ありがとうございます。吉報配達ブログへようこそ。
吉報を届けることができますように。
以前紹介した本からの縁で読んだ短編集、
『ふるさと銀河線 軌道春秋(高田郁:著)』です。
「ムシヤシナイ」が収録されているので読んでみました。
読んで良かったなあと思える読書時間を過ごせました。
登場人物たちはホントに等身大。
ドラマチックな出来事が起こるわけではないけれど、
単純に幸せとか順風満帆などではないんですね。
どちらかというと、大変なことを受け止めなきゃいけない人ばかり。
それでも、ただ痛々しいお話にはなっていませんでしたね。
そこがよかったです。
今回の記事で紹介したいのは、
9篇収録されているうちの「車窓家族」です。
ここで描かれているものをなんと表現すればいいのか、
私にはぴったりの言葉が見つけられないんですけれど。
大阪と神戸を結ぶ沿線の電車に乗る人が、
いつも信号待ちで止まった時に見る文化住宅の一室。
そのカーテンのない一室には、
老夫婦が生活している姿が見えるのです。
ロクでもない1日を過ごした女性会社員は、
その老夫婦を見て、
「お休みなさい、また明日」と心の中で語りかけます。
還暦を過ぎても遅くまで働く初老の女性は、
その老夫婦の姿を確認してホッとし、
「どうぞ明日もお元気で、そして幸せでいらしてくださいね」
と心の中で語りかけます。
その老夫婦の部屋の明かりがついてない日が2日続いたとき。
信号停止している間、乗り合わせた乗客が、
「あれ?電気ついてへん…なんかあったんかな」と、
心配している人が、自分だけではなかったことに気づきます。
「あの人ら、おでん好きやんな」なんて、
観察していたことを披露しあったり、
連帯感みたいなものが生まれます。
彼らが心配して老夫婦の部屋をじっと見ていたら、
電気がつきました。
どうやら電気が切れていただけで、
やっと電気屋さんに直してもらったようでした。
「ああ、よかった〜」
そして電車は動き出し、各自、家路へ向かっていく。
たったこれだけの物語なんですけどね。
なんとも言えない温もりがあるように感じました。
自分のことでいっぱいいっぱいな時でも、
他人の幸せを思える。
これって、優しさとか思いやりという言葉では
ちょっとズレているように思うんです。
でもこれにぴったりの言葉がわからない。
わからないけど、言葉にできなくても、
多くの人の中にある、「なんかいいもの」です。
きっとほとんどの人が持っているものです。
こう思えない日だってある。
けれど、思える日だってある。
そんな日を、ちょっと意識してみる。
そして増やしてみるようにする。
それだけで、自分で自分を温めることができるんじゃないか。
そんなふうに思います。
アルコール依存症の痛々しい描写もあったりして、
けっして優しいだけの物語ではないんですけど。
著者のあとがきにあった言葉、
祈りが込められている短編集だと感じます。
しんみりしすぎない哀切と柔らかさが絶妙でした。
※しばらくお休みします。
記事のストックがなくなってしまったので、しばらくお休みします。
また帰ってきますね。
どうぞそれまで、みなさまに優しい風が吹いていますように♪
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以前紹介した本からの縁で読んだ短編集、
『ふるさと銀河線 軌道春秋(高田郁:著)』です。
リンク
「ムシヤシナイ」が収録されているので読んでみました。
読んで良かったなあと思える読書時間を過ごせました。
登場人物たちはホントに等身大。
ドラマチックな出来事が起こるわけではないけれど、
単純に幸せとか順風満帆などではないんですね。
どちらかというと、大変なことを受け止めなきゃいけない人ばかり。
それでも、ただ痛々しいお話にはなっていませんでしたね。
そこがよかったです。
今回の記事で紹介したいのは、
9篇収録されているうちの「車窓家族」です。
ここで描かれているものをなんと表現すればいいのか、
私にはぴったりの言葉が見つけられないんですけれど。
大阪と神戸を結ぶ沿線の電車に乗る人が、
いつも信号待ちで止まった時に見る文化住宅の一室。
そのカーテンのない一室には、
老夫婦が生活している姿が見えるのです。
ロクでもない1日を過ごした女性会社員は、
その老夫婦を見て、
「お休みなさい、また明日」と心の中で語りかけます。
還暦を過ぎても遅くまで働く初老の女性は、
その老夫婦の姿を確認してホッとし、
「どうぞ明日もお元気で、そして幸せでいらしてくださいね」
と心の中で語りかけます。
その老夫婦の部屋の明かりがついてない日が2日続いたとき。
信号停止している間、乗り合わせた乗客が、
「あれ?電気ついてへん…なんかあったんかな」と、
心配している人が、自分だけではなかったことに気づきます。
「あの人ら、おでん好きやんな」なんて、
観察していたことを披露しあったり、
連帯感みたいなものが生まれます。
彼らが心配して老夫婦の部屋をじっと見ていたら、
電気がつきました。
どうやら電気が切れていただけで、
やっと電気屋さんに直してもらったようでした。
「ああ、よかった〜」
そして電車は動き出し、各自、家路へ向かっていく。
たったこれだけの物語なんですけどね。
なんとも言えない温もりがあるように感じました。
自分のことでいっぱいいっぱいな時でも、
他人の幸せを思える。
これって、優しさとか思いやりという言葉では
ちょっとズレているように思うんです。
でもこれにぴったりの言葉がわからない。
わからないけど、言葉にできなくても、
多くの人の中にある、「なんかいいもの」です。
きっとほとんどの人が持っているものです。
こう思えない日だってある。
けれど、思える日だってある。
そんな日を、ちょっと意識してみる。
そして増やしてみるようにする。
それだけで、自分で自分を温めることができるんじゃないか。
そんなふうに思います。
リンク
アルコール依存症の痛々しい描写もあったりして、
けっして優しいだけの物語ではないんですけど。
著者のあとがきにあった言葉、
「あなたの明日に、優しい風が吹きますように」
祈りが込められている短編集だと感じます。
しんみりしすぎない哀切と柔らかさが絶妙でした。
※しばらくお休みします。
記事のストックがなくなってしまったので、しばらくお休みします。
また帰ってきますね。
どうぞそれまで、みなさまに優しい風が吹いていますように♪
最終更新日 : 2021-04-15