豪鬼メモ

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ブロンプトンにSelle Italia NOVUS BOOST EVOを着けてみた

落車で壊れたSelle ItaliaのNOVUS BOOST EVOが1500円で売られていたので、買って直してブロンプトンに着けてみたという話。元は定評のあるサドルなので、直せばちゃんと使えた。しかし、ブロンプトンで使うにはちょっとクッション性が足りないと感じた。一方で、ロードバイクに着けるとかなりいい感じだ。


ブロンプトンには以前からSelle SMPのVT30Cをつけているが、100km以上のロングライドが続くと尻が痛くなる問題がある。普段使いではよいのだが、旅だとちょっと困っていた。なので、ゴムスポンジで作った座布団を追加で括り付ける作戦も考えて、これは一定の成果を上げたが、そもそも自転車旅にはもうちょっと快適寄りのサドルを使った方が良いのでは無いかと思い始めてきた。
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そこでまたサドル沼に戻ってネットを徘徊していたところ、Selle ItaliaのNOVUS BOOST EVOという製品が良さそうだった。ショートノーズで先細で幅150mmくらいでパッドが比較的厚めという私の要求に適っている。以下の動画のYoutuberの人は案件として宣伝しているのだろうけど、元プロ選手がちゃんと自分で使っている上での発言なので、ある程度は信用できる。サドル本体のレールの付け根がクッションになっているというのも良さげだった。
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とはいえ、自分の尻に合うかは使ってみないとわからないし、ロードバイクで快適であってもブロンプトンではそうではないということは往々にしてある。少なくとも、購入前にVT30Cの不満点を解消しているかどうかは確認したい。その不満とは、坐骨の下の皮膚の少し肛門よりの部分が痛くなることだ。ではなぜそうなるのかということを、VT30Cの座面を見ながら検討する。

坐骨直下より内側の皮膚が痛いということは、サドル上で出っ張った場所が、その皮膚の部位に当たっているということだ。つまり、サドル上の少ない面積で体重を支えているということになる。細い場所といえばノーズの付近だ。以前サドルを前下がりにして頃は尻が勝手に下がってノーズの方に乗ってしまって尻が痛くなっていた。しかし、最近はサドルを水平にしているし、結構尻の場所には気をつけて乗っているので、ノーズに乗っているということはないと思う。また、ブロンプトンはBBがシートポストの延長線上よりも前にずれている関係で、普通にサドルをつけると相対的な位置が後ろに寄り過ぎるという特性があるが、Selle SMPのサドルのレールは調整幅が大きいので、限界まで前に出すと私にとって適切な位置にできる。すなわち、クランク角が3時の位置で、膝関節の中心(皿の裏)がペダル軸の真上に来るようにしている。糸を垂らして確認している。よって、後ろ過ぎるサドル位置のせいで無意識にノーズ寄りに座っているということも無さそうだ。

ノーズに座っているわけでもないのに坐骨より内側が痛いということであれば、座面の通常の着座位置においてサドルの中心線寄りの部分が盛り上がっているか硬いかが原因なのではないか。その視点でVT30Cを見てみると、確かに中心の穴の周りが盛り上がっている。仮にこれが原因なのだとすると、座面の横断面がより平らな、いわゆるフラット型の製品の方が良いのかもしれない。VT30Cのラウンド型の形状は、座面が幅広い割に足が動かしやすくて気に入っているのだが、フラット型も試してみたい欲求が湧いてきた。

そしてまたサドル沼に戻り、ヤフオクとメルカリを定期的に巡回していたのだが、そこで見つけたのがSelle ItaliaのNOVUS BOOST EVOのジャンク品である。落車したそうでスポンジが捲れちゃっているから、こんなのは普通は買うべきではないが、ポチってしまった。フラット型を使ってみたかったのと、幅が145mmと狭めなのは坐骨幅が10cmと狭めの私に合っていると思ったからだ。サドルのレンタルも3000円とかするので、1500円で試せると思えば安い。

製品が届いた。写真の通りスポンジが捲れていたので、ボンドG17を割れ目に塗りこんで塞いだ。見てくれは悪いが、形を直したら普通に乗れるようになった。座面の左右の硬さも全く同じで、目を瞑って触ったら区別が付かない。

サドルの形状はVT30CとNOVUS BOOST EVOでかなり似ているが、期待通り座面の広い部分はフラットに近い。

これは予想通りだが、SMPのサドルと違ってレールの調整幅が普通なので、ブロンプトン用に前方に寄せられる程度に限界がある。

装着してみると、やはりちょっと後ろすぎる。

で、肝心の座り心地だが、一言でいえば、悪い。パッドが硬すぎるし、座面が小さすぎるし、平すぎる。少なくともブロンプトンには合わない。ブロンプトンは乗車姿勢が直立気味なので、ペダルに荷重を分散できる度合いが少ない。サドルの位置が後ろ寄りになると、さらにペダル荷重は小さくなる。ハンドル位置が近いので手に逃がせる荷重も小さいので、体重のほとんどはサドルで受け止めることになる。そうなると、パッドはかなり分厚いものでないと、体重や衝撃で簡単に底付きして、坐骨が痛くなってしまう。たとえ坐骨幅が狭かろうと、座面を広くしないと、圧力が高くなって底付きしやすくなる。フラット型であることが奏功しているのか、坐骨の内側が痛くなることはないが、坐骨の直下はパッドが底付きして普通に痛い。さらに、フラット型の弊害だろうか、サドルの縁が太ももの付け根を圧迫して痛くなる。幅が狭いことで足が動かしやすくなっているのは良いが、足を動かすと痛いというのは辛い。NOVUS BOOST EVOはレールとサドルの間にクッション性があるという話が上述の動画で語られていたが、そんな感じは全くしない。普通にカチカチだ。

結論としては、ブロンプトンにNOVUS BOOST EVOを付けるのは無しだ。フラット型であることの利点がないし、幅が狭いことの利点も台無しになっている。これに比べれば、VT30Cの方が遥かに快適に乗れる。今回1500円の授業料を払って得たことは以下である。

  • ブロンプトンにはある程度幅広のサドルが良い。VT30Cの155mmは良い塩梅だ。
  • ブロンプトンでは、サドルがフラット形状だと幅に関わらず太ももの付け根が痛くなる。VT30Cのラウンド形状は良い塩梅だ。

にもかかわらず、VT30Cで100km以上乗ると尻が痛い。ならば、次に探すべきは、以下のようなサドルだ。

  • VT30Cと同じようにショートノーズで155cmくらいの幅広で横断面がラウンド形状のもの。
  • ブロンプトン純正サドルやSelle SMPの製品のようにレールが長くて取り付け位置の調整幅が大きいもの。
  • VT30Cよりもパッドが厚いもの。
  • 中央が穴開きでなくても良いので、中央の盛り上がりが坐骨の内側を圧迫しない形状。

よく考えてみると、前傾姿勢でないブロンプトンの乗車姿勢だと恥骨やその下部の会陰や尿道が圧迫されることはほとんどない。よって、中央の穴は要らない。ロードバイクで穴無しサドルに乗っていた際に局部の痺れに悩まされたので、ブロンプトンでも反射的に穴開きサドルを選んでいたが、今後は穴無しに着目していこう。

パッドが厚くて幅広のサドルなんて、ママチャリのサドルをはじめとして山ほどあるのだが、それらでもダメなのだ。コンフォート系のサドルだと、坐骨周辺が痛くならないとしても、血行が滞って尻の広い範囲が痛くなる。また、幅が広すぎるサドルは足が動かしにくくて走りが遅くなるし、太ももの付け根や内側が擦れてしまうので、別の痛みが発生する。よって、VT30Cが今のところ最善なのだ。それに近いけど、上述した改善点が取り入れられたものがあれば、ぜひ欲しい。

なお、NOVUS BOOST EVOをロードバイクRFX8につけてみたところ、かなり良い感じだった。RFX8にはPrologo Kappa EVO PASをつけているのだが、それをショートノーズにしたような使用感だ。Kappa EVO PASもパッドのクッション性は同等で、穴開きで、横断面がラウンド形状だ。Kappa EVO PASは幅147mmで今回買ったNOVUS BOOST EVOは幅145mmなので、圧力の受け方や足の動かしやすさもだいたい同じだ。私はロードバイクではロングノーズで問題ないと思っている。ギアが一杯あるから加速や登坂にダンシングが必要になる頻度は少ないので、ダンシング時に尻とサドルがぶつかりにくいというショートノーズの利点も少ない。私はレースに出るわけでもないのでUCIのサドル位置の規定も関係ない。とはいえ、ショートで困ることも特にないので、今からどちらかを買うならNOVUS BOOST EVOと悩むかもしれない。
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まとめ。Selle ItaliaのNOVUS BOOST EVOをブロンプトンに着けると尻が痛くなるが、ロードバイクにつけるといい感じだ。サドル沼はもうちょい続きそうだ。