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農業が地球温暖化対策になる? カーボンファーミング

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Byほんたべ

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区民農園ではそもそも微生物相が貧弱なため、籾殻よりも腐葉土などの分解しやすいもののほうが
いいことに気づき、前回から大量の腐葉土とバーク堆肥少量を投入しています。
初年度の果菜類の敷きワラが功を奏し、秋作からはおいしいものが収穫できるようになりました。炭素分重要ですね。


NHKBS1で放映された「カーボンファーミング-環境再生型農業」という番組を見ました。
わたくしは恥ずかしながら「カーボンファーミング」という言葉を知りませんでした。

なんとなく「またなんか内容が伴わないミョーな言葉なんじゃないか」なんちて
ナナメに見つつ録画したのですが、すでに2020年には「気候変動対策として話題もちきり」
だったらしく、不勉強で穴があったら入りたい感じです。

ナナメに見た理由は以前働いたNPO法人の事業で「カーボンオフセットファーミング」
ってのをやったせいだと思うのですが、詳細は省きます。

番組で紹介されていたカーボンファーミングの手法
・不耕起栽培(海外の事例)
・雑草を土に混ぜ込み微生物を繁殖させる方法(ビミョーに違うけど炭素循環農法か?)
・果樹類の剪定枝でバイオ炭をつくって土に混ぜ込む方法
海外では主に「不耕起栽培のススメ」的な感じのようでした。

カーボンファーミングについてよくわかる三井物産戦略研究所のサイト

番組でイチオシの不耕起栽培は日本では自然農法の人々がよく使っている手法ですが、
かなり条件を選ぶこと・うまくいくまでに時間がかかることもあり実践はむずかしいと思います。
近所に地主の趣味で慣行栽培の畑をある日突然「福岡正信方式」の不耕起無肥料無農薬栽培にし、
自然農法の大家のもとで修行した人が中心となってチャレンジしていました。

初年度からすべての作物がチッソ不足で全然大きくならず葉っぱは黄色く立ち枯れたりして
数年経っても肥料の要求量が多い果菜類はうまくできず(毎年トウモロコシを作っていた)
不耕起栽培とは長年炭素分を還元した上での微生物の助けがなくてはムリな手法なんだなー
黄色い葉っぱになった時点で焦って凹むなー、などと欲深いわたくしはしみじみ思いました。
バキッとした思想でもある自然農法や不耕起栽培は欲の深いものには向いていません。

さて、現在日本で注目されているカーボンファーミングはバイオ炭の投入がメインです。
バイオ炭とは、農水省のWEBサイトで以下のように紹介されています。
「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」

なぜバイオ炭が地球温暖化対策になるのかカーボンファーミング的効果については以下。
「木材や竹などを炭化し、バイオ炭として土壌に施用することで、その炭素を土壌に閉じ込め
(いわゆる「炭素貯留」)、大気中への放出を減らすことが可能になります」

わたくしは「電子農法の炭埋(たんまい)じゃん!!!」と直感的に思いましたが
電子農法でなくとも炭を畑にすき込む・籾殻をくん炭にしてすき込むなどなど、
日本の有機農業界では以前から行われている手法なので目新しくはありません。目新しいのはそれに
「非常に現代的な価値が加わった!!」(チャラリーン♪炭はレベルが上がった!!)
ということです。

今後炭関係の農業的な取り組みにはちょっとしたビジネスチャンスがあるのではないでしょうか。
バイオ炭は現在農水省のバイオ炭の農地施用におけるJ-クレジット制度の対象です。
作物を栽培する以外の部分がビジネスになるとは。しかも今まで当たり前に行われていたことが。

しかし炭素分を地面の上に置く炭素循環農法的な方法については、
現在ではカーボンクレジットの対象ではなさそうです。
とは言え、企業のCSR部門のSDGs対策としてでっかいビジネスチャンスがある気がします。
2008年ごろ(だったかな?)に環境省が旗を振った「カーボン・オフセット」のころに
カーボンファーミングとかSDGsとかの空気感が少し似ているからです。

番組中ではこれらの手法が「最先端」的な紹介でしたが、有機農業では以前から行われていたため
「有機農業はカーボンファーミングなのか?」と聞かれそうです。
しかしそう言われると「カーボンファーミングは農薬OKだからオーガニックのほうがより安全安心!」
とか誰か言いそうでちょっと。。いやオーガニックのほうがより優れてるとか。いや、どうかな。

目的が違うので比較の対象にはなりませんがなんとなくそんな気が・・・(偏見か?)

わたくしは「土壌中に炭素分を還元する」ことは農業の基本だと思っています。
番組中で聞いた「微生物がたくさんいれば病虫害の発生が減るので農薬はいらなくなる」とか
「微生物が土壌中の栄養分を植物に与える」的な内容は、まさに我が師匠・西出隆一さんや、
長年有機農業を実践してきた有機農家の方々が実感を伴って言ってきたことです。

土壌中に炭素分を供給し続ければ微生物相が豊かになって病虫害の発生が減るため、
農薬の使用量が減ってきて、さらに微生物が作物に肥料分の供給をするようになれば
施肥量も減らせます。このことが土壌中の微生物をより豊かにし、畑にいる昆虫たちの小さな、
しかし大切な生態系も整ってきます。そして日々おいしい作物が収穫できるのです。

これを「有機農業」という枠組みで評価すると、そこに必ず「安全」とか「安心」とか
「慣行栽培との比較」とか「自然栽培のほうがいい」とかの伝統的な評価がつきまといます。
農法の切り分けで作物を評価するのはとても不毛な行為でわたくしは飽き飽きしていたのですが、
今回そういう変な属性がついていない、新しくて農業の基本・根幹部分に価値があると主張する
「カーボンファーミング」が、言葉としても意味としてもすごくいいなと思っているのです。

農業とは「食べ物を生産する仕事」ですが「環境を破壊する仕事」でもあります。
そのような業を意識しつつも食べ物を生産しながら地域の生態系を整えて温暖化対策にもなる
なんちて。とてもステキではありませんか?

カーボンファーミング(事業)がどういった方向に進むのかわたくしには想像できませんが、
自分の家庭菜園で実践していたことが地球温暖化対策になるかもという事実に少しだけ胸を張り、
来年の区民農園も当たりますように、と、願わずにはいられません。

神様お願い。地球のために。(あふれ出る欲)


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