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2021-02-28 (Sun) 05:11

『1日10分のぜいたく』「虫養い」の言葉の意味

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お腹には虫が住んでいる。
その虫と、仲良く生きていく…ホラーじゃありませんよ笑

『1日10分のぜいたく NHK国際放送が選んだ日本の名作』より、
「ムシヤシナイ(高田郁:著)」です。



今回紹介する本は、シリーズになっていて、
これは第3弾になります。
(前回の記事で紹介した本が第1弾でした。)
コンセプトは同じです。
作家人は、あさのあつこ、いしいしんじ、小川糸、
小池真理子、沢木耕太郎、重松清、高田郁、山内マリコ。

今回は本書の中から、「ムシヤシナイ(高田郁:著)」を紹介します。

そもそも、「ムシヤシナイ」という言葉が???でした。

「虫養い、いう言葉が大阪にはあるんや」
「ムシヤシナイ?」
「軽うに何ぞ食べて、腹の虫を宥めとく、いう意味」



国語辞典には載っていない言葉です。
小説内では大阪の言葉となっていましたが、
ネットで検索してみると、京都弁だとか。

「ええ時間やし、ムシヤシナイしよか」みたいに使います。

おやつのことですね!
ちょっと小腹空いた−って時に、ちょこっとつまむ。
お腹の虫を黙らせるためのアレ、わかりますわかります。

お腹に本当に本物の虫がいるという発想からの言葉。
こういうの、大好きです。

お腹の虫が鳴る、空腹を感じるって、
元気に生きている証拠でもありますよね。

そう考えると、自分のお腹の虫を養ってあげる感覚も、
いいモノだなあと思いませんか。

虫養いして、力を補う。

1日のうちでもそうですし、一生のうちでもそうかもしれません。
「停滞してる」と焦燥感に駆られる時もあります。
そんな時に、「今は虫養い中」だと考える。
それはムダな考えではないと思います。


お話は、大阪の駅ナカにあるお蕎麦屋さんで働く路男のもとへ、
東京で暮らしているはずの孫・弘晃(15歳)がやってきます。
憔悴している孫に、あれこれ聞かない路男。

最後、孫は東京に戻ります。
その時に、路男に言うのです。

「ムシヤシナイさせてもらいに、オレ、何度でも来る」


ちょっとのことでも、力の補給になるのです。

生きてると、1回満腹になってもまたお腹は減ります。
何度でも、補給していい。
何回でも、ムシヤシナイしたっていいのですね。



1日10分のぜいたく NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫)


まあ、1日に何度もは、ちょっとアレですけどね笑

今回紹介した短編は、
『ふるさと銀河線 軌道春秋(高田郁:著)』にも収録されています。

最終更新日 : 2021-02-28