stake
池田信夫さんのブログで「ステークホルダー民主主義」が叩かれていて、それに濱口桂一郎さんが反応しています。終焉も何も、まだ始まってもいない気がするわけですが、備忘として書き留めておきます。
以下、拙稿『利害関係理論の基礎』第1章第5節2「利害関係者と当事者」(2008年1月)から、ほぼ全文に近い引用。
野球やサッカーなどのプロスポーツを愛好する人々には、決まって「ひいき」にしているチームがあるものだ。プロ野球であれば阪神タイガース、Jリーグであれば浦和レッズが、それぞれ熱烈なファン(サポーター)を多く持つことで有名だろう。こうしたファンの…
過去は到来する。未来は構成される。私たちが構成する未来が、誰かにとっての過去として、決定された形で到来するのである。原子力発電所と、それがもたらすコストとリスクについての思考は、私たちの視野に、ヒトの一生を超えるタイムスパンを要求する。も…
政治的であることと非政治的であること われわれの出発点を何処に置こう。「個人的なことは政治的である!」――よろしい。では、個人的なことの全てが政治的であるか? あるいは然り、あるいは否。「全てがそう、とは言わないまでも、全てが政治的にはなりう…
日々不勉強を沁み込ませている身では、専門的なことについて何かを言うということははばかられるのですが、しかしそれでも感じたり考えたりしていることを折々に吐き出しておかないと、いつまで経っても何も言えないことになるので、最近細切れに書き付けて…
数ヶ月前に私は、「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」なる文章を公表しました。十分だったかどうかは分かりませんが、そこでは、経営学でのstakeholder theoryの文脈を押さえつつ、stakeとstakeholderの語源・語義を簡単に整理して、「公共化された…
先月末に「ステークホルダー・デモクラシーの可能性」が掲載されたことを機として、自分用の整理も兼ね、ステークホルダー研究(SHS)用のメモ書きを作っておきます。かなり雑駁なものなので後で足すかもしれませんが、ひとまず公開しておきます。
今日は少し、色々な文脈を縫い合わせるようなお話をしてみたいと思います。例によって長いですが、ご関心の向きはしばしお付き合い下さい。
最近はインプットが僅少なので、まとまったエントリは書けずにいる。近頃考えることについて、ごく散漫な話をしてお茶を濁そう。先頃書いた東浩紀的な「民主主義2.0」の解説としては、「「一般意思2.0」の勘所、あるいは「データベース民主主義」の理論的位…
私はリアルタイムで見ていたのですが、昨日の『朝まで生テレビ』に出演した東浩紀さんが、「インターネットがある現代なら、5〜10万人の規模でも直接民主政が可能だ」と力強く語っていました。この発言は、これまで彼が展開してきた一連の議論の延長線上にあ…
「当事者と利害関係者」@Soul for Sale PhaseⅡ、より。 ステイクホルダーという概念が社会問題の中で有効に機能するのは、これまで発言を認められてこなかった人々を「当事者」として当該の出来事の中に巻き込んでいくときだ。それは会社経営に権利を持つ、…
濱口桂一郎『新しい労働社会』の末尾近くでは、目指すべき方向性として「ステークホルダー民主主義」への言及が見られる。まだ全体をきちんと読めていないので、書評ということではないが、これは一応私の専門に属することなので、備忘がてら思うところを書…
承前。 相続はなぜ認められるのだろうか。ある人の連れ合いや子どもであることが、その人の死後に財産を無条件で譲り受ける権利を発生させるのは、なぜなのだろうか。相続については、相続税をもっと引き上げて――場合によっては100%にして――所得再分配に活…
承前。 近年、刑事上の公訴時効制度について、その存在理由を疑問視する声が高まってきている。同制度については、犯罪被害者遺族の感情への配慮や捜査技術の発達などを背景として、2004年に公訴時効期間を延長する内容の法改正が行われたばかりである。それ…
小沢事件があり、どう考えたらよいかということで勉強しなければと思い、とりあえずウェブで読める論文を物色中。その中から、とりあえず以下を備忘に録しておく。 北野弘久「政治献金の課税と国民の参政権」『早稲田法学』第55巻第1号、1980年3月 著者は租…
承前。 日本において、脳死者からの臓器提供は少なく、1997年10月から2009年3月まで81件(2)である。脳死提供者数は年間最大でも13名という状況である一方で、待機者は2009年3月31日現在、約12,400名(3)おり、国内での脳死者からの提供だけでは待機患者への移…
吉原直毅「最近思う事:湯浅誠・堤未果『正社員が没落する--貧困スパイラルを止めろ!』(角川新書)を読んで」を読んで、「分断統治」という観点は確かに重要であるとしても、正規・非正規ないし中間層・低所得層という対立軸だけでなく、世代間の対立について…
最近ますます社会評論への関心が衰え、政治学を勉強し直したくなっているのですが、そんなこともあって自分のために少し整理。長過ぎて自分でも読みなおすのがしんどいので、「現代日本社会研究のための覚え書き――結論と展望」からstakeholder democracyのと…
『思想地図』2号の座談会で、東浩紀が「一人一票」原理についての疑義を提起している。例えば、今や世界中がアメリカなのにアメリカ国民しか大統領を選ぶ権利が無いのはおかしくて、世界中の人々に選挙権が分散されていてもいい。同じように、これこれこうい…
(承前) ある晴れた日のこと。私は真っ直ぐな歩道を歩いている。すると、100メートルほど前の横路から出てきた中年女性が、同じ歩道を、こちらに向かって歩いて来る。私も彼女も歩道の建物側を歩いており、徐々に近づいている。私はこの道に入ってからずっ…
(承前) 個別の出来事が個別の出来事以上のものになることがある。直接には少数の人がかかわっただけの特異な出来事が、その特異性を維持したまま、その出来事が属する〈現在〉の全体を圧縮して代表することがある。日本の戦後史から例をとれば、連合赤軍事…
水村典弘『ビジネスと倫理――ステークホルダー・マネジメントと価値創造――』文眞堂、2008年 ビジネスと倫理作者: 水村典弘出版社/メーカー: 文眞堂発売日: 2008/09/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る ご縁があって…
さて、ようやく一応の結論まで辿り着きました。本連載は、ひとまずこれで一区切りにします。「科学/生命」は書いていませんし、まだまだ不足なところを挙げたらきりがないですが、かろうじて大筋の見通しは付けられたと思います。元々1〜2年かけて地道にや…
(承前) 前回、何が「自分のこと」であるのかは、何が自分に「関係する」のかについての意識に依存していることを述べて、いわゆる「自己決定」原理が前提としている論理を抉り出して見せた*1。今回は、その関係の主体、意識する主体について、掘り下げて考…
自由とは自分のことについての自由であり、自己決定とは自分のことについての決定である。そうでないと意味をなさない。また、他人が自分のことを決めてよいとなったら、むしろ反対の意味になってしまう。 さて、障害の有無であれ性別であれ、ある性質の子を…
日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか (中公新書)作者: 加藤秀治郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/03/01メディア: 新書購入: 3人 クリック: 105回この商品を含むブログ (39件) を見る 理念から制度まで説明した良い本だと思う(ただ、せっか…
どうやら晴れてマスターになれるようなので、これを機として、修士論文の要旨と目次を掲載する。斜め読みして頂けるだけで幸い。論文指導では並居る先生方から口々に「よくわからん」と言われ続けましたが、まぁそれも当然で、何せ私自身もよくわからんとこ…
2007/02/27(火) 18:02:45 http://awarm.blog4.fc2.com/blog-entry-324.html 更新をサボっているので、久し振りに研究に関係することを少し書いてみる。と言っても、あくまで手持ちのストックからリンクを貼ってみる程度。私の研究課題が何か忘れている人は「…
この記事は「犯罪被害者保護に一考」「刑法についての試論」「修復的司法批判メモ」「刑法39条を擁護してみる」 「刑事裁判への被害者参加」「stakeholder justiceへ」を素材として加筆・修正を施したものです。