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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「旗本退屈男」(1930、サイレント)活動弁士、楽団付き。

「旗本退屈男」(第1回、サイレント、1930)を弁士付き(活動弁士:澤登翠:さわと・みどり)で見た。新宿・紀伊国屋ホールにて(29日18:00)。
 
直参旗本・早乙女主水之介(さおとめ もんどのすけ)を主人公とする痛快時代小説。昭和4年(1929年)4月の「文芸倶楽部」に初登場し、以後11作が発表された。サイレント時代から昭和中期まで30本映画化され、テレビドラマとしても何度もリメイクされている。
 
決め台詞は「この眉間に冴ゆる三日月形は天下御免の向こう傷、直参旗本早乙女主水之介、人呼んで旗本退屈男」。
 
第一回作品の「旗本退屈男」は、映画初登場の無声映画で、無声映画時代のフイルムで現存するのはこの1本だけだという。フイルムはマツダ映画社が所蔵していて、第713回無声映画鑑賞会の「第29回澤登翠リサイタル」の中の3本上映のうちの1本。
 
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12月中旬の「江東シネマフェスティバル」で、初めてサイレント映画の弁士付き上映(弁士:澤登翠)を見て、その際に澤登翠さんが「ぜひ見に来てください」とPRしていたので、再度、足を運んだ。
 
映画の上映前に楽団(カラード・モノトーン)による演奏があった。
 
これが感動!なんとあの”ニューシネマ・パラダイス”の音楽でスタートしたのだ。
ピアノ、ヴァイオリン、フルート、パーカッション、楽長などの演奏だが、見に来て良かったと思った瞬間だった(笑)。2曲目は原節子、佐野周二主演の「お嬢さん乾杯!」(1949)だった。3曲目は美空ひばりの「港町十三番地」(1957年リリース)だった。
 
「港町十三番地」の曲に合わせて、活動弁士の澤登翠さんが歌いながら登場したのには驚いた。まるでミュージカル(笑)。
 
澤登さんは「歌うつもりはなかったが、楽団の楽長から、歌ってみては、と言われて得意ではないが歌うことにした」という。弁士は、声優のようなしごとの一方で、ミュージカルスターのように歌うのにも驚き。
 
澤登さんが「旗本退屈男」について概略を説明する。
「この映画は1930年(昭和5)の作品で、今日いらっしゃている方々が誰も生まれていません」と言うと場内から、笑いが起こった。1930年生まれというと、87歳になるわけで、さすがに会場にはいないようだった(笑)。俳優・女優で言えば、高島忠夫、岸田今日子、中谷一郎、監督では深作欣二などがこの年の生まれだ。
 
 
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幕間に、売り子が「御煎(おせん)にキャラメル」と座席まで売りに来たのもびっくり。250円で、袋には「キャラメル」1個ととせんべいが入っていた。40数年前までは、映画館や、駅などで聞いたことはあるが・・・。
 
サイレント映画の時代の雰囲気を味わってもらおうというのか、「最後の5個です。
1個です」と女性がアピールした成果もあって完売だった(笑)。
 
 
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「旗本退屈男」(1930)は市川右太衛門の代表的なシリーズとなったが、その原点とも言うべき第1回作品を見ることができたのは幸運だった。
 
 
右太衛門は1907年2月25日-1999年9月16日)は、本名は淺井善之助。愛称は「右太(うた)さん」。次男は俳優の北大路欣也。
 
戦前・戦後期の時代劇スターとして活躍。同時代の時代劇スターである阪東妻三郎、大河内伝次郎、嵐寛寿郎、片岡千恵蔵、長谷川一夫とともに「時代劇六大スタア」と呼ばれた。歌舞伎役者から映画俳優となり、美剣士役で人気を得た。当たり役の「旗本退屈男」の早乙女主水之介(さおとめ・もんどのすけ)で、30本のシリーズ作品を生み出している。1966年に引退。映画主演総数は300本を超える。
 
 
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「旗本退屈男」(1930)は、額に三日月の傷があり、決め台詞は「この眉間に冴ゆる三日月形は天下御免の向こう傷、直参旗本早乙女主水之介、人呼んで旗本退屈男」。後の水戸黄門の葵(あおい)の紋章や「月光仮面」の三日月のようなものの原点かも知れない。
 
 
物語は盗人を捕らえてみたら、前に悪事を働いていた男と分かり、主水之介が「この三日月に身をぼえがあるだろう」というもの。原作は佐々木味津三、監督は古海卓二。出演は市川右太衛門、大江美智子など。上映時間は15分。
 

昭和の初期の映画館の館内はこうだっただろうとおもわせるような雰囲気を味わった。
 
紀伊國屋ホールの客席数は418席で、ほぼ満席だった。東京都新宿区の紀伊國屋書店本店4階にある劇場。
1964年に開館した。
 
 
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