みんなでオーガニックの価値を考えてみよう
「有機の畑にはたくさんの昆虫がいて、生態系や環境を守ってるのよね」
なんちて言われても一般的には「だからなんなんだ」かもしれないなーと
最近ちみっと思うようになりました。ううううう。
オーガニックの価値ってなんでしょう。
昨今の消費者→よく知らないけどなんとなく良さそうなもの
有機農業運動第一世代の消費者→安全・からだにいい・環境保全
お金持ちのお年寄りの消費者→健康・安全・からだにいい
有機農業の第一世代の農家→生き方・思想・意地
若い農家は何考えてるかわかりません。生き方とかかな?
このように、オーガニックに関わる人々それぞれにそれぞれの価値があります。
わたくし的には「環境・多様性・おいしい」ってな感じでしょうか。
なぜこんなことをいまさら考えてるかというと、昨日、
有機農業関係の会議で有機農業の価値について議論になったからです。
メンバーは主に生産者で、流通出身者はわたくしだけでした。
少し上の有機世代である方が、そもそもの有機農業のなりたち的話、
「農薬で家族が病気になったりガンになったりした経験を持つ農家が、
農薬をもうまきたくないと有機農業を始めた」てな話をされたあと、
「有機農業の価値をもう少しアピールすべき」とおっしゃいました。
この方を始め、お年を召した方々はみな
「有機農業の価値は健康とか安全」と考えていらっしゃるのでした。
アグロエコロジー的な価値もあるけどそれよりも「健康」なのでした。
これがどういうことかというと、たとえばこんなエピソードです。
アトピーでお米が食べられない子どもが自然栽培の米は食べられた。
お米が大好きな子どもが喜んで喜んで、とお母さんに感謝された。
アトピーが出ないなんてやっぱり自然栽培はスゴイ。みたいな感じ。
とてもいい話だし、そういうことはあるでしょう。
これを個人のブログやサイトに書くぶんにはたぶん問題ないけど、
大地を守る会の商品情報誌には書けません。
どうかすると景品表示法違反とかで注意されてしまいます。
長年編集を担当してきたわたくし的には「オーガニック=健康」とか
「オーガニック=安全」とか聞くと背筋のあたりがヒヤリとします。
根拠が提示できない事柄を言ってはいけないのです。
何かを食べると安全とか健康になるとかいう言葉は非常に危険だし、
何かを食べるとガンになるとかも本当は危険です。
F1の野菜を食べると精子がなくなるとか言っている人は、
チョー危ない橋を渡ってると思うけど大丈夫でしょうか。
そうは言っても、現実に上記のような経験をしている農家的には、
オーガニックの価値を「健康」「安全」と感じるのは当然で
それを「価値」としてアピールしたくなる気持ちはわかります。
しかし「価値をアピールする」=「公にする」ことでもあります。
公にするのなら、言葉は政治的・法律的に正しくなくてはなりません。、
優位性のアピールは突っ込まれない言葉を探す必要があります。
つまり「有機野菜を食べて健康になった。有機野菜は安全だ」とかはNGなのです。
このあたりに有機農業のアピールのむずかしさがあるのではないか。
なんちて、家に帰ってわたくしはしみじみと思ったのでした。
「割高な有機野菜を買ったアタシに何かいいことある?」 と聞かれたら?
健康とか安全とかの具体的なわかりやすい価値は提示できません。
英国の研究では栄養価も変わらないとか言われています。
「んじゃ何? 何かいいことあるの?」
皆様はこの質問にどう答えます?
先日の有機農業全国会議のFTPの徳江倫明氏の講演資料に
IFOAMが提唱する「有機農業の定義」があったので以下に転記しておきます。
有機農業は、土壌・自然生態系・人々の健康を持続させる農業生産システムである。
それは地域の自然生態系の営み、生物多様性と循環に根差すものであり、
これに悪影響を及ぼす投入物の使用を避けて行われる。
有機農業は伝統と科学を結びつけ、自然環境と共生してその恵みを分かち合い
そして関係するすべての生物と人間の間に公正な関係を築くとともに、
生命・生活(暮らし)の質を高める。
これだよね、これ。
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