「まっかなりんご」のために行われている作業の話
白雪姫のかじったりんごは真っ赤だったのかしら?
イブがかじったりんごは赤かったのかしら? なんて想像してみる今日この頃。
日本に住まうほとんどの人々が
「りんご=赤いもの」と思ってる。
最近黄色いりんごが流行って来たけど、りんごってやっぱり赤。
赤くないとりんごじゃない気がする人もいるのかもしんない。
それほどまでに「赤」が消費者の頭に刷り込まれている
だって、スーパーで売ってるりんごは真っ赤だもの。
なぜ真っ赤なのかなんて誰も思わないけど、
真っ赤じゃないと売れないのよね。
りんごの担当になるまで、りんごが赤いのは当たり前だと思っていた。
なぜそうなのか考えてみたこともなかったが、
今では自然に真っ赤になるものではないということを知っている。
フツーにならしていてもりんごはそれなりに赤くなるが、
全体をまんべんなく赤くするためは、ひと手間もふた手間も必要になる。
この作業は農家の手数を増やす。
さらに、りんごの味を悪くすることにもつながる。
消費者の嗜好、おそるべし。
わざわざりんごの糖度を下げて農家の手間を増やしている、
この作業のことを「葉摘み」という。
葉摘みした後のりんご。葉っぱがほとんどなくなってて丸坊主です。
数珠みたいだね~なんつってよく話します。青森ではこれぐらいの葉摘みは当たり前。
長野県でも地域によってはこれ位の葉摘みをしています。
りんごは基本的におひさまに当たることで着色する。
(日照率何%とかっていろいろあるらしいけど勉強不足で知りません)
りんごには、なりもとに必ず葉っぱが2~3枚ほどついているのだが、
この葉をそのままにしておくと、おひさまをさえぎるので色が白いままになる。
また、おひさまに当たっていない反対側も、色が白いままになる。
ということで、この葉っぱをとってやる。
その後りんごをくるりと回してやる。
さあ、これで赤いりんごのできあがり。
これをね、樹になってるりんご全部にするのよ。
作業量、どんだけだと思います? みなさん。
なりもとの葉っぱを取るぐらいならいいのだが、
邪魔になるからってほとんどの葉を落としてしまう産地もある。
その方が楽かも知んない。手間的には。
さてしかし。葉っぱは光合成をおこなう大切な器官である。
りんごの実ひとつに、葉っぱは40枚から70枚必要だと言われているが、
葉っぱを取ると、当然だが光合成ができなくなる。
りんごに蓄積されるでんぷんが作れなくなり、結果として
糖度が上がらない=おいしいりんごにならない(場合が多い)。
葉摘み前・葉摘み後の写真がないのでわかりにくいのですが。
おひさまにあたってるとこだけ赤いのがわかりますか?
葉の影とりんごの向こう側はまだ青いです。この葉を摘み、りんごを回す。
これでりんごがまんべんなく真っ赤になります。
なんていう「なんでそんなことすんの?」的なことを、
日本中のりんご農家が行っているのだった。
それも「赤いりんごじゃないと買わない」消費者のためにである。
最近「葉取らずりんご」と葉摘みをしないことに優位性をつけて
わざわざ高値で売ってるのを見るのだが、なんで高いのか疑問だ。
農家にとっては省力化だ。パートのおばちゃんを減らすことだってできる。
まあ、販促戦略なんでしょうけど、納得いかないわたくし。
葉取らずりんごを喜ぶくらいなら、
消費者が赤いことにそれほどこだわらなければいいだけの話なのだ。
そうすれば、りんご農家は手間を減らすことができる。
誰も知らないこの葉摘みという作業。
日本中のりんご農家で、膨大な手間と人件費の無駄が発生している。
しかし誰も「やめれば?」とは言えないのだ。売れなくなっちゃうからね。
ほんとにおいしいりんごと、ただ赤いりんご。
こういう比較の仕方は少し乱暴かもしれないけどね。
どっちが大事なの?って思う気がする今日この頃であった。
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