2025-01-10

(前からつづく、戯曲『想像の犠牲』について) ⚫︎以下に引用するのは、土井によって書かれた記録としての戯曲で、かつて行われた上演では西川(西川役の人)によって語られたとされる、演出家が〈弟〉に語ったという「いつか書き上げる小説」の登場人物が見た夢…

2025-01-09

(前からつづく) ⚫︎『シュタインズゲート』が、世界が無数の並行世界へと分離・増殖していく話であるとすれば、『ゴジラSP』は、時間の巡行と逆行を無限に繰り返すことで、一つの世界、一本の時間軸の中に、やり取りされる情報が何層も折り畳まれるという話だ…

2025-01-08

(一昨日からつづく) ⚫︎『想像の犠牲』では、誰かが誰かに「役」を付与し/誰かが誰かによって「役」を付与される、という出来事が相互的に連鎖する。それは、戯曲と上演との関係において、過去にも未来にも向けた、さまざまな人によって反復され得る出来事の…

2025-01-07

(昨日から続く) ⚫︎戯曲『想像の犠牲』には二つのプレ・テキストがあると言える。一つは、フィクションのレベルにのみ存在する、「演出家」によって書かれた戯曲である「想像の犠牲」で、この戯曲は実際には『想像の犠牲』の中でそのごく一部が再現されるだけ…

2025-01-06

⚫︎戯曲『想像の犠牲』について。一読してまず思い浮かべたのは、『ゴジラ・シンギュラポイント』と『シュタインズゲート』。そして大江健三郎。さらに高橋洋の、特に映画美学校の学生たちと共作している一連の意図的にチープに作られた映画群。 特に、高橋洋…

2025-01-05

⚫︎戯曲『想像の犠牲』を、ようやく読み始められた(半分くらい読んだ)。ひとまず、読み進めるための整理。 ⚫︎設定として、まず、アメリカにいる「演出家」と呼ばれる人物によって書かれた戯曲(「想像の犠牲」)があり、それは(演出家の)〈弟〉経由で土井に届け…

2025-01-04

⚫︎『ヤンヤン 夏の想い出』(エドワード・ヤン)DVDで。この日記を検索してみると、前に観たのはエドワード・ヤンが亡くなったことを知った2007年の7月だった。 え、こんな映画だったっけ。こんなベタな映画だった ? 、というのが最初の感想。結果としてこの作…

2025-01-03

⚫︎正月の親戚の集まりのときに、叔母さんや従姉妹から、小説を読んだけど難しかったと言われた。『セザンヌの犬』は、時空構造や因果構造をかなり複雑に作り込んでいるとはいえ、書かれていることそのものは、自分の思ったこと感じたことをストレートに書い…

2025-01-02

⚫︎この木は、少なくとも50年前から、この場所に、ほぼこのままの姿で立っている。4、5歳から10歳くらいまで、河原のこのあたりはぼくにとって世界の中心のような場所だった。といっても、小学校高学年にもなれば見向きもしなくなって、その後はずっと忘れた…

2025-01-01

⚫︎U-NEXTで『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン)を観た。初めて観たのはまだ学生のときだったと思う(30年以上前)。そのときには、大勢の人たちが画面を行き交い、話の詳細まではよくわからなかったのだが、しかしそれでも、とにかく衝撃を受けた。その…

2024-12-31

⚫︎アマゾンで、炊飯器というより「電気釜」という感じの、昭和30年代からあるような、最もシンプルな機械式のとても小さな(それでも三合炊きの)炊飯器が三千円で売っていたので買った。ご飯を炊くというより、野菜の捨てるようなところとか、中途半端な量残…

2024-12-30

⚫︎『海に眠るダイヤモンド』、最後まで観た。ストーリーテラーだなあ、野木亜紀子。というか、ストーリーテラーの仕事というのはこういうものなのか、と思った。 ほとんどの登場人物が、特定の出来事を形作る構成員というだけでなく、物語上(物語の大きな布…

2024-12-29

⚫︎「日本が12月のときトルコは何月?」は、改めてみても傑作だと思う。この傑作動画が、5年間で2000回とちょっとしか観られていないのは理不尽なことだ。 ・ゆっきゅんと絵恋ちゃんのやってこれなんです 第17回「日本が12月のときトルコは何月?」 https://w…

2024-12-28

⚫︎映画版『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション』後章。うーん、引き続き、面白いは面白いが、前章の方が圧倒的に面白かった、と思った。 物語としての整合性をつけようとする、というか、この場合は整合性というより、物語がきちんと「終わった」…

2024-12-27

⚫︎『海に眠るダイヤモンド』、6話と7話。ドラマって、幸福な展開があると、必ずその揺り戻しみたいにして次に不幸がやってくる。だから、幸福なエピソードがいくつも連なると、その時点でもう、嫌な予感というか、あー、もう絶対に次には不幸な回が来るじゃ…

2024-12-26

⚫︎それにしても、YouTubeは、サジェスト機能はかなりすごいのに、検索機能がダメダメなのだが、これにはとても嫌な意図を感じる。お前ら、自分から能動的に検索するなんて生意気だ、YouTubeさまの示唆に従っていればいいのだ、みたいな。 ⚫︎YouTubeのサジェ…

2024-12-25

⚫︎ChatGPT o1 proがすごいらしい。いやいや、言うほどでもないみたい。そんなこと言っているうちに「o1」を超える「o3」が早くも出た。みたいなAIの驚くべき進歩の速さにかんする話が聞こえてくるが、AIの進歩よりも「人間の愚かさ」の方が気になって仕方が…

2024-12-24

⚫︎映画版『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション』前章。観られて良かった。こういう作品が一定数以上の人から支持されているような世界であるのならば、まだ大丈夫だと思える。 現代を生きているという感触を捉える、まさに現代的なリアリズム作品…

2024-12-23

⚫︎『海に眠るダイヤモンド』、1話から5話まで観た。以前、1話だけは観ていたが、改めて最初から通して観た。まず何より、ホスト役の神木隆之介が素晴らしい。絶対にホストに向いてないのに、他にできることもないし、絡め取られてこの世界から逃げることもで…

2024-12-22

⚫︎ぼくはビートルズの良さがずっとよく分からなくて、別の人の演奏(いわゆるカヴァー)を聴いて「あ、いいな」と思って、それで改めてオリジナルを聴いてみて、「やー、こんなに良かったのか」と分かる、というか「分かる」というのはちょっと違うか、初めて…

2024-12-21

⚫︎数学に弱い者としてはとてもありがたい動画があった。ただし、複素数の世界を可視化するというより、我々がよく目にするいわゆるCGっぽい画像が、数学的に複素数が基礎となってできているのだということがよくわかる、という感じだか(ブレンダーの操作を思…

2024-12-20

⚫︎メモ。ビートルズを日本語で「歌ってみる」というチャンネルがあった。色んな意味で興味深い。「翻訳する」という行為の難しさと面白さ。音楽はできるだけそのままコピーするという方向だが、言葉は翻訳する、というときに生じるズレ。また、当然だが、ビ…

2024-12-19

⚫︎年末の図書館で借りた本(ノージックの本は上下巻)。県立。 年末の図書館で借りた本。市立。

2024-12-18

⚫︎選挙ウォッチャーちだいがツイキャスで言っていたこと。米を買いに行ったら、前は5キロ2500円くらいで買えた米と同じブランドが4000円ちかくにまで値上がりしていた。多少の値上がりは覚悟していたけど、これは高すぎるだろうと思って、もっと安く買える米…

2024-12-17

⚫︎タルコフスキー『サクリファイス』をDVDで。久々に観て思ったのは、昔観た感じよりも短いな、ということだった。前は、取り止めのない時間がどこまでも続くように感じていたが、多分、タルコフスキーの意図というか、「やっている(やろうとしている)こと」…

2024-12-16

⚫︎相米慎二『愛しい女』(1985年)。初めて観た。桂木文が主演。言ってみれば、ファンが観るための、ヌードありでエロ要素強めのイメージビデオなのだが、おそらく、80年代にはまだ業界にお金があったから、そういうものも名前のある映画監督が、それなりの予…

2024-12-15

⚫︎メモ。ピタゴラス音律とか、純正律とか言われているものについての解説はいろいろあるけど、下の動画を観て初めてわかったような気になれた。メロディとハーモニーは、本来いつも喧嘩しているのではないかという指摘はとても面白かった。 結局、ややこしか…

2024-12-14

⚫︎マティスの「ピアノのレッスン」(1916年)。この絵にあるのはまず、空間の虚実反転だろう。描かれているのは、ピアノと、その向こうの人物。手前に彫刻。そして、背後に壁と窓(直線的な窓枠と渦巻くフェンス)。そして、ピアノの後ろの壁には大型の絵がかけ…

2024-12-13

⚫︎マネの「アトリエでの昼食」(1868年)の特徴は、まず、遠近法的に空間を表現するパースを感じさせるものがほぼ存在しないということ。唯一、テーブルの角がちよっとだけのぞいていて、奥に向かって傾いているが、テーブルクロスの色と、その後ろに立ってい…

2024-12-12

⚫︎まったく今更という感じだが、最近ますます、マネの偉大さを感じている。あくまで、サロンに入選する伝統的な画家であることを望み、自分は革命家になりたいわけではないと発言しながらも、ルネサンス以降の絵画を強く規定していた「遠近法」と「陰影法に…