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敗北ではない、“予定通り”だ!中国が南シナ海の石油採掘リグを移動(高口)

2014年07月16日

■中国、“予定通り”の撤退

5月初頭から続いていた南シナ海パラセル諸島(中国名は西沙諸島)近海における中国とベトナムのにらみあいが一段落しそうです。

2014年7月16日、中国新聞網によると 中海油田サービス株式有限公司は南シナ海でのボーリング探査作業終了を発表しました。すでに石油採掘リグは移動を開始したもようです。もともとは8月中旬まで作業は続くとアナウンスされていたので、一カ月繰り上げての撤収となります。

明らかに中国の“敗北”に見えますが……。
 

しかしそこは“メンツを重んじる国”中国。ちゃんと説明を用意しています。作業終了は「予定通り」なんだそうで。今後は海南島近海でのボーリング作業に移行するそうです。8月中旬という日程は南シナ海と海南島と双方の調査込みの日程なのだという新事実を発表して煙に巻いています。

まあこの問題については米上院でも批判決議が採択されるなど国際社会の目は厳しく、「中国の覇権主義」を示す格好の事例となっていました。これ以上突っ張っても中国に徳はなかったため賢明な判断と言えるのではないでしょうか。


■中国の「サラミ戦術」に対抗するために

もっともこれで終わったわけではありません。中国の手法は「サラミ戦術」と言われています。サラミ1本丸ごと盗ると盗んだことがバレバレですが、ちょっとずつスライスしていけばどれだけ盗ったのかわかりにくい。同様に中国はちょくちょくちょっかいをかけ続けることによって徐々に利益を拡大しているという意味です。また似たようなちょっかいをかけるのは間違いありません。

ベトナムも今回の一件で国内の暴力的デモによるイメージ悪化、中国との経済関係悪化などの打撃を負っているわけで、次回も同じように突っぱねられるかは未知数です。

中国が定期的にちょっかいをだしてくることが明らかな以上、関係国は「うちに矛先が向いていないのはラッキー、今は大人しくしておこう」という態度では同じことが続きます。矛先が向かった他の国とも連携し、多国間で中国と対話する枠組作りに力を注ぐべきですし、「常に中国にちょっかいをだされている国」日本が主体的に動くことが必要ではないでしょうか。

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