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NASA、宇宙食の歴史がわかる写真

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 宇宙食は、主に宇宙船の中で宇宙飛行士が食べる食物のことだ。

 人類が宇宙に飛び立って以来、宇宙船の狭い居住スペースの中の無重量状態で、限られた設備を有効活用し、いかに宇宙飛行士の栄養を満たすかの様々な工夫がなされてきた。

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 ここではかつて宇宙飛行士たちが食べていた宇宙食の歴史を見ていこう。

 これらの写真は、NASAの宇宙食の歴史がわかるものである。

マーキュリー・ジェミニ計画用に開発された宇宙食 1961-1966年

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 一口サイズの固形食、チューブに入ったペースト状のもの。

この時代、米ソ宇宙競争による長期にわたる宇宙滞在で、連続で宇宙食を摂らざるを得ない状況になり、これに不満をもった宇宙飛行士、ジョン・ヤングは、船内に勝手にコーンビーフサンドイッチを持ち込んだ。

 機器の汚損や食中毒などにより宇宙船を危機に陥れる可能性があるこの行為は問題となったが、食事が士気に影響するという主張は認められ、以後の宇宙食の改善につながった

アポロ号の宇宙食 1968-1972年

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 お湯が使用されるようになり、食品を水で戻して暖かい食事が可能となった。食事のメニューも増えた。

 当時の宇宙飛行士に必要なカロリーは、1日1人あたり2800kcalで、チューブ入りの宇宙食では一日分で重量2kgもあったものが、600gと約3分の1の重量となった。

スカイラブ計画地上訓練中に使用された宇宙食 1973年

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 生医学実験なども行われたため、食事内容も綿密にコントロールされた。半数は加水食品で、他に温度安定化食品、自然形態食品、フリーズドライ(凍結乾燥)食品、放射線照射食品が提供された。

 ナイフ、フォーク、スプーンを使うようになった。ただし食器などが浮遊してしまうと具合が悪いことから、各食品のパックやトレイ・食器などはトレイやテーブルにベルクロテープで貼り付けておくことができるようになっている。

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スペースシャトルの宇宙食

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 一部の市販食品、自然形態食も提供されるようになり、食事の形態はだいぶ地上の生活に近いものとなっている。

国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙食

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 国際協力により宇宙ステーションが運営されることから、各国の宇宙機関で開発した宇宙食が持ち込まれるようになった。

現在の宇宙食

1.地球で使用されているものと同様の食品と調味料

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 現在ではより地上の食事に近いものとなり、メニューの種類もさらに増えた。

 一般に売られている食品をそのまま利用するものや、レトルト食品、加水食品、半乾燥食品、自然形態食、新鮮食品(果物や野菜)などがある。

 調味料も塩、こしょう、ケチャップ、マスタード、マヨネーズなどがそろってるが、塩とこしょうは飛び散らないように液体になっている。

2.飲み物

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 粉末の状態で宇宙に持って行き、水を加えて飲む。飲むときにはストローをつける。ストローにはクリップがついていて、クリップを閉じると水が飛び出さないようになっている。

 水を飲む時は空の容器を持って行き、ギャレーでその容器に水を入れて飲む。

3.レトルト食品(温度安定化食品)

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4.フリーズドライ食品

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 宇宙食についているアダプターから水を加え、ハサミで上面を開き、スプーン等で食べる。加水の量や待ち時間は食品によって異なり、各宇宙食のラベルに記載されている。

日本宇宙飛行士のボーナス食

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 スペースシャトルへの搭乗ミッションでは、クルーの栄養維持やリフレッシュ用などに、その宇宙飛行士個人の好物が「宇宙日本食」以外にも特別メニューとして積み込まれる。

 これらは日本人クルーの分だけではなく、他のクルーが消費する分も用意され、いわゆるコミュニケーションツールとしての側面を併せ持つ。

野口宇宙飛行士による宇宙食の紹介

via:thefoxisblack

追記(2017/12/24): 本文の一部を修正して再送します

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この記事へのコメント、32件

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  1. あんなストレス溜まりそうな環境なんだから、メシぐらい旨いもん食いたいわな。
    いつになったら地上と同じ料理が食べられるようになるんだろう?

  2. 浮いてる分食べやすくなるのもあるな
    例えばピザとか端っこが垂れたりしない

  3. やっぱ短期間だけなら「宇宙食」は絵の具のようなチューブ入りだよね。
    フリーズドライやレトルトじゃ、陸上と同じようで味気無い。
    ただ、宇宙船内という異常環境の連続でも「陸上と同じ物を食べられるんだ」って安心感のために、陸上でもありそうな方向へハッテンしたんだろうね。
    今では、悪名高いMRE(軍用糧食の一種)と同じ物もあるそうだ。
    美味しくなっていると思いたい。

    1. ※9
      糸が飛び散ると大変なので、糸引き納豆は持ち込みが不可な様子。
      しかし、誰だったか乾燥納豆を持ち込んでた様子。

  4. 飲み込んでもちゃんと胃に堕ちてくのか?
    やっぱなんか違和感あるんだろうか

    1. ※11
      逆立ちした状態で、ストローで水を飲んでみる。
      なんて、簡単に実験出来ますよ?
      (はい、実際にやった事があります)

  5. 極初期では、無重力状況での嚥下は困難だ。 との認識でペースト食を採用したらしい。
    ジェミニから食感を重視した固形糧食に移行したが、ソビエトはアポロソユーズまでチューブのペーストを支給し続けてた。
    フリーズドライ食は、お湯で戻すのが基本だけど、船内気圧の制限上80度程度がリミット。 それらのハードルを越えて宇宙食は進化し続ける。 
    現在市販、流通しているレトルト食品やフリーズドライなどにも、宇宙食の技術がさりげなく応用されてるのだ。

  6. 最後のボーナス食みたいの見ると遠足みたい
    色んな国の色んな食事持ち寄って、コミュニケーション取れるなんて
    身近感じるねー

  7. 無重量状態(無重力)での箸は使いやすいって外国人褒めてた。まぁ、慣れるまでは大変そうだが。

  8. おそらくアメリカ製はまずいんだろうな。歯やあごの強度を維持するためには、せんべいとか、するめとか必要じゃないのか?

  9. 納豆は糸が浮遊して目などに入ると危険なのでボツになったそうだ

    1. ※16
      煎餅は一口サイズにしないと破片が飛び散ってえらいことになるな

  10. レーションもそうだが、こういう手のこんだ特殊食品は面白いね。

  11. わずかでも重力が発生する空間がiss内に出来たら、地上と同じ物を食べられる様になるのかな。宇宙に一度はいってみたい!

  12. >11
    人間、寝転がってても食事はできるよね
    四つ足の動物が水を飲むところを想像してもいい
    口に含んだあとで上を向いて胃に流しこんでるわけじゃないでしょ

  13. やっぱり回転させて遠心力による人工重力をつくった場所がほしくなりますね

  14. ↑ 狭い空間での遠心力擬似重力は、目眩のモト。
    それよか「静寂」なスペースが必要だとオモウよ。
    ISS内はメチャメチャウルサイらしい。
    液体のコショー。 抽出した成分を水やオイルに添加するのさ。 タバスコみたいに。

  15. 野口さんの朝食風景見てると、ちゃんと重力のあるところで
    食べてるのかと思うほど、上下の感覚がはっきりしてるよね。
    ちゃんと机に置いてるしw(トルティアは浮いてたけどw)
    野口さんってば、テクニシャン!www

  16. ん~俺は宇宙に行けなくても
    地上で好きなもん喰ってるほうがいいや

  17. ニンジャスレイヤー実況から飛んできました
    宇宙食の奥深い探求の歴史は興味深かったです

  18. 日本宇宙食の少なくとも一部は、米国での一般宇宙食に採用されてる
    なんて話も聞いた事は有るんだ。
    宇宙食に関してはあらかじめ何を食うかを決めているんだけど、
    「この日は朝食にラーメンを食いたい」
    とかリクエスト出来たのなら、幸せな日を送れるかもしれないとか考えた。
    (あらかじめ搭載されてた日本人用の宇宙食を、”間違えて”消費した事例があるらしい)

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