われる。検索クエリーの総数に占める各検索ブランドのシェアは以下のとおり。

検索クエリーのシェア

Yahoo! が53.2%、Google が37.3%、MSN/Bing が2.6%。以下、goo、biglobe、infoseek、nifty とつづく。ちなみに検索結果ページのページビュー数におけるシェアを見るとYahoo! が57.0%、Google が34.2%となるが、これは「1検索クエリにつき閲覧される検索結果ページ数が異なる」ため。以下に「検索結果ページビュー数/クエリ数」を示す。

検索結果ページビュー数/クエリ数

この数字の解釈はさまざまに可能で、すぐに思いつくものとしては「少ないほど検索エンジンとしての精度が高い(1ページ目にユーザーが満足できる結果を返せている)」「ユーザーが検索結果画面に求めるものが各ブランドごとに異なっている」など。後者の例としては、例えばBaidu が1クエリーあたり4ページ近く閲覧されているが、Baidu の精度が低いというより、何ページも見たいと思うような検索のされ方をしていると考えたほうが妥当だと思われる。つまり画像/動画検索がよく利用されているのではないかと(間違っていたら申し訳ない)。

#Baiduのローンチ当初はアダルトフィルタがデフォルトOFF で、巷で「漢(おとこ)の検索エンジン」と呼ばれたことを思い出す。


ユーザー1人あたりの検索数

もうひとつ興味深いのがこちら、「クエリ数/検索利用者数」の比較。ひとりの検索ユーザーが月に何回ほど検索するか、というものだ。

検索ユーザーひとりあたりのクエリー数

この切り口で見ると、Yahoo! とGoogle では検索利用者ひとりあたり月間56クエリー前後となっており、2強の様相を呈している。この数字の少ない検索エンジンは「ライトユーザーに支持されている」もしくは「メインの検索エンジンとしては利用されていない」のいずれかだと思われる。


その他

「MegaView Search(メガビューサーチ)」はウェブ検索のほか、イメージ検索、ショッピング検索、ニュース検索、ローカル検索の検索タイプ別レポートを提供する、とのこと。ネットレイティングスのリリース内、図表2においては「Yahoo! Search」の内訳が公表されている(ウェブ検索がYahoo! Search 全体の85%)。

いまの検索エンジンが向かう方向性としては、(Google やBing に代表されるように)ひとつの検索窓から入力された検索クエリーの意図に添った結果を、検索タイプを問わずひとつの検索結果画面として出力する、いわゆるBlended Search が当面の主流となっている。その意味で、検索タイプ別のレポートが検索利用の実態に合わなくなる日は遠くないのかもしれない。

2009/06/30

オーバーチュアの地域ターゲティング設定がGoogle Chrome 非対応なのはChrome 側のバグ

Google Chrome でオーバーチュアの管理画面を開き、地域ターゲティング(地域による広告表示の絞り込み)を設定しようとすると、うまく表示されないのだそうで。

下記画像の通り、地域セグメントをかけようとした場合は、通常は対象地域を選ぶことが可能なのですが、Google Chromeの場合、地域セグメントをかけることができません。(中略)オーバーチュアのサポートに電話してみたところ『知らなかった』だそうです。殿様や。。。
オーバーチュアがGoogle Chromeに対応していない

Google ChromeでOvertureを使うと、地域指定ができず、日本全国を選ばなくてはならない。地域を指定する機能が表示されないからだ。囲い込みのつもりだったらやめたほうがいい。
ChromeでOverture


へー。ちなみにオーバーチュア管理画面の推奨ブラウザはWindows でMicrosoft Internet Explorer 6.0以上もしくはFirefox 2.x以上、MacintoshでFirefox 1.5x以上、Safari 2.x以上、Opera 9.x(Mac OS10以上)と記載されている。ただし「2007年8月1日現在」ということで、じゃっかん記述が古い感も。

また本家Yahoo! Search Marketing のヘルプにはSupported Browser の記載は見当たらないが、近しい関係にあるYahoo! UI Library では、以下の"A-Grade Browser" をサポートの対象としている

A-Graded Browser

競合のブラウザをはじくなんていう面倒な(しかもリスクの高い)手法をとるはずもなく、単にシェアの問題だろう。まあ別に一般人が知る必要はないのだけど。


同じWebKit を使うSafari ではどうか

自宅環境がMacintosh なので、Google Chrome と同じレンダリングエンジン(WebKit)を使っているSafari のバージョン 4.0(5530.17)で地域ターゲティングの設定を試してみた。以下のとおり、問題なく指定できている。

Safari でオーバーチュア管理画面から地域ターゲティング設定

で、アドワーズ広告のヘルプ内にGoogle Chrome に関する記述があるのだが、
Google Chrome では Apple Safari と同じオープンソースのレンダリング エンジン (WebKit) を使用しているため、Apple Safari と同じようにサイトが表示されます (Internet Explorer や Mozilla Firefox とは異なって表示される場合があります)。互換性を高めるため、何百万というサイトで Google Chrome ブラウザをテストしました。
Google Chrome ブラウザでも他のブラウザと同じようにウェブサイトが表示されますか?

なのだそうだ。その上で「Google Chrome で表示したときにサイトが適切に動作しない場合は」以下の方法で報告するようユーザーへ協力を呼びかけている。
  • Google Chrome と Apple Safari の両方でサイトが適切に表示されない場合は、http://webkit.org/quality/reporting.html (英語のみ) の手順で webkit.org にバグを報告してください。
  • Apple Safari ではサイトが適切に表示されるが、Google Chrome では表示されない場合は、http://code.google.com/p/chromium/issues/list で Google Chrome のバグとして報告してください。

ということで、上掲の両名はすみやかにGoogle Chrome のバグとして報告すべし。

2009/02/28

検索エンジンおよび関係者のTwiiter アカウント 

……という記事がSearch Engine Land に掲載されている。「The Big List Of Search Engines & Their Employees On Twitters」。リストを見ると、企業としてのアカウントや(Yahoo!, Google ほか)、サービスごとのアップデートを伝えるもの、関係者個人のアカウントまでさまざま。

企業としての利用開始はYahoo! が早かったが、Google の利用開始は大きな話題となり、3日ほど経過した現時点でのfollower 数はなんと31,833。さすがに企業としての注目度を感じさせる。ちなみにYahoo! は5,486 followers となっている。





またこの記事が掲載されているSearch Engine Land もTwitter アカウントを保有しており、主に新着記事を知らせている。メールマガジンを登録していたり、RSS で読んでいる人には不要だろうが、今後は日本でもニュースサイトがtwitter アカウントを持つ動きが加速するのだろう。


【追記】
そうそう、忘れてた。同じくSearch Engine Land のSearch in pictures にこんな画像が(cc by MarekP)。



検索エンジン同士で「Twitter へようこそ」「ありがとう」などと会話している。 :-)

2009/01/16

Yahoo! JAPAN とGoogle、実際の検索シェア

ネットレイティングス社がニュースレター「Nielsen Online REPORTER」の1月15日号で「日本の検索サイトの利用状況」をレポートしている。このレポートが、昨年12月に報じられたグーグル日本法人による会見時の
“Googleのシェアは41%で、44%のYahoo!との差が縮まってきた。”
Yahoo!の背中見えた? グーグル日本法人が「よい年だった」(@IT)
を実質的に訂正するものだ、ということをどのくらいの人が認識しているだろうか。ニュースレターによれば、2008年10月における「検索結果ページ表示数」は以下のとおり。



「Yahoo!が提供する検索サービスが、家庭と職場の合算で35億3600万ページビュー、Googleが提供する検索サービスが同25億6800万ページビュー」(同ニュースレター)となっている。10位以下の検索サイトでのページビュー数が省略されているため、この9サイトの合算で計算すると、それぞれの検索結果ページ表示回数の割合はYahoo! JAPAN が52.5%、Google が38.1%となる(10位以下を考慮すると、実際にはそれぞれがこの数字よりわずかに下がる計算となる)。

それでは昨年12月の会見で使用された44%対41%という数字はどこから出てきたのだろうか。実はネットレイティングス社が提供するインターネット利用動向調査(いわゆる「ネット視聴率」)の「NetView」において
  • 「サーチ」サブカテゴリを
  • 「家庭+職場」で
表示させると、確かにこの比率のもととなる数字が出てくる。実数でいうと2008年10月の数字でYahoo! JAPAN が35億3,600万ページビュー、Google が29億7,200万ページビュー。ただし、同社自身がニュースレターで言及しているとおり、この「サーチ」サブカテゴリの集計方法には大きな問題があって、
検索サイト(Google、Ask.jp、Baiduなど)においては各サイトのトップページの利用状況(利用者数、ページビューなど)も含まれてレポートされている一方、ポータルサイト(Yahoo!、MSN/Windows Liveなど)においては各サイトのトップページの利用状況(利用者数、ページビューなど)が含まれていない
(同ニュースレターより)
確かにYahoo! JAPAN のトップページにアクセスしたユーザーがすべて検索目的かというとそうではなく、むしろブラウザのホームページに設定されているため毎回自動的に表示されるだとか、メールやオークションへアクセスするためだとか、検索以外の目的で開かれている可能性が高そうだ。

よってこのサブカテゴリにおいてポータルのトップページを除外するのは合理的だが、一方で検索サイトのトップページを含めてしまっているのは片手落ちだろう。ましてGoogle 日本のトップページがデザインを変更し、グローバルと異なった独自仕様となっている現在、Google トップページへのアクセスが検索目的とも言い切れなくなってきているのではないか。

「職場」の数字を使う際の注意点

もう1点言及しておきたいのは、昨年10月のサービスリニューアルにより提供されるようになった「家庭+職場」のデータのうち、「職場」部分がどのように集計されているか、という点だ。ご存知のとおり、同社を含む多くのデータ提供会社は、インターネットユーザーのPC にプログラムをインストールし、データを取得・集計している。

とすれば、初歩的な疑問として「日本の職場で自由にプログラムをインストールできる環境はどの程度の割合なのか? それは日本における職場でのインターネット利用を代表しうるのか?」という質問が浮かぶ。例えば金融系の企業がこういったツールのインストールを認めるかどうか、想像してみるとよい。一定以上のセキュリティ意識を持つ企業は「職場」のパネルには含まれていない、と解すべきだろう。

また「家庭」が少ないながら万単位のパネルを確保しているのに対し、「職場」については約800にとどまっている点もおそらく認知されていないであろう。統計的な処理により信頼性は担保されているものと思うが、パネル数が少なく、かつセキュリティ意識の高い企業が含まれ得ないパネル構成となっていることは理解しておくべきかと思われる。

#そうはいうものの、家庭よりも職場においてGoogle がより広く利用されているだろう、というのは体感値として納得のいくものではある。

グーグル日本法人が提示した「サーチ全体のシェア」の数字が衝撃的だったのは、
  • そもそも「サーチ」サブカテゴリの算出方法が合理的でなかった
  • これまで「家庭からのアクセス」の数字が広く認知されていたところ、グーグルの利用比率が高く出る「家庭+職場」のデータを用いた
ことに起因している。

どういった数字であれ、それがどのように取得され、どのような傾向を持つ可能性があるか、理解したうえで使いこなすことが重要である。企業が発表に用いたから、ニュースサイトに書いてあったから、と鵜呑みにしていては進歩はない。

#本エントリーの本筋ではないのだが、Baidu 検索の結果ページ表示回数が4,738万回というのは多いのか少ないのか。うち何割が動画/画像検索なのか、という点も含めてたいへん興味深い。

2008/12/27

今年のベスト(?)キャンペーン(??)

「今日のニッパウ」の小越氏からビーンボール気味のクリスマスプレゼントが。おおもとはここのようだ。
「2008年、ブロガーが選ぶウェブキャンペーンベスト5」と称して、ブログ界的には懐かしい「バトン」形式で、色々なブロガーに今年一番印象に残ったウェブキャンペーンを選んで頂き、うまく2008年の広告業界を振り返って頂きたいと思います。
筆者の更新頻度で果たして「ブロガー」といってよいのか、とも思うし、ウェブキャンペーンに限定されてしまうと「ない」という結論になってしまう。

しかし小越氏の1位が「オバマ大統領のインターネットキャンペーン」であるように、各種キャンペーンの中でインターネットのからませ方がうまかったもの、と考えると……やっぱりないな。オバマは同意だけど先に言われちゃってるし。

まあ期待されてるのは「広告系」(だっけ?)の人たちが取り上げないような角度のものだろうから、せっかくなのでひとつだけ。

パナソニック(旧「松下電器産業」)の企業ホームページ
http://panasonic.co.jp/


既に有名だと思うが、4回目の冬を迎えてもまだ継続している、というところをあらためて評価したい。2005年にFF式石油温風機の欠陥問題が明らかになった際に、同社がCM をすべて当該温風機の回収告知CM に差し替えたり、はがきを全戸に送付したりと徹底した呼びかけを行い、結果として企業への信頼性を高めたのは覚えている方も多いことだろう。

ではこの時、Web サイトにおいても「松下電器からのお願いです」のページ以外は表示できないように対応していたことはご存知だろうか。その後、リダイレクト処理は外したものの、トップページ(http://panasonic.co.jp/)はほぼこの回収の呼びかけのみという状態が現在まで続いている。

panasonic.jp という商品情報サイトが別に存在するとはいえ、企業ホームページのトップを何年もこの状態にしつづける、というのはなかなかできることではない。特に2008年は松下からパナソニックへの社名変更とブランド統一もあった訳で、そのタイミングでこの告知の扱いを下げていても不思議はなかっただろう。

筆者も参加しているWeb 広告研究会の企業広報ワーキンググループでは、こういった企業ホームページの危機管理に関する研究を継続して行ってきており、この12月にはまとめのセミナーを会員向けに実施し、盛況であった。派手なキャンペーンもよいのだが、安全や企業の誠実さに対する視線が厳しくなっている現在、何かことが起きた時の対応のあり方を考えておくことは重要ではないだろうか。


検索まわりでは

検索やブラウザまわりもいろいろ動きがあったこの1年だが、中でもGoogle Japan がお金をかけて本格的にマーケティング活動を展開しだしたなあ、という印象を受けた。「Google で、できること。」なんかのことだが。日本独自のトップページにしたこととあわせ、これ以上にのばすためにはどうすればよいのか、という問題意識から具体的なアクションが出てきた一年だったということか。

ただやはり、もっとも世の耳目をひいたのはストリートビュー騒動だろうし、これによってGoogle の企業姿勢が広く伝わったことこそが今年のトピックなのだろう。よくも悪くも、特に同社の広告審査に対するスタンスを理解している人であればストビュー問題にも通底するものを感じただろうし、特に驚きもなかったはず。しかし単に検索やその他の優れたサービスを利用してすごいすごいと言ってるだけの人の中には、ここで初めて危機感を持ったという人も多かったのかもしれない。

#筆者はこういった点も含めて、それでもGoogle はすごい、という評価が妥当だと考えている。

2008/09/04

検索とエコと広告

検索をめぐるあれこれを考えるのにちょうどよい事例が見つかったので、つらつらと書いてみよう。「欧州の視点」の「グリーン検索あれこれ」というエントリーから。
検索でエコ活動に貢献しようというドイツベースのNPO、Forestle.org のグリーン検索が、開始後まもなく行き詰っている。

Googleの検索サービスを利用して、ユーザーによるスポンサーリンクのクリックから得た収益を熱帯雨林維持活動にあてようというサービス。 Forestleで1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救うとあり、現在29273.2平方メートルを救ったとサイトに書かれているが、 Googleが「人工的にスポンサーリンクをクリックさせることを奨励している」として提携を解消したようだ。
これはGoogle の対応が正しい。検索1回あたりの広告収益を事前に確定させることはできないため、「1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救う」というようにうたうことは本来、望ましいこととはいえない(ざっくり見積もることはもちろんできるが)。

この数字を目標どおりに達成するためには、必要額が得られなかったときの広告以外の収益による補填の方法をあらかじめ定めるか、もしくは広告のクリックを(明示的であれ暗示的であれ)促すしかないわけで。この場合、同じようなモデルの「緑のgoo 」がとったように、「収益のうち決まった割合を寄付」といった形が無理のないやり方だといえる。

ちなみに現在、実際にForestle で検索してみると、以下のような凄まじいメッセージが表示される。ひどいねこりゃ。



Forestle が当面の代替としてすすめている「Znout」がまたなんというか……環境に配慮したサーバーを利用している、などはよいのだが、デザインテンプレートが同一で手抜き感がただようのに加え、「Our black background lets you save up to 30% energy while searching the web. (黒の背景色により、検索時のエネルギー消費を30%削減できます)」というのはいかがなものか。大元の検索エンジンがWeb をクロールしてインデックスし、検索のリクエストにこたえるまでの、すべてのプロセスにおいて消費されているエネルギーの総量から見たときに、それはどのくらいのモノなのか。狭いなあ。



#背景色を黒に、というのはBlackle のアイデアだったと記憶しているが、それも登場時にその有効性について激しい議論があったような。

ちなみにご本尊のGoogle では、Google.org の中で再生可能エネルギーの研究を進めている。レイヤーがいくつも下のところから解決策を探しにゆくGoogle の姿勢には驚かされることが多いが、これもそのひとつ。ものごとの進め方については強引なところが気になり、同意しかねることも多いが、このエネルギーに関する取り組みについては素直に賞賛してよいのではないか。

*その他、本件と直接関係しないが示唆に富む記事:
 Greenseng:グリーンな検索エンジンは、実際に省エネ効果がある (TechCrunch)


検索をめぐるエコシステム(生態系)

ついでなのでちょっとマジメな話。広告配信プラットフォームとしてのGoogle(や同業他社)の役割は「インターネットユーザーと広告主を適切に結びつけること」であり、関係者は以下のように整理できる。

インターネットユーザー
↑↓
広告掲載サイト
↑↓
Google(広告配信プラットフォーム)
↑↓
広告代理店
↑↓
広告主


広告代理店を通さず直接出稿することも可能であり、またGoogle において検索が発生した際には広告掲載サイト=Google となるが、ここでは分けてある。

ポイントは、いわゆる検索連動型広告をめぐってこれだけの利害関係者が存在し、広告配信プラットフォームを仲立ちにしてつながっている、という点にある。従って特定のプレイヤー、例えば広告主だけがメリットを享受するような運営をしたのでは、この生態系の中で他者が圧迫されることになり、ひいてはエコシステム全体が存続の危機に瀕しかねない。

これは広告掲載サイトについても同様であり、今回のForestle のふるまいはこの全体像を理解していないがために発生したものと推測される。

2008/08/31

Google 日本版にニュースが

日本版のGoogle トップページで、検索ボックス下にニュースを表示するテストが行われている。既にどこかで報じられていたような気がするが、Bucket Test に当たったらしく実際に確認できたので、スクリーンショットを貼っておく。記事の見出し+媒体名が8本記載されており、それぞれの記事へ直接とぶようになっている。



Google による日本独自でのUI 変更についての感想は「Pacman と化すGoogle」に書いたのでここでは繰り返さない。ただしモノが自前のサービスではないニュースということで、適切な対価なしに見出しや写真を借用することの是非がクリアにならないまま、(ある程度のトラフィックを送り込むことで)現状をなし崩しに追認させようというやり方には別途議論の余地があるかもしれない。

*ニュース周りについてはメディア・パブによる「Yahoo!ニュース(その1),なぜぶっちぎりの独走なのか」も参考になる。エントリーの主旨とは逆に、トピックスの面白さ・便利さがYahoo! JAPAN 全体を強化し、結果として検索その他のサービスもシェアを保っている、という見方はあってもよいと思うが。(……というところから今回のGoogle のUI テストを読み解くのも一興だろう)

*関連するエントリー:

2008/03/23

Pacman と化すGoogle

一発ネタ from Search Engine Watch Blog(Google Increases Lead in Share of All American Searches)。

Google Pacman

米comScore による「2008年2月の米国における検索エンジン利用率」の発表を受けて書かれた記事のイラスト。

comScore の発表によれば、5つの主要検索エンジン中、Google が0.7 ポイント伸長して59.2%となり、Yahoo! は0.6ポイント下げて21.6%に、Microsoft も0.2ポイント減の9.6%となっている(残り2つはAOL とAsk でそれぞれ5%弱)。つまり実際に上掲の画像ほどシェアを押さえたわけではないが、確かにPacman(パックマン。覚えてる?)なみの食欲で突き進んでいる印象はあって苦笑してしまった。

comScore share of search

なお、先週はGoogle 日本のトップページが変更されて話題となったが、日本を含む東アジアやロシアにおいて、Google が米国や欧州ほどの成功を収められていないのはよく知られた話。それはGoogle の提供する各種の機能・サービスがあまり認知されていないことに起因する部分もあるだろうから、今回の改変の意図はある程度、理解できる。

しかし一方で、日々改良を進めている"Universal Search" (*)の根底にある考え方をいったん脇に置くことにもなるわけで、技術面で先行しつつ自分のスタイルを貫くというGoogle 流のかっこよさみたいなものが薄れた気がして、残念でもある(デザインのよしあしとはまた別の、姿勢とかそういう類いの話として)。

* SMX West では"One place to go, and one search box" みたいな言い方をしていたかと。"Make google.com the search box of first resort." とも。なお、"Universal Search" はGoogle の呼び方であり、たとえばAsk 3D をUniversal Search と呼ぶのはNG 。中立的な表現としては"Blended Search" などがある。