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22 兆し

自叙伝『囁きに耳をすませて』
03 /01 2021
月夜の鹿


第三章 “わたし”を生きる

22 兆し

本社の主体業務は美容雑貨の通販である。
その顧客リストで直販部が電話セールスを行っていたわけだが、
ここ1年ほどで業務内容が変化しているようだった。
といっても、それが現場に知らされることはなかった。
社長や専務から食品成分についての質問や、
キャッチコピーのアイデアを求められはしたが、
その目的や結果については蚊帳の外におかれていた。

苦肉の策として、博多支店に3人の拠点長が集まった。
表向きは営業会議だが目的は別にあった。
本社の課長から経営の実態を聞き出すためだ。

冒頭に拠点別の実績評価や、リストの集積状況、
3ヶ月先までの営業ノルマが算出され、会議は短時間で終了した。
それまでは博多支店長の太田が1人で決めてきたことだ。

「今までは私の独断と偏見で決定してきましたが、
たまには課長や所長の意見も聞かないとですね。
そんなわけで集まって頂きましたが……。
お疲れさまでしたぁ。
まっ、あとは無礼講で飲み会といきますか。
所長には時々出張してもらってましたが、
坂東課長とは初めてですばい。
博多はうまいもん多かとですよ」

リラックスすると太田は博多弁になる。
彼とスクラムを組んで4年になる私は、それが意図的だと知っている。

場所を中洲の屋台に変え、ざっくばらんな飲み会となった。

坂東課長は45歳。独身らしい。
見るからに神経質そうで、ときおり流し目で人を見る。
しかも箸やタバコを持つときに、白い薬指を反らすのである。
そのしぐさは小説『坊ちゃん』に出てくる『赤シャツ』に似ていた。

当社に雇用されたのは最近で、それまでは主に
情報通信関連の仕事を生業にしてきたと言う。

「ダンディな課長が独身ですって?これまたどうして。
まさか私のようにバツイチだったりして……」

私が会話の糸口をつくった。

「ピンポ~ンですよ。
ですが結婚に夢破れたわけではないですよ。
僕だって好きな人はいますよ。いますが……
四十男の哀愁っていうところでしょうか」

思わず、なんてキザな奴と思ってしまった。
太田の目が点になっていて可笑しい。
さっさと本題に入ってくださいよ。
間がもてまへんと言わんばかりの視線を彼に投げた。

「ところで課長。最近、リストの集積状態が落ち込んでいるようですが。
専務はサロンにかかりきっているんですかね。
もう見学はされました? どうです?」

目配せに反応して太田が聞いた。

「えらくご執心ですがね。どうもこうも感性を疑いますね。
痩身でもない。美顔でもない。ネイルアートでもない。
専門の技術者もいないんですよ。
で、なにやってるかっていうと……。
恐ろしく高い全身美容のイオンが噴霧されるとかなんとか、
身体ごと入る卵型のカプセル機器あるじゃないですか。
それを2台置いて、他に商品の一部を展示はしてますがね。
たとえば通販で売れ筋の『天使のブラ』とか、
どこから入れたのか化粧品や、健康ドリンクのようなものもありましたよ。
ですがアンテナショップでもなさそうだし。
まっ、専務の夢の館なんじゃないですか」

いかにもバカにしたように坂東が言った。

「で、売り上げは?」

太田が聞いた。
「売上って……。
まぁ、まだ半年ですが、利益の出るような代物じゃないですよ。
ステイタスシンボルってとこじゃないですか」

「シンボル?……それに億の投資ですかぁ。
で、話は変わりますが、社長の投資している、
戦艦ヤマトの方はどうなってるんですかね」

いかにも知っているかのように本田が聞いた。

「それそれ。専務と喧々囂々ですよ。
社員の前で怒鳴り合って、互いが好きなことやってますよ。
『宇宙戦艦ヤマト復活編制作委員会』の
スポンサーになったって話でしょう。
当たれば興行収入の配当があるんでしょう。
よくは知りませんけどね。完成までに数年だそうですが、
興行利益が上がらないってこともよくありますからね」

「なんでまた、いきなりのアニメ投資なんですかね」

私が聞いた。

「それは誰しもはてな、ですよ。お仲間に煽られたんじゃないですかぁ。
いろんな友人、知人がいらっしゃるみたいですから」

「で、その額ですが、まさか屋台骨が揺らぐほどじゃないでしょうね」 

思い切って聞いた。

「そのあたりは判りません。
専務とやり合ってますから相当なもんじゃないですか」

「ほんなこつ困りましたねぇ。課長ご存じですか。
最近、通販の広告本数が減ってリストが集まってないんですよ。
その件で社長に聞いても専務に任せてるって逃げられますし、
専務は言い訳ばっかりで。
リストの枯渇は命取りでしょうが……」

業を煮やしたように本田が言った。

結局、社長の独断的投資がうまくいってないということ以外、
なにもわからなかった。
相談すべき株主は身内や親族で固めているだろうし、
投資筋や額面などは社員が口を挟めるものでもなかったからだ。


大阪に戻って1週間ほど経ったとき、太田から電話があった。

「他社リストを半分混ぜてですがね、送りましたんで。
それでなんとか2千万お願いします」

「他社リスト?支店長が工面したんですか」

思わず声をひそめて聞いた。
パーテーションで仕切っているだけの大阪営業所に個室はないからだ。

「です……社長は気に入らないみたいですが、
きれいごと言ってられんでしょう。
リストが減ったら、それこそ死活問題ですよ。
営業のオバちゃんたちにリストないとわかったら、
それこそリクルートもんです。
詳しくは今夜、帰られた頃に電話します」

今度は太田が声をひそめた。
事務員たちに詮索されないためだ。
嫌な予感がした。
太田が自宅に電話をくれるというからにはよほど深刻な話なのだ。


夜間に再び、太田から電話が入った。

「やってしまいました」  

開口一番、恐縮するように太田が言った。

「社長と?」

「です……『社長の夢は勝手ですがね、
私たち社員や営業員はどうなるんですか』って単刀直入に。
そしたら営業所の縮小を考えてるって言うんですよ。
つい、カァッとなって……。
『私は一体、なんなんですか。
こま鼠のように動き回って営業所増やして、
状況の説明もなく縮小って……。
コラ!なめんなよ!』って怒鳴ったんです。
そしたら次の日、飛行機でやってきましたよ。
ついつい学生運動の悪い癖が出てしまいまして……」

「アッハハハ……よく言ったわ、支店長。偉~い!
ほんま、なめてますよね。
誰のおかげで大きくなったと思ってんじゃですよ。
すんません。私まで……」

「いろいろ話合いましたよ。
結論から先に言うと当分は現状維持で、
他社リストを混ぜながら売上増大するしかないです。
広告本数が減ったのは意図的なのか
資金不足なのかは白状しませんでしたが。
おそらく資金でしょう。
まぁ、いろいろ話しまして……。
社長が言ってましたよ。
『所長も大変だろうなぁ。彼女、僕には何も言わないけど
クレーム処理に追われてんだろう?
所長が一手に引き受けてくれる前は
本社で対応してたから想像はつくよ。
顧客はもちろん、消費者センターから電話があって
専務なんか右往左往して……』
そんな話まで……。

で、私が思うに……。
社長自身が直販部の商品に嫌気がさしているんだと思いますよ。
ええ格好しいですから」

「なるほど。それで少年の夢、ヤマトだったんですね」

「ですがまだまだ、そんな夢物語に
投資できるような次元の会社じゃないでしょう? 
会社とは名ばかり。
組織の編成や企画立案会議、陳情から承認もなにもない
商店レベルですからね。
もっとも、それが反って面白い。
私がいたシティバンクみたいな巨大組織では
自分も歯車のひとつに過ぎませんが、
原始的な会社を大きくする醍醐味はありますもんね」

「確かに……。
となると、販売員たちに他社リスト専用のアプローチを
教えないといけませんね。
大阪は潤沢なバージンリストに恵まれていましたから、
販売員たちから文句は出るでしょうが……」

「その辺を含んで2千万、なんとかよろしくお願いします」

社長に対する不信感を払拭したかのように太田が言った。
だが彼は心境の全てを吐露するような男ではない。
どこか私に似て、光明の兆しが見えない限り、
現状の苦しさに耐えるタイプなのだ。

ふと、思いを巡らせた。
話のニュアンスから、社長は反省しているようには思えなかった。
それどころか、本気で営業所を縮小し、
事業形態を変えようとしていたかもしれない。
敏感な太田がそれに気づき、
自らの道を模索する猶予期間を設けたとは
考えられないだろうか。

そう思わせるのは他でもない。
他社リストの使用だ。
社長は他社リストの使用を嫌う。
プライドが高いのだ。
だからこそ見栄も張るのだが、決して貪欲ではない。
本社に出張すれば豪勢な食事をふるまい、
来阪時には宝飾品を手土産にするような男である。
もちろん、販売員たちにも気遣いを忘れない。
目標さえ達成すれば慰労会の実施を促し、
社員旅行なども提案してくれる。
その優しさゆえに、太田の怒りと愛社精神に屈して
他社リスト使用の許可を出したのかもしれない。

それにしても他社リストを調達した太田の機転には驚かされた。
日頃から競合業者や、リスト業者と通じていなければ
不可能な早業である。
ひょっとしたら早くから用意していたのだろうか。
ある種のテストを見越して……。

ビッグセールスマンだった頃、
私はよく他社リストのテストを頼まれた。
今と同じように自社リストが枯渇し、
業者から買ったリストの価値をテストするためだった。
方法は簡単だ。
市場調査を装ってアプローチをかけ、購入した商品を聞き出すのだ。
20件も電話すれば感触をつかめる。
利用者が結婚して家にいないとか、電話が使用されていないなど、
使いものにならないほど古いリストもあれば
1、2年前にインナーウェアーを買ったなどと
教えてくれる消費者もいる。

美容や痩身関連で購入歴の浅いリストなら採用するが、
それ以外は却下して返品するというわけだ。
もっとも、端からリスト業者を利用して商売をする輩は多い。
まずはダイレクトメールを送りつけ、
届いた頃を見計らってアプローチをかけるのだ。
利用した覚えのない業者からのメールに不信感を持つ人もいるが、
たいていは当たり障りのない話術で煙に巻いてしまう。
リストの種類にもよるが、
電話セールス部隊を結成するのは難しい話ではない。
太田は、身の振り方を模索するつもりだろうか……。

その夜、私は考えをまとめた。

社長と2人だけで話せば、
今後の事業方針を聞き出す自信はあった。
だが、そうすれば太田は深く傷つくことは確かだ。
彼にとって恩ある私と社長が秘密裏に会えば、
営業部門のトップというメンツが潰れるばかりか、
ジェラシーから駄々っ子のように抗うだけだ。
ここはひとつ出しゃばらずに、太田の男を立てなければならない。

そんなことより、自分の未来を再認識しよう。
この仕事は学校に行くための手段として選んだにすぎない。
善意を踏みにじられた苦い経験も、始まりは同情ではないか。
早晩、私は鍼灸師の道を歩む。
どんな状況であろうと、社長の懐深く入ることは避けるべきだ。
お礼奉公の身が、中途半端に情熱を燃やしてどうする。 


        次回投稿は3/15『23 霊になった母』に続きます。
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Re: ツグミさん へ

お誕生日だったんだぁ❢ おめでとうございます。
私より4歳、お若い……ちょっと羨ましいです。

赤裸々なコメント読んでて……。
なんか、胸がいっぱいになりました。o(;_;)o

人を求めて彷徨い、道に迷っていた時に、
一刀両断タイプの、厳しい風子オバちゃんに出合ったとは……(笑)

物、人、現象の全てが持つ“光と影と表と裏”。
それらは今生(物理次元)の不完全さを象徴するもの。
それは希望であり絶望。進化であり退化。
それはまた私であり、他者でもあると思います。

ですが森羅万象の全てが表裏一体だと知ることは素晴らしい。
やがて……人だろうが自然だろうが、文化や政治まで、
丸ごと愛せるようになるんじゃないかなぁ……なんてね。(^_-)-☆

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Re: ツグミさんへ

> 10年前、東北の三陸海岸に二泊三日のツアーを申し込み、
 出発の前日に東日本大震災津波があり、旅行が中止になりました。
> 1日前に行った同じツアーの方で犠牲に……。

(((ʘ ʘ;))) なんですと❢
ツグミさん、やはり生かされているんですねぇ。
本日、奇しくも3.11……。

♬叶えたい夢もあった♬
♬私は何をのこせただろう♬
今や世界で唄われている♬花は咲く♬を聞くたびに、
涙がボロボロ……です。

震災の直後、多くの人が霊を見ています。
霊なんて信じなかった人々の証言。
新潮社から『魂でもいいから傍にいて』が出版されたように。

震災や豪雨による多くの犠牲者たち、原発の危険性、
コロナ禍での反省点と創意工夫。
つまるところ、何が大切かを思い知らせてくれた
10年でしたねぇ。

目に見えるものが全てではない。
ってか、この世界、目に見えないものの方が多い。
本当の私たちは“意識する光の粒子”
光の粒子から生まれ、粒子に戻る。

体力や金銭面の弱さで具体的な行動は起こせなくても、
そのことを忘れない自分でいましょう。

Re: ユウさん おはようございます!

> 30年来のお付き合いの不動産屋さん。いまだにリスト使っています。

そうなんですかぁ、確かに古い(笑)
あの頃の電話セールスは緩かったんです。
自衛隊の若者がムダ毛処理器買うとか、議員の妻、女医さんまでが
美顔や、痩身品、買ってましたもん。ビックリ。

わが家にもたまにDMきますが、ゴミ箱に直行。
これは通販から情報を買ってるんだろうと……(笑)
電話セールスは、通信関係が多いですね。
乗り換え案内のスマホとか…。

> 先日、相方が 1と0.99999・・・はイコールだと思う?

(*′☉.̫☉) えっ? 奥方とそんな会話されるんですかぁ。
そりゃあ、退屈しません。永遠の数学ですもん。(笑)

そんなテクじゃなく、相手の懐にすっと入る。
数分で『遠くの親戚が遊びに来た』みたいな雰囲気を創る。
トーンを下げ、口数少なく、優しさと慈悲ムードで。
ケンホロではなく、電話を切らない人は、
絶対に何かを話したいのですから‥‥。(^_^ ;)

3、11

お返事、有難うございます。
>執着が解き放たれる...
まさにその通りですね笑
内なる自分の拘りや執着する心癖に自分自身が一番辟易していたので...。
>お互い生きて、あと10年あるかなし、ですよね。この生で『チームを組んだ』意味を想像して行動します。
あと10年あるかないかと、チームを組む意味を考えた時、スッと気持ちが楽になり、ある意味、開き直れた一年であったような気がします。

10年前、東北の三陸海岸に二泊三日のツアーを申し込み、出発の前日に東日本大震災津波があり、旅行が中止になりました。
1日前に行った同じツアーの方で犠牲になった方もいました。
1日ずれて生きていたので風子さんとも出会い、反省する事も出来たので意味があったかなと思います。
最期までしっかり駆け抜けようと思います笑

今もやっています(苦笑)

30年来のお付き合いの不動産屋さん。いまだにリスト使っています。もちろん自社のものではありません(苦笑)毎月何百、何千のDM送ってやっていますが・・・成果は???止めろと行ったんですがね(汗)今の世でDM、電話、流行りません(相手が乗ってきません)まぁ!風子さんくらいテクニックがあれば別ですが。

今はネットでランディングページやペラサイトを使って自社リストを作ることがメインになっています。しかも、お得な!0円!送料のみ!的な甘い言葉を使って、サブスクに引っ張りこみます。時代が代わりましたね。

さて、それにしても相変わらずの有能さ。風子さん当時本当にやりてだったんでしょうね。その頃お会いしていたら・・・風子さんの使われていたかもしれません(爆笑)

そして、時代は変わります。昨年はZOOMすら誰も使っていないかったのに・・・今では当たり前になっています。10年ほど前に出来ていたシステムなのに。

先日、相方が 1と0.99999・・・はイコールだと思う? と言う問いに「そうじゃないでしょう!」と答える私・・・「1/3は0.33333・・・だよね」の問いに「そうだね〜ぇ」(笑)「1/3に3を掛ける(乗)と1だよね」「そうだね(私)」「0.33333・・・に3を掛ける(乗)と0.99999・・・だよね」と・・・思わず納得してしまうところでした(ははは)

そんな感じでしょうか?テクニックって・・・

では、では、またね。風子さん 次回を楽しみにしています。

Re: ツグミさん お久しぶりです

> 1年ぶりに覗きに来たら……。

もう1年ですかぁ。早いものですね。
今は平安な日々とか……時間の経過とは不思議なものですね。
悲しみも怒りも時間の経過とともに溶けていきますもん。
そんな意味で、歳を重ねるのも悪くはありません。
諦めではなく、執着が解き放たれるというか、
ある意味、さまざまな寛容が生まれるというか……。

> 甘ちゃんの私にとっては手厳しく感じたりもしましたが、
 結果的には良い人生勉強になりました笑

その節は『歯に衣着せない応答』に終始しましたもんね。
だけどツグミさんのこと。
こんな日が来ることを信じていましたよ。

人生における人間関係は、つまるところ自らが選んでいる。
なにか課題があって、その人との関係を結んだ。
そう思えるまでに数十年かかっているわけですが、
胆に銘じたいのは、若い頃の未熟な自分。
その未熟さを赤裸々に発信してブログを閉じようと思い立ったのです。

自叙伝も残り少なくなりました。
10年も続けていると音信不通になるブロガーさんも多く、
ネットという仮想空間でのコミュニケの虚しさを思います。

食べる、眠る……基本的な日常に戻りましたか?
老化は仕方ないにしても、寝たきりにはなりたくないですよね。
ささやかな目標ですが……。
痛みのない、自力で暮らせる老後を目指しましょう。(笑)

こんばんは^^

お久しぶりです。
1年ぶりに覗きに来たら、自叙伝として復活していて嬉しかったです。
風子さんが風子さんらしく、堂々と生きている生き様を読ませて頂き、私も力を頂きました。
私は相変わらず惰性な生活をしていますが、抗う気持ちが一つ落ちたのか、諦めにも似たような気持ちになったのか、今は平安な日々を過ごしています。
風子さんとはネット上でのやりとりでしたが、私にとっては貴重な出会いでした。
甘ちゃんの私にとっては手厳しく感じたりもしましたが、結果的には良い人生勉強になりました笑
色々と有難うございました(_ _)
これからも読ませて頂きます。

Re:🔓コメさんへ

> 先日のスワッピングや業界の顧客リストの裏話などの話題はまったく私からしたら非日常の連続です。
> 本当に赤裸々に綴っているんですね。風子さんは強いなと心から思います。
> 只々すごいなと感嘆し驚いています。

あはは……体裁を意識すると、こんなこと書けませんが、
私自身は正直でいたいと思うのです。
若い頃の未熟な思考回路や迷い、打算、破天荒な言動などを
赤裸々に書かないと、他人の自叙伝なんて面白くもなんともない。
他者の人生の参考にもならないと思うんです。

年寄りがよく『今の若い者は…』なんて言いますが、
それって若い頃の自らの言動を、
忘れているだけじゃないかと思うんです。

思うがままに、自らの感情に忠実に生きても……。
いや、自らに忠実に生きた方が、
“宇宙のバックアップ”は受けやすい。
そのことを知らせたいという気持ちもあるんです。


更新は月に2回ですから、
更新までは来ていただいても退屈でしょう?
お気遣いなく、1日、15日の更新記事の日だけ、
お立ち寄りください。(笑)

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Re: エリアンダーさんコメントありがとうございます❢

通販は顧客データーを集積する第一段階の手段で、
多くの週刊誌や雑誌で宣伝します。(資金かかる)
その自社リストを使って電話セールスするのは正統派。
リストが枯渇すると、たいてい他社のリストを買って
電話セールスは行われているんです。
最近、データ流出事件とか多いですよね。
リスト業者に高額で売るんです。
リストは『金を産む』情報源で、その価格もピンキリ。
女性向けは美容、痩身、ファッション。男性向けは
社会人教育教材や、工学、医学部などの卒業者名簿
などがリスト業者によって転売されるのです。

一世を風靡した教材『成功哲学』(100万~200万)も、
卒業者名簿を利用した社会人教育教材で、労働省や、
文部省をリタイヤした元役人が絡んだ組織ですから、
ある意味恐ろしいです。(^_^ ;)

こんばんは

通販・電話セールスの内部事情が結構赤裸々に
描かれていますね。社長・支店長・課長・風子さんの
思惑と虚々実々の駆け引きが面白いです。
相変わらず文が巧みで引きこまれます。フレーズが
短くてスピード感が抜群です。
他リストって他の会社が作ったリストを流用しているってことですか?
そういえば最近電話による販売が来なくなったですね。
10年前には毎晩1、2件はあったのですが、法的規制ですか。

Re: バーソさんコメントありがとうございます❢

他社リストの質を調べる業務は、確かに手練手管、
口八丁的要素は必要です(笑)
まず飲食業で低身低頭の10数年。
接客業の傍ら飛び込み3年、電話セールス8年ですからねぇ。
年季を重ねると、それらもお茶の子さいさい。

拒絶タイプは、声質とトーンで瞬時に解りますし、
1分ほど電話を切られなかったら、数分のうちに
『遠くの親戚が遊びに来た』みたいな感覚に誘導。
『このオバちゃんと、もうちょっと話したい』と、
思わせる……杓子行儀でもダメ、儀礼を欠いてもダメ、
スピードをもって、いい塩梅の親近感で包み込む。
それがテクニックかも、です。(笑)

小説『坊ちゃん』について、井上ひさし氏に同感です。
猫という第三者の視点と、文章の面白さは秀逸ですもんね。
鍼灸専門学校の学年主任も『赤シャツタイプ』で、
プチクーデターの先陣を切って喧嘩もしましたが、
卒業パーティの折、私の手を固く握って言いました。
『あなたには腹も立ちましたが、大好きでしたよ』と。(笑)

他者の自叙伝なんて、いきさつを理解するには、
多少、過去記事に戻らないといけないし、
たいして面白くもないでしょうに、
いつも丁寧にコメントしていただき恐縮です。(^_^ ;)

普通のおばちゃんはマドンナ。

うーん、困りました。何を書いたらいいのやら。
まったく縁がなかった話なので、部外者が蚊帳の外で聞いているようです。
ただ、一つ思ったのは、またまた相変らず、風子さんの有能さです。
ある人が女は話が長いと言いましたが、話が長いとは雄弁だということで、
風子さんと話をしたら内密のことを何でもしゃべらされてしまいそうです。
私なら「市場調査を装ってアプローチをかけ、購入した商品を聞き出す」と
「たいていは当たり障りのない話術で煙に巻いてしまう」は絶対無理です。
長年、家々を回って、見知らぬ人に話しかけるのは慣れているのですが。
団地の電話帳を見て電話伝道をしたときは、声と手が震えたものです。

「そのしぐさは小説『坊ちゃん』に出てくる『赤シャツ』に似ていた」。
ああ、そうでした。帝大卒の教頭。当時は赤シャツはキザだったのでしょう。
井上ひさしは、この本が大好きで、36回も読んだそうですが、
『坊っちゃん』の映像化がみな失敗に終わっているのは、
この本が文章の面白さによって築かれているからだと言っています。
風子さんは話も文章もうまいのと、波風ありの成功物語でもあるので、
NHKのドラマ用に脚本を書いて売り込んだらどうでしょう。(笑)

風子

1952年、愛媛県生まれ。
子供時代は予知夢をみるような、ちょっと変わった子供。

40歳の頃、神秘体験をきっかけに精神世界を放浪。
それまでの人生観、価値観、死生感などが一新する。
結果、猛烈営業マンから一転、43歳で鍼灸師に転向。
予防医学的な鍼灸施術と、カウンセリングに打ち込む。

2001年 アマチュアカメラマンの夫と、信州の小川村に移住。晴耕雨読の日々を夢見るが、過疎化の村の医療事情を知り、送迎つきの鍼灸院を営むことに。

2004年 NHKテレビ「達人に学ぶ田舎暮らし心得」取材。

2006年 名古屋テレビ「あこがれの田舎暮らし」取材。

2006年 信越テレビ「すばらしき夫婦」取材。
      
2008年 テレビ信州「鹿島ダイヤモンド槍を追え」取材。

2012年 12年の田舎暮らしにピリオドを打ち大阪に戻る。