興梠みさ子さんの第二句集「律の風」を読みました。
この本が届いたあと12月2日に興梠みさ子さんが亡くなったと知りました。
同じ別府の生まれで親近感を感じており、同じフェイスブック俳句グループにも参加して来ました。私より若い同郷の同好の彼女が亡くなった事は非常に悲しいです。
この句集ではこんな句が印象に残りました。
各章から一句づつ紹介します。
・「風に立つ」
回転木馬ゆっくり止まり夏終る
・夏帽子
ホスピスのくすみし窓よ小鳥来る
・宵待
指揮棒の先より律の調かな
・ささら萩
螻蛄鳴くや生き抜く自由死ぬ自由
著者のあとがきにはこうありました。
ーー
ホスピスの一室で第二句集の準備を始めました。自分の余命を悟り、生きた証にと編んだ初句集『海からの風』と俳句CD「風に立つ」以後の句も形として残したいと思ったのです。
ーー
帯と序文は北島和弘さんが書かれています。
北島さんはフェイスブックのグループの「俳句の広場ラ・セゾン」を運営されており、私も参加しています。
興梠さんもそのメンバーでした。
その北島さんのフェイスブックでの訃報です。
ー
【訃報】
俳句の広場のメンバーの興梠みさ子様が昨夜19時22分にご逝去なされました。
心より御冥福をお祈り申し上げます。
合掌!!
みさ子さんの闘病中の時に句集の出版社の編集者がみさ子さんの闘病中の事を書いてくれてます。
みさ子さん、ほんとにありがとう。安らかにお眠り下さい。 合掌
興梠みさ子さん句集 『海からの風』『律の調』
『海からの風』
興梠みさ子さんからお電話を頂いたのは今年の7月3日のこと。
「入院中で、余命あとどのくらいかわかんないんですけど、句集が出したいんです」とみさ子さん。
私はその日のうちに病院に伺った。
みさ子さんは病室のベットの上で正座をして迎えて下さり、俳句のこと、病気のことを堰を切ったように話して下さった。
チャーミングな笑顔で、少し早口にどんどんと話される。
病気がわかったのは3~4年前。
発病後も自宅で暮らしていたが、一週間ほど前に急激な痛みに教われて、救急車で運ばれ、そのまま入院となったと。
時々自分で自分の頭をコツンとして、「私、バカだからよくわかんないんだけど」といいながら、“NECという希少ガンで治療法が確立していない病気”と説明をして下さる。
深刻な話のはずだが、あまりに明るく話されるので、みさ子さんの体を蝕む病魔が見えにくかった。
みさ子さんはまだ63歳。
俳句を始めて3~4年。丁度病気を罹った頃に俳句も始められていた。
「まだまだ駄句ばかりで、病気でなければ句集なんて考えませんでした。でも今回の入院で命の限りを感じて……、自分が生きた証を残したかった。」と。
ふれたきは空の碧さの薄氷
後戻りのできぬ道なり蝸牛
昼は海夜は銀河に開く窓
寒昴死者も生者も眠らせて
古着屋のとなり古書店ところてん
「この句はですね」っと、本当に楽しそうにお話をして下さる。
みさ子さんは俳句が大好きなのだ。
8月が終わる頃、『海からの風』が出来上がった。
みさ子さんはとっても喜んで下さった。
『律の調』
第1句集『海からの風』刊行後、みさ子さんはホスピスに転院された。
9月の中旬、会いに行く。
みさ子さんの体は、初めてお会いした時より少し小さくなっているように感じた。
ベットに横たわられていたが、私の顔を見るとベットから起き上がって、
俳句の話を止めどもなくして下さる。
そしてみさ子さんから『海からの風』以降の句も纏めたいのよと言われた。
みさ子さんは傍にいるご主人に「いい?」と聞かれ、
ご主人は「したいと思うことはした方がいいよ」と優しく応えられる。
それからすぐ第2句集『律の調』の制作に取り掛かった。
オカリナの穴のふぞろひ律の風
待宵の月や見知らぬ訪問者
指揮棒の先より律の調かな
破れし翅蘂に沈めて秋の蝶
銀河鉄道乗りそこなって吸ふ葡萄
11月の中旬、出来上がった『律の調』を届ける。
1ページ1ページ、一生懸命ページをめくられる。
「私ね、もう俳句も詠めなくなってきた」とみさ子さんが言われた。
「思いついたらご主人に伝えて紙に書いてもらって下さい。そしたら私がブログで紹介しますから」
と答えると、みさ子さんは「そう」と言ったように口を動かされ微笑まれた。
みさ子さん、また会いに行きます。
みさ子さんの俳句、大好きで楽しみにしているのですから。
しばらくは貴女の句集を持ち歩く事になります。
合掌!!
ー
長くなりますが10月15日に書いた第一句集を頂いての記事です。(ついに興梠さんのいいねは付きませんでした。)
ーー
興梠みさ子様
句集 海からの風を読ませて頂きました。
句集をお送りいただき有難うございました。
俳句の広場ラ・セゾンとフェイスブック俳句会でお世話になっています。
同じ別府に縁がある大津留公彦です。
NECという希少ガンとの闘いの最中にある中でこの句集をまとめられたことに敬意を表します。
印象的だった句を四季ごとに一句づつ挙げます。
春
たんぽぽへとことこ白きフェルト靴
夏
草笛を鳴らせぬままに母となり
秋
フクシマの桃の憤怒のごとき種
冬
膝に抱く猫に焚火の匂ひかな
これからもいい句を沢山作って第二句集を楽しみにさせて下さい。
ー
追加記事です。
更にCDについていたURLでYouTubeを鑑賞しました。
俳句の朗読と音楽のコラボ
これは面白い
絵が付いての朗読は説得力があります。本にこのアドレスをつけておけばCDがなくても二度美味しい。
>俳句音楽ムービー「風に立つ」興梠みさ子 https://youtu.be/aZ9I49Mxbkg @YouTubeより
ー
参考
すえよしの俳句ブログ
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12547568971.html%3Fusqp%3Dmq331AQNKAGYAY3LvO-X18aCfA%253D%253D
最近のコメント