以下と同時にアカデミア要素の強いものも借りたので,別枠でまとめる.
禍いの科学
いつの間にかAmazonのみならず,はてなブロクの基本機能で楽天やGitHubが実装されていて便利になったものだ.
以前から読みたいと思っていたが,案外大学図書館に蔵書されておらず読めなかった.
なぜかサイエンスの遠そうな地元の図書館に逆にあった.
科学に対する見方を啓蒙しているが,一般市民のみならず理系学生なども歴史から学び他山の石として取り入れるべきものを感じる.
コロナでわかったのは、ほとんどの人間は
— 大嶋 泰介 / Taisuke Ohshima (@taisukeOo) 2021年7月20日
・データを見ない
・データから何が真実かを推論しない
・リスクを相対化しない
・したがって適当なデマを信じる
ということです。未知の減少は元データからしか詳細や全体像を把握できなません。
コロナで人類の知性の限界を突き付けられた。
優生学に基づく昨今のナショナリズムの高まりの政治動向や,コロナのワクチンに関するデマの横行など直近でも地獄のような光景は続いている.特に前者は書籍中にも記述,言及がある.
章ごとにそのトピックの歴史的経緯を研究者や開発者を中心に追いかけ,最後に振り返る構成.その多くはデータの重要性を訴求する.
あるいは著名人に自覚的行動を求める.これは光について言及で炎上気味のひろゆきや,エセ知識系として台頭しているYouTuber界隈にも刺さる話だったりする.彼らは第一線での研究者ではないが,そうでない誤謬の拡散も歴史にある.これが第6章の「沈黙の春」の例だ.
また個人的な感想としては,全体的に歴史が余りにも生々しすぎて,平文であっても気分を害してしまった.これは文章が稚拙とかではなく,人類の歴史の残酷さに対してだ.特に毒殺やロボトミーには閉口する.
しかし同じくナショジオが提供される航空事故ドキュメンタリー同様に,現在のマシな世界は忌まわしき歴史の上に成り立っていることも同時に自覚すべきか.
それを体系的に自覚しているからこそ,現代の我々はその失敗を繰り返さない努力をしなければならないわけだ.
以下にあるが統計は,そうした危うさが今最も近い分野に思える.
遺伝子組み換え食品GMOについても.
以下参考.
イノベーション戦略の論理 確率の経営とは何か (中公新書)
これは最後にあとがきを読んで気づいたが,彼はMOT(: Management of Technology)の出身らしい.なるほどどうりて面白い.
本書はイノベーションのジレンマなどを前提としつつ,(既に大きな)組織が戦略的にイノベーションを生み出し,生き残りをかけていくことを検討し提案している.
VCのサポートするベンチャーの多くが死ぬイノベーションの成功確率の低さを踏まえて,主に2つの基本的な確率論的アプローチから改善を提案している.
それは以下の式に集約される.
q=1-(1-p)^n
ここで,qは効用,pはイノベーションの成功確率,nはプロジェクトの数である.
このシンプルな式は経済学として,以下にも外装され,汎用性が高そうだ.
要は効用qを大きくするために,各個のイノベーションの成功確率をできる限り高めつつ,プロジェクトを多く遂行することを提案している.期待値的とも言えるか.
見れば分かる通り,著しく簡単にモデル化されているものの,事実イノベーションの仕組みは複雑であるから,合理的に効率的に考えるならこれで十分だろう.
そして既存企業に当てはめることを考え,既存のアセットを式に基づき効果的に活用するよう述べる.
既存のイノベーション論は不確実性に備えるために,これまでの文化を捨てる要素が強かったので,それのアンチテーゼに近いようにも見える.
そのようにしてキーエンスや3Mやトヨタの変遷の事例紹介などもある.
このあたりの専門的記述のニュアンスの違いは難しいが,組織能力構築型ベースだとか.
データサイエンス入門
特別にその専攻というわけでもないので,流行りのデータサイエンスについてまとめられていた.
個人的には平易に感じられたが,一般人やこの分野を検討している高校生には学部選択の一助になるようにも思う.
読みやすい岩波新書の中でもかなり薄い方なので,よりお勧めしやすいと言える.
流行りの中,統計の難しさの指摘もまた台頭している.
疑似相関は今や義務教育にすべきにすら思えるが.