30か月齢に引き上げられるアメリカ産牛肉の輸入規制のこと
BSEがチョー話題になった後のことだけど、そういえば鹿にも
プリオンがいるって言われてたなあってこないだ思い出しました。でも大丈夫。
特定危険部位を避けてればOK。大人の鹿、肉が硬いから食べないしね。
写真提供・廣田修氏
BSE(牛海綿状脳症)って最近ちっとも話題にならないけど、
世界中で大騒ぎになって今年でちょうど10年目だった。
なんて書いてたらブラジルの牛がBSE発症したって報道。
ぐーぜんだなー。
さて当時、ふらふらでまっすぐ歩けない牛の映像は人々に恐怖を与え、
牛肉の消費は落ち込み、豚・鶏肉の農家がすんごく儲かり
笑いが止まらない状態だったことを懐しく思い出すわたくし。
日本では速攻で肉牛の0か月齢からの特定危険部位の全頭検査を行い、
さらにトレーサビリティを完璧にするという大変手間のかかる対策を打った。
これ、世界中どんな国もやってないんすよ。すごいんす。
どんだけ経費がかかったのかしらんと思ったりするわたくし。
BSEがきっかけで、牛肉は生産地から出荷先まで
完璧にトレースできる仕組みが生まれた。
このおかげで昨年、放射性物質がついたワラを食べた牛を追跡し、
出荷停止にすることができたのは記憶に新しい。
んで。今は?
全頭検査をやった結果、20か月齢以下の牛からは
狂牛病の原因であるプリオンが見つからなかったってことで、
2005年から「0か月齢から20か月齢までの牛」は
調査しなくていいということになった。
牛の耳にくっついてる耳票は、牛を個体識別するために
日本にいるすべての牛につけられています。そういうところ、日本人ってすごい。
アメリカ、ほんとに全くできてないらしいです。トレースなんてもってのほかだと。
じゃあ、輸入牛肉は?
日本に輸入されてるのは、主にオーストラリアとアメリカの牛肉である。
オーストラリアはBSE発生国ではないので問題なし。
(って言われてるけどね、どうかなあ)
米国は2003年にBSE発生国になったため、
2003年から2005年まで牛肉は輸入禁止措置を取られていた。
で、2006年に20か月齢以下という条件をつけ輸入を再開したら
入れちゃいけないよって約束したはずの脊柱(※)が見つかって大騒ぎ。
どうなってんのアメリカ!ってことで、再度輸入禁止になった。
「日本は厳し過ぎる」「アメリカは日本国民の生命を蔑ろにしている」等々
すったもんだした結果、2007年に輸入再開。現在に至る。
アメリカでは検査の体制がきちんと取られていなかったり、
検査の内容もEUと比較して全然足りないように思うのだが、
そのあたりには目をつぶったのだろう。なにしろ相当な外圧である。
そして今年の9月5日、食品安全委員会では米国産牛肉について
30か月齢までは検査しなくても大丈夫という評価を提出した。
このことにより、厚労省でおそらく来年には米国産牛肉の
輸入規制が緩和されることになるだろうと言われている。
で、この月齢のことが気になったので調べてみた。
のびやかに放牧されてるこの牛は育成牛で、妊娠する前の牛。
搾乳を始めて4産位で更新されるから、乳牛は5~6歳で廃牛になります。
その後肉用の餌を食べて国産牛になるらしいんす。知らんかった。
だってさ、アメリカの牛ってほぼ20か月齢で屠畜されてるのにさ、
わざわざ30か月齢に引き上げるのに、どんなメリットがあるの?
そんなに長いこと肥育したら餌代かかるし、
アメリカ、そんなていねいにお肉作ってたっけ?
そして恐ろしいことがわかった。
これ、経産牛を輸出するってことなんだね。
経産牛ってのはホルスタインの廃牛とか繁殖牛のことだ。
つまり子牛を産まなくなった母牛を肥育して出荷するってことなのだ。
日本でも国内の経産牛は「国産牛」として売られている。
ヒレ肉なんかは柔らかくておいしいらしいし、
他の部位でもひき肉や細切れなんかになってるそうだ。
普通の牛よりも安いから、けっこういい商売になるらしい。
しかし、アメリカから経産牛がやってくれば価格がさらに安くなる。
この場合、和牛は競合しない。ブランド品だから。
競合するのはホルスタインのオスや経産牛などの「国産牛」である。
そうなると相場が暴落する可能性があり、
和牛以外の肥育農家が困っちゃうのだ。
でもスーパーでは原産地表示が義務付けられてるから、
アメリカの肉って言われると買わない人がいるだろう。
だからこのお肉、表示義務がないところに行く。
つまり、外食産業に流れる。
経産牛でもヒレ肉は柔らかくておいしいのだった。
そういえば昔某D社のやってるレストランで短角牛のヒレ肉食べたけど、
経産牛のヒレだった。でも柔らかくてうまかったもんね。
焼き肉屋さんとか、ファミリーレストランとかに納品され、
サラリーマンがお昼ごはんに食べる280円の牛丼や、
激安ハンバーグランチなんかのハンバーグになる。
冷凍食品にもなるかもね。
お父さんたち、少し気をつけた方がいいかもですよ。
米国産牛肉にはもうひとつちょっとどうなの?ってな
考えようによってはBSEよりも怖い問題があるんだけど、
今回も長くなって書き切れませんでした。すんません。
それはまた次回書かせてもらいます。
(※)特定危険部位
脳、脊髄、三叉神経節(頭蓋内)、背根、神経節、回腸、眼
■今回の資料・米国産牛肉輸入問題と BSE
国立国会図書館ISSUE BRIEF NUMBER 530(APR.6.2006)
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