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北海道のオーガニック(&グラスフェッド)ビーフを応援するぞ!

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Byほんたべ

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セミナーでは八雲牧場のオーガニックビーフを使ったお弁当が出ました。
肉の味が全くわからない牛丼風味つけでチョーガッカリ。
つくった料理人はこの肉の趣旨がわかってなかったのでしょう。
脂と肉から鹿などの草食動物に共通するニオイがしました。



オーガニックライフスタイルエキスポに参加してきた。
っつか会場で開催されたアニマルウェルフェアのセミナーに行ってきた。

日本におけるアニマルウェルフェアはわたくしが行った最初の勉強会
(2010年)から1センチほど進んだということがわかった。
講師は同じ日本獣医生命科学大学名誉教授・松木洋一氏である。

「ほんたべ日記」で何度かアニマルウェルフェアについて書いたが
アクセス数が全く上がらないことから、ほとんどの人がたぶん
全く興味がない、あるいは何のことかわからないのだと推測するわたくし。

アニマルウェルフェアについては以下の過去ログをどうぞ。
「アニマルウェルフェアについて考えてみた」
http://hontabe.blog6.fc2.com/blog-entry-515.html

全く進んでいないと考えていたが1センチくらい進んだ、と思えたのは、
オーガニックビーフをつくっている&これから取得予定の農家がいる&
全て牧草で肉をつくっている農場があることを知ったからである。

ええええー草で肉がつくれるんだー!!! 驚くわたくし。

ほとんどの人は「牛って草食ってんじゃないの?」と思っているだろう。
しかし、肉牛は牛に草だけ食わせていてもつくれない。

肉牛も乳牛も割合は違えど主たる飼料は穀物であり、和牛(黒毛)の場合は
雄牛の血統とかその他さまざまな技術を集積した結果が、
あの芸術品のような一面に脂肪が入ったピンク色の肉である。

肥育段階に入った牛は出荷されるまでほぼ牛舎にいたり、
自由に運動できなかったり、メタボになったり内臓疾患になったり
ビタミン欠乏症寸前になったりしているが、それでOKである。

そうしないと「市場が評価する肉」はつくれないし、
人々が安価に購入できる肉(国産牛ね)もつくれないのだ。
しかし、この飼育方法とアニマルウェルフェアはたぶん相容れない。
だからアニマルウェルフェアは遅々として進まない。

日本は国土が狭く、平たい土地は米が優先で次が畑作・果樹である。
家畜を狭いところに押し込めていても肉や卵は作れなくはないので、
畜産はどうしてもそういった「動物工場」的な作り方が主流になる。

牛を一頭買うのに必要な土地は1ヘクタールと言われている。
1ヘクタールの土地があったら田んぼか畑にしますよねうんうん、
一反で米8俵取れたとして1ヘクタールなら80俵、
1俵18,000円として1年で144万円。やっぱ米ですよねーって感じだ。

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牧草を青刈りしてサイレージにすることで栄養価が高くなり
増体率が上がったなどなど、まだ試行錯誤の真っ只中だが、
しかし草だけ食べさせても体が大きくなるのなら、農家にも
お肉屋さんにもメリットがある。技術の向上が待たれるところだ。



ということで、もし「放牧」するのなら山の中→乳牛の場合「山地酪農」
あるいは広大な土地がある北海道で、というのが考えやすいが、肉の場合
草だけ食わしていても市場が求める脂肪交雑のある肉にはならない。

日本における肉の評価は脂肪の含有量に左右される。

たとえば鶏肉はバサバサするムネよりも脂肪の多いモモが売れるし、
豚肉もモモよりもバラやロースが売れる。
一羽・一頭から取れる人気部位は限られており部位調整が大変だ。

牛肉の場合は脂肪交雑率の高いものが最も高い評価となる。
みんな「柔らかくてじゅわっと脂肪があふれる」的な肉が好きなのだ。
が、放牧=飼料は草=肉がほぼ赤身=硬い&脂肪の味がしない などで
手間かけて作っても市場の評価はダダ低いと言ってもいい。

売れない肉・評価されない肉をつくるのはむずかしい。
ということで草だけ食ってる肉牛はつくりにくいのが現状である。

さて、今回のセミナーで知った北海道のオーガニックビーフは
北里大の獣医学部付属の八雲牧場で育てられている
牛は日本短角種(和牛の一種)で夏山冬里方式で飼育され、
25か月で出荷だそうだ。約2年ってことでしょう。

肉の写真を見たらほぼ赤身で、草だけ食べるとこうなるのねって感じ。
脂肪は黄色みがかっているが、一般では脂肪に色がついていると嫌われる、
というか評価されない。でもオーガニックビーフなので問題ないのだ。
取り扱っている東都生協では、レシピなども提供しつつ販売しているらしい。

なぜレシピを提供する必要があるのか。
それは食べるのにコツがいるからだ。

草だけ食べてる赤身の肉はそれなりのクセがある。
フツーの牛肉を食べてきた人が食べると「うーん」と思う。
このニオイや味が好きと思えれば問題ないのだが、
そうじゃない人はむずかしいだろう。だから食べ方が必要なのだ。

この一点でわたくしはちょっとうーんと思ってしまった。
割高な説明商品を説明無しでフツーに売るのはむずかしいからだ。

しかし、オーガニックビーフはとてもすんばらしい取り組みである。
牧場内で牛糞→牧草の肥料→牛肉→牛糞と資源の循環が行われており、
環境に与える負荷が少ないのもすんばらしいと思う。

畜産のそもそもの目的「未利用の資源を資源化する」
→ヒトが食えない草を食って肉という資源を提供する そのままであり、
穀物飼料を食った畜産物の排泄物で日本が沈没するかも、というなか、
将来的にはこのような畜産が主流になるといいなーと真剣に思う。

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なんだかんだ言ってもみんなこういうお肉が好きなんすよね。
でも年寄りになるとこういうの年に一度でいいし日常的には赤身がいいしで
赤身でちゃんと味がのった肉だといいんじゃないかとか思う次第です。


でも現時点では一般的なお肉にはなり得ない、とも思う。

しかしオリパラでオーガニックが注目され、なんとなく
グラスフェッドビーフにも一定程度注目されつつある昨今である。

グラスフェッドはイオンの豪州産牛肉でいいんですという人もいるが、
わたくし的にはこの北海道の国産オーガニックビーフを
しばらくの間、積極的に応援していきたいと考えております。

オーガニックとかどうとかは抜きにして、この牧場では
畜産のあるべき姿があれこれ実現されていると思うからであります。
今度取材させてもらおうっと!

アニマルウェルフェアにご興味ある方はこちらをどうぞ。
Animal Welfare Food Community Japan
http://awfc.jp/


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Comments 2

H2  

草の種類

餌で肉の味や香りが違ってくるのは、一般消費者でも結構知っている人はいると思うんですが、草の種類によっても違ってくるんじゃないでしょうか。どこまで研究が進んでいるか知らないですが、肉のクセが少なくなる草とかあるかも? 大型の畜産動物だと量がいるので、比較研究もなかなか難しいかもしれませんけど。

餌にハーブ混ぜるとか、柑橘の搾りかすを加工して餌に混ぜるとか、魚とか鶏では結構聞きますよね。

2017/08/04 (Fri) 07:30 | EDIT | REPLY |   

ほんたべ  

Re: 草の種類

H2さん、こんにちは。

> 餌で肉の味や香りが違ってくるのは、一般消費者でも結構知っている人はいると思うんですが、草の種類によっても違ってくるんじゃないでしょうか。

夏は牧草、冬はサイレージですから、出荷時期によって微妙に味は違うと思いますが、
肉の味は穀物でつくったほうが確実においしいです。

> どこまで研究が進んでいるか知らないですが、肉のクセが少なくなる草とかあるかも? 

八雲牛は北里大学の附属施設なので、肉の研究はされているようです。
草の種類も研究されているかもしれませんね。

北海道はイナゴが大発生する年があり、牧草が全滅してしまうこともあるようです。
なのでイナゴ対策で牧草の青刈りをするようになったら、それを食った牛の
増体率があがったということのようで、もしかしたら今後は
食味についても何か新しい結果が出るかもです。



>
> 餌にハーブ混ぜるとか、柑橘の搾りかすを加工して餌に混ぜるとか、魚とか鶏では結構聞きますよね。

2017/08/04 (Fri) 09:34 | EDIT | REPLY |   

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