思想
まもなく私たちは、3月11日という日付を再び迎える。去年のその日は、大きな地震と津波があった。人が沢山死んだ。たくさん、たくさん、死んだ。同じ日に原子炉が壊れ、放射性物質が漏れた。私たちの生活は見えない怖れに汚染され、日常性はひしゃげた。 自…
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/22メディア: 新書購入: 14人 クリック: 581回この商品を含むブログ (164件) を見る 東浩紀『一般意志2.0−−ルソー、フロイト、グーグル』(講談社、2011年)を強…
野球やサッカーなどのプロスポーツを愛好する人々には、決まって「ひいき」にしているチームがあるものだ。プロ野球であれば阪神タイガース、Jリーグであれば浦和レッズが、それぞれ熱烈なファン(サポーター)を多く持つことで有名だろう。こうしたファンの…
批評という営みについて私はよく知らないが、ある作品を批評してその価値を測るときの基準としては、まず(1)現実との結び付き(アクチュアリティ)と、それから、(2)何らかの可能性についての展望、ヴィジョンを与えてくれるようなインスピレーション、…
クジ引きは民主的だと言われる。デモクラシーにとっての理想は、人民の中からクジで選ばれた人々が公職を担当することだと考えている人は多い。古代ギリシアの実例に範を採りながら、クジ引きこそ政治的平等と人民主権を究極的に実現する方法だと見なすので…
「アナーキー」の概念には、その語義・用法からして、おおよそ3つの意味が見出せる。第一の意味は、(1)無秩序である。これは秩序が失われた状態として否定的に言及される一般的用法のほか、特にヒエラルキーと呼ばれるような階統的な秩序の反対概念として…
昨日までの4日間に分割掲載した論文「確率・亡霊・唯一者」を、pdfファイルでHPに公開しました。以下のページから閲覧・ダウンロードできます。http://sites.google.com/site/politicaltheoryofegoism/works ブログでは省略した注が読めますので、是非ご利用…
目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来(本記事)
目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性(本記事) 4.政治と未来
目次 1.確率と亡霊 2.可能性と単独性(本記事) 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来
目次 1.確率と亡霊(本記事) 2.可能性と単独性 3.唯一者と絶対性 4.政治と未来
お知らせです。 明日、9月14日から17日までの4日間、私の未公開論文を分割して、本ブログに掲載します。全4章の論文を毎日1章ずつ載せ、全章掲載後の18日に論文本体のファイルを以下のページに公開する予定です。http://sites.google.com/site/politicaltheo…
日本では“democracy”と言えば「民主主義」と訳されることが一般的です。場合によって「民主政」「民主制」などとも訳されることがあり、私などはこの訳し分けに積極的な意義を見出して区別し、民主主義/民主政の両面を包含したい場合には「デモクラシー」の…
革命とは何であるか。それは、私たちを日常的に取り囲んでいる「市民的現実」の破壊であり、外部からの侵略であると、千坂恭二は言う(千坂[2010])。是々非々の立場取りや条件付き賛否などは、革命とは相容れない。これら議論≒説得可能性なるものは、相手と…
ルソーの「一般意志」論について考える上で、以下のような読解を引いて多くの人の目に触れやすくしておくことが、あるいは多少の意味を持つこともあるかもしれない。いささか長くなるが、ご容赦を願いたい。 このような多くの頭をもつ一者をつくりあげるため…
三浦信孝編『自由論の討議空間――フランス・リベラリズムの系譜』勁草書房、2010年 「フランス自由主義」なる言葉遣いは,聞く人を怪訝にさせるかもしれない.まるでそれは語義矛盾であるかのように,「フランス」と「自由主義」が寄り添って私たちの会話の中に…
最近、NHKで放送されているマイケル・サンデル氏の講義と、それに並行した宮台真司氏の「解説」によって、リバタリアニズムへの関心が一部で高まっているように見えます(見えるだけかもしれません)。 「【追補しました】リベラリズム・コミュニタリアニズ…
本日、『情況』3月号に掲載されたマックス・シュティルナーについての論文「エゴイズムの思想的定位――シュティルナー像の再検討」のpdfファイルを私のHPで公開致しました。ご関心の向きは、是非ご一読・ご利用を頂ければ幸いです。また、それと同時に、本論…
フランス革命についての省察〈上〉 (岩波文庫)作者: エドマンドバーク,Edmund Burke,中野好之出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/07/14メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (21件) を見るフランス革命についての省察〈下〉 (岩…
「情報戦」などという言葉はチープに響くが、その奥に読み込むことのできる意味は重い。今日は、そういう話をしてみたいと思う。
旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫)作者: アレクシス・ドトクヴィル,Alexis de Tocqueville,小山勉出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1998/01/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (25件) を見る 人間がさまざまの出来事を記憶にと…
本日、HPに「正義の否定的弁証について――「来るべき民主主義」と「関係の絶対性」――」と題する論文をアップしました。内容は、「正義の臨界を超えて」(「神と正義について」)に手を加えてまとめたもので、簡単に言うとデリダの「来るべき民主主義」を批判…
前エントリに対する反応は、目に入る範囲では相対的に批判的なものが多いかな。ブックマークでのコメントにお答えすることは普段無いんですが、「批判を歓迎する」とわざわざ書いたことだし、たまにはやってみましょうか。
このブログでセクシュアリティの問題を扱ったことは、あまりない。採り上げるほどの興味を持っていないということもあるが、セクシュアリティについて語ると、多かれ少なかれ個人的経験と結び付けて考えざるを得ない部分が必然的に出てくるので、ややためら…
支配と服従の倫理学作者: 羽入辰郎出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2009/03/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 143回この商品を含むブログ (9件) を見る 久し振りに大きめの書店をうろつくことができて書棚を物色していると、この本を見つけた…
東浩紀の議論に絡めて色々書き散らしてきたので、この辺りで一旦整理。国家や民主主義などに直接かかわるものだけ、まとめておく。時系列にする意味はあんまり無いと思うので、改めて載せておきたいところを拾いながら(注は省略)、その結び付きで並べてい…
私の論文などに興味がある人はごく少数でしょうから、ブログマターに戻って先日の話を続けましょう。デモクラシーについての私の理論的立場は既にお話したので、今回は東的デモクラシー論が持つ可能的意味にグッと焦点を絞りたいと思います。東さんは「朝生…
ここ最近はデモクラシー関連の記事を続けているが、そろそろ別の話題もどうだろうか。というわけで本日、HPに「自由の終焉――「配慮」による内破と自己性への転回――」と題する論文をアップした。これは(記憶が定かではないので)たぶん昨年末から今年の初め…
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20091008/p1 「文化的暴力」というのは概念的には半端で、無くてもいいものだと思う。政治的には重要なんだろうが。それにしても、「暴力」の語に反発を覚える人は多い。以下はまず、ご参考までに。 「暴力とは何か」(2008…
宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(早川書房、2008年)を読んで私が感じた最大の不満は、同著が90年代後半以降のサブカルチャー作品を多数採り上げ、漫画『DEATH NOTE』を新時代の「決断主義」を象徴的に描いた作品として詳しく取り扱いながら、同時期に漫画界…