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分身ロボット「OriHime」を使うことで空間を飛び越えることができる

 病気や障害のために気軽には外出することができない。高齢のためになかなか子どもや孫と一緒にいることができない。単身赴任で家族と団らんをする機会が少ない。そういう方はとても多いのではないだろうか。

 そんな時のためにテレビ電話やテレビ会議システムなどがあるが、気軽に使うという点で少々敷居が高いことや、PCやアプリの操作がなかなか難しかったり、つないでも何となく事務的になってしまったりと懸念事項が多い。

 そんな時のために開発された分身ロボットの記事を読んだが、一目見て私も欲しい、使いたいと思わせてくれるロボットだった。

世界初の小型分身ロボット「OriHime」

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  株式会社オリィ研究所が開発しレンタルを開始したのが、小型分身ロボット「OriHime」だ。ロボットの名前が七夕を想像させることもあってか、7月7日に限定20台のほ法人向けレンタル販売を開始した。

 OriHimeをWi-Fiでインターネットに接続し、iPadアプリを使うことで手や首の向きを自由に動かすことができるとともに、内蔵されたカメラを通じて周囲の様子を見ることができる。また、スピーカーを通じて会話をすることもできるので、開発コンセプトのとおり「会いたい人に会いに行ける、行きたいところに行ける」という分身ロボットだ。

 操作はアプリを使って直感的に行うことができるので、子どもや高齢者でも操作を簡単に行えるというのも特徴のひとつだ。また、首を動かして周囲の様子をうかがうことができるので、自宅や病院に居ながらにして自分の見たい方向を確認できるというのもすばらしいと思う。

 OriHimeは人間の代わりに自動的に何かを行ってくれるロボットではなく、空間を越えて人間の代わりにその場に行ってくれるロボットだ。例えば、けがで入院して社員旅行に行けなくなった社長の代わりにOriHimeを旅先に持ち込み懇親会で乾杯の音頭をとったり、海外に居る男性が友人の結婚式会場に持ち込んでもらったOriHimeでお祝いのスピーチをしたりという事例もあるようだ。

 現在は法人向けレンタルだけに限定されているが、サービス開発のパートナー企業を募集しており、2016年3月までには100台の導入と100通りの新サービス開発を計画しているようだ。

 いろいろと活用方法が広がるであろうロボットだけに、一日でも早い一般販売を期待したい。

能面のような表情が逆にリアル感を出す

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 OriHimeの表情は一見すると能面のようで無表情だ。ところが、これが逆に作用して、ネットワークに接続して動き出すと表情を感じるようになるという。人それぞれ話し方や身振り手振りに個性があるが、スピーカーから肉声が流れて手や首が動くことによって、話している本人の顔に徐々に見えてくるらしい。

 日本の伝統芸能である「能」から生まれたアイデアだそうだが、人に備わっている想像力というのは凄いなと改めてそう思わせてくれるアイデアだ。リアリティを排除したからこそリアリティが生まれるというのは、逆転の発想であり非常に興味深いと感じた。ぜひ一度実物を見て、触って、動かしてみたいと思わせてくれる分身ロボットだ。

最後はハードよりもソフト

 子どもの頃には「人間と同じような感情を持っていて、自分で考えて自分で行動するロボット」がロボットの代表的なイメージだった。鉄腕アトムが未来のロボットそのものだったのだ。

 実際には人間の替わりに車を組み立てたり部品を作ったりする工業用ロボットが早期に実用化され、自分で考えて自分で行動するロボットが誕生したのはつい最近になってからだ。

 今回実用化されたOriHimeを知って、人工知能などで動くロボットよりも人間の補助をしてくれるロボットの方が温かみがあるんだなと感じた。知識や動きなどは入れることができても、やはり魂まではロボットに入れることは困難なのだろう。

 実際にOriHimeを使えるようになったら、私ならどういう使い方をするだろうかと考えてみた。出張した時に家に置いてあるOriHimeに接続して、自宅での一家団欒に参加するということも楽しいだろう。また、実家に一台設置しておいて、齢をとった両親の語らいの中に入っていくのも良いだろう。

 仕事で使うとすれば、会社にいない時にミーティングの席に置いてもらい参加するというのも、テレビ会議や電話会議よりも盛り上がるかもしれない。また、障害や育児などで在宅勤務を余儀なくされている人であっても、会社のデスクに置いて繋いでおくことで、職場との一体感が得られて孤独感を払拭できるかもしれない。

 ハード的な技術が進化したとしても、使う側の工夫やアイデアがないとただの機械の塊となってしまう。やはり、ハードよりもソフトなのだと思う。