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吉報を届けることができますように。
楽しい短編集でした!
『オバぺディア(田丸雅智:著)』です。
18篇も入ってますので、超短編=ショートショートですね。
著者の発想・視点がとても好きになりました。
これ現実になったらいいのに!と思ったのが、「言葉の蛇口」。
友人から被験者になってくれと頼まれた主人公。
なんの被験?
ネット上の環境汚染を解決すべく開発された、
「言葉の蛇口」を使ってみてほしいというのです。
ネット上の環境汚染とは、ようするに、
不満、虚飾、罵詈雑言などなどの言葉たちのこと。
家で使ってみる主人公。
蛇口からはヘドロのような、悪臭を放つ黒い液体が出てきたのです。
すると、画面から罵詈雑言などが消えているのです。
一週間くらい使ってみて、主人公は物足りない気持ちになっています。
何が足りないのか。
人を嘲ったり煽ったりする言葉だと気づいたんです。
「おお〜」ってなりました。
どっぷり浸かってる間は、自分がどれほど酷いものに接しているのかがわからないと。
ふ〜む…
そして面白いのは、この主人公、
その後、えらく爽やかで清々しい気持ちになってる自分に気づくのです。
一種の依存症から抜け出した感じ?
タバコ吸っていた人が禁煙に成功して、
逆にタバコ大嫌いになったような、そんな風になるんですよ。
このお話の発想がいいなと思ったところは、
ネット上の環境汚染の、大元を根絶しようとしてないところです。
一旦、許容するのです。
書かないようにさせる、言わないようにさせる考えではないのです。
書かせておくのです。
優しさとはちがうかもしれませんが。
「気に入らないことを言う奴は排除だ」では、
争いはなくならないんですよね。
ネット上の規制が難しいのは、
どの言葉がダメなのか一概には決められないからです。
時と場合というものが非常に大きく関わってくるので。
それに、意味を履き違えないように、ですが、
言論の自由は守られなければならないから。
書き出したらキリがありませんね。
いろいろ思うところはありますが、
とりあえず誰か「言葉の蛇口」を開発して!って感じです。
このお話のオチもいいです、ニンマリしちゃいます。
汚染物質を新しい資源にしようっていうんですから。
ほら、なにせ「○上」しやすいから(笑)
2篇だけ、読み終わったとき冷やっとさせられました。
他のお話はすべてほんのり温まるニンマリが出てしまう、
読後感が非常に良かった短編集です。
私は「十郎」がとても好きです。
刀鍛冶の息子・十郎は、腕前が上がるごとに
九郎、八郎、七郎と名前が変わっていきます。
そして一郎になるとき、それは父である先代「一郎」が死ぬとき。
十郎はどうするか……このオチ、最高でした。
吉報を届けることができますように。
楽しい短編集でした!
『オバぺディア(田丸雅智:著)』です。
リンク
18篇も入ってますので、超短編=ショートショートですね。
著者の発想・視点がとても好きになりました。
これ現実になったらいいのに!と思ったのが、「言葉の蛇口」。
心の汚れは、洗ってみるまで分からない。
友人から被験者になってくれと頼まれた主人公。
なんの被験?
ネット上の環境汚染を解決すべく開発された、
「言葉の蛇口」を使ってみてほしいというのです。
ネット上の環境汚染とは、ようするに、
不満、虚飾、罵詈雑言などなどの言葉たちのこと。
「接続端子をパソコンにつなぐんだ。
そうして蛇口をひねって栓を開けば、
ネットの世界に混入してる汚染物質が出てくるわけだよ」
家で使ってみる主人公。
蛇口からはヘドロのような、悪臭を放つ黒い液体が出てきたのです。
すると、画面から罵詈雑言などが消えているのです。
一週間くらい使ってみて、主人公は物足りない気持ちになっています。
何が足りないのか。
人を嘲ったり煽ったりする言葉だと気づいたんです。
おれは、無意識のうちに悪意ある言葉に
慣れてしまっていた自分をいや、むしろそれを
楽しんでさえいたであろう自分に気がついて、戦慄を覚えた。
心の汚れは、洗ってみるまで分からない。
「おお〜」ってなりました。
どっぷり浸かってる間は、自分がどれほど酷いものに接しているのかがわからないと。
ふ〜む…
そして面白いのは、この主人公、
その後、えらく爽やかで清々しい気持ちになってる自分に気づくのです。
一種の依存症から抜け出した感じ?
タバコ吸っていた人が禁煙に成功して、
逆にタバコ大嫌いになったような、そんな風になるんですよ。
このお話の発想がいいなと思ったところは、
ネット上の環境汚染の、大元を根絶しようとしてないところです。
一旦、許容するのです。
書かないようにさせる、言わないようにさせる考えではないのです。
書かせておくのです。
優しさとはちがうかもしれませんが。
「気に入らないことを言う奴は排除だ」では、
争いはなくならないんですよね。
ネット上の規制が難しいのは、
どの言葉がダメなのか一概には決められないからです。
時と場合というものが非常に大きく関わってくるので。
それに、意味を履き違えないように、ですが、
言論の自由は守られなければならないから。
書き出したらキリがありませんね。
いろいろ思うところはありますが、
とりあえず誰か「言葉の蛇口」を開発して!って感じです。
このお話のオチもいいです、ニンマリしちゃいます。
汚染物質を新しい資源にしようっていうんですから。
ほら、なにせ「○上」しやすいから(笑)
リンク
2篇だけ、読み終わったとき冷やっとさせられました。
他のお話はすべてほんのり温まるニンマリが出てしまう、
読後感が非常に良かった短編集です。
私は「十郎」がとても好きです。
刀鍛冶の息子・十郎は、腕前が上がるごとに
九郎、八郎、七郎と名前が変わっていきます。
そして一郎になるとき、それは父である先代「一郎」が死ぬとき。
十郎はどうするか……このオチ、最高でした。
最終更新日 : 2021-04-12