スターシステムとは、人物のキャラクター性に軸を置いた起用法の名称である。
起用する人物が持つ魅力、集客力などを見込んで物事を企画・運用する方法で、演劇・映画界が発祥。
大まかに上記のような"二つの目的(利点)"を有し、これを使うと企画・運用する人が色々楽になるらしい魔法のシステム。大体運用される方は大変だけど。
現在、このシステムを活用する分野は「映画・演劇・TV」と「スポーツ」、「マンガ・アニメ・小説・ゲーム」で、それぞれ先に記述した"2つの目的(利点)"の比重が異なる。
→ 映画・演劇・TV分野のスターシステム
→ スポーツのスターシステム
→漫画・アニメ・小説・ゲームのスターシステム
起用するタレント(本来は含まれないが現在では時には監督や演出家・脚本家などスタッフの立場の人も該当する場合も)のもつ魅力や集客力=スター性を当て込んで作品の企画や脚本、広報が組まれる。"2つの目的(利点)"としては2よりも1に比重がかかってる。
例として「東映時代劇や日活ニューフェイス」「新宿コマ劇場の座長公演や宝塚歌劇団の○組スター」「2時間サスペンスドラマや月9」を思い浮かべるとどんな感じなのか分かると思う。
興行を打つ側としてはある程度数字が読みやすく、しかも稼ぎやすい。時々大きく読み違えるけど。
18世紀のイギリス演劇界で、それまで王侯貴族に保護されていた演劇が普通の市民が見る娯楽へと変化し、より観客が魅了される『スター』が重要視されそのスターが映えるように=もっと観客を引き寄せられるように舞台の演出・脚本・広報が偏重化していったのが事の始まり。
1920年代からアメリカを中心として始まる映画の隆盛でもこのシステムは流用され「チャップリンの○○○(チャールズ・チャップリン)」とか「ドーグラスの○○○(ダグラス・フェアバンクス)」といった作品群のように"主演俳優ありき"の作品が多く作られた。
(この頃は俳優が映画製作会社と専属契約を結んでおり、製作会社としても自社のスターを売り込む必要があった。この方式は日本映画界にも持ち込まれのちに所属俳優の自社以外の作品への出演を禁じる「五社協定」にも繋がる。)
専属契約体制が崩れてもスターの集客性の威力は廃れることはなく、TVの制作現場もこのシステムを参考にドラマやバラエティー番組(かつて多く作られた「クレイジーキャッツの○○○」「ドリフの○○○」といった番組タイトルに大きくタレント名が出た番組だけでなく、プロダクション会社がTV局と提携して自社の所属タレントをメインパーソナリティにした情報系番組なども広い意味でスターシステムといえるだろう)がつくられる。
演劇界も綿々とスターシステムを伝え続けており、中小劇団などで集客が望める俳優がその劇団の中で大きな力を持ち、主役や重要な役を多く張る状況はまさにスターシステムであると言えよう。
その競技やチーム内の花形選手を中心に据えたり持ち上げることにより注目度や集客力を高める起用法。"2つの目的(利点)"の1をより過度に重視したものである。
プロレスや野球、サッカーなどTV中継がされるものに多く導入される傾向にある。近年ではオリンピックや世界選手権などの世界大会が開かれるたびにマイナーな競技でもスターシステムが発動することがある。
競技団体やチームが率先してスター選手を中心に据える場合もあるが、マスコミが勝手に先行してスターに祭りたてる場合が往々にある。
時々、注目度や集客力を重視するあまり、実力が伴わなっかったり調子を落としたりした選手であっても起用せざるを得なく、全体の成績に響いたり、マスコミの槍玉にあげられたりして問題になる事も。祭り上げたの自分らなのに…
著作者が自身が生んだキャラクターを複数の作品に登場させることを、舞台のスターシステムになぞらえて呼ぶ。"2つの目的(利点)"の2の比重が大きい。
ただ、最大の目的(利点)は『キャラクターデザインを流用することによる生みの苦労や労力の軽減』にあるだろう。
そこ!「手抜き」とか云わない!!ましてや「描きわけが出来ないだけ」とか云わない!!
古くはウォルト・ディズニーやハンナ&バーベラの作品に活用され、自身がデザインしたキャラクターをまさに『舞台俳優』という立場で作品ごとの役割を演じさせるという"舞台・映画・TV分野のスターシステム"と同じ運用がされた。
さらにマーベルコミックやDCコミックに登場するスーパーキャラ達のように"同一性をたもちながらも他作品に登場するクロスオーバー的運用の仕方をするスターシステム"も登場した。
(これらはキャラクター商品としての価値が高く、したがって"2つの目的(利点)"の1の比重も高い。日本ではサンリオ関係や任天堂をはじめとするゲームキャラが同じ運用法か)
ゲームでは特定の名前のキャラや役割が複数のシリーズにわたって登場する手法がある。それらの世界観は共通していなくてもその人物と役割だけは形を変えながら存在し、シリーズ経験者は最新作はその人物や役割はどのような形で登場するのかが注目され、企業もその人物をPVなどで宣伝することもある。
小説ではこの他に「シェアワールド」という1つの世界観を複数の作品・作者で共有する手法があり、これもある意味スターシステムの一つといえる。
日本で一番有名なスターシステムを描いた人物は手塚治虫である。
彼は自身の漫画でスターシステムを多く使った。まず彼は7歳ごろから漫画を描き始めたが、その中では友人の祖父を登場させたり、妹が描いたキャラクターを複数の漫画に登場させたりした。
特に友人の祖父は何回も何回も複数の漫画に登場する。これは有名な伴俊作という名前も与えられた。(見た目からヒゲオヤジとも呼ばれている)
このヒゲオヤジは日本の漫画のスターシステム第一号キャラになる。
その他、手塚は妹が描いたキャラなどもサービスや自身が気に入ったこともあって他の漫画にも登場させるようになった。
手塚治虫はスターシステムを使う理由を同じキャラに愛着を持たせ、小さな子どもでもすぐに新しい漫画でも親しみが持てるようにしていると語る。
そのために手塚治虫の大人向けの漫画には実はスターシステムは使われていない。(例:陽だまりの樹、人間ども集まれ、奇子、上を下へのジレッタ、フースケ、ネオ・ファウスト、グリンゴ、その他いろいろ)
なので「手塚治虫の漫画には伴俊作など同じ登場人物がいっぱい出すぎ!」と思っている人は彼の子供向け・少年向け漫画しか読んだことが無いと思われる。
でも、子供たちにとっては、伴俊作(ヒゲオヤジ)や鉄腕アトムが他の漫画に登場する事によって、当時はわりと大喜びされていたのである。
やがて手塚型の脇役キャラへのスターシステム(こうなるともはや"スター"システムではない気もするが)を真似る作家も増え、ある時はファンサービスの一つとして、ある時は世界観を繋ぐ一つの手法として、そしてある時は描きわけが出来ない時の言い訳の一つとして、数々の作品で活用されている。
ニコニコ動画ではアニメや漫画のキャラや御三家(東方project、THE IDOLM@STER、VOCALOID)やゆっくり(Softalk)、例のアレ系(必須アモト酸、パンツレスリング、真夏の夜の淫夢、など)、2ちゃんねる発祥のAAキャラに至るまでいろんなキャラクターが本来のキャラクター性を超えゲーム実況や教養講座、仮想戦記モノに主役や脇役もしくは動画投稿者の代理として動画に登場している。
「キャラ創作者=作品制作者」ではないので漫画型のスターシステムとは少し性質が違うが、その様式はスターシステムに通じる所があると言えよう。
あ行/か行/さ行/た行/な行/は行/ま行/や行/ら行/わ行/英数・記号
名前 | 代表作品 | |
あ | 石原裕次郎 | 太陽の季節 黒部の太陽 太陽にほえろ! |
か | 加山雄三 | 「若大将」シリーズ |
川口浩 | 処刑の部屋 「水曜スペシャル 川口浩探検隊」シリーズ |
|
小林明 | 「渡り鳥」シリーズ | |
さ | ザ・ドリフターズ | 「ドリフターズですよ!~」で始まる映画作品群 ドリフ大爆笑 8時だョ!全員集合 |
た | ダグラス・フェアバンクス | 「ドーグラスの~」で始まる一連の映画作品群 |
チャールズ・チャップリン | 「チャップリンの~」で始まる一連の映画作品群 | |
な | ||
は | ハナ肇とクレイジーキャッツ | 「クレイジー~」「日本一の~」で始まる映画作品群 おとなの漫画 シャボン玉ホリデー |
ま | マリリン・モンロー | 紳士は金髪がお好き 7年目の浮気 |
や | ||
ら | ||
わ | 和田アキ子 | アッコにおまかせ! 「野良猫ロック」シリーズ |
英数 | SMAP | SMAP×SMAP 夢がMORIMORI |
あ行/か行/さ行/た行/な行/は行/ま行/や行/ら行/わ行/英数・記号
名前 | 競技 | |
あ | 荒木大輔 | 野球 |
アントニオ猪木 | プロレス | |
イチロー | 野球 | |
小川直也 | プロレス | |
か | 亀田興毅 | ボクシング |
キューティー鈴木 | 女子プロレス | |
さ | 澤穂希 | 女子サッカー |
ジャイアント馬場 | プロレス | |
た | 高田延彦 | プロレス |
谷(田村)亮子 | 柔道 | |
長州力 | プロレス | |
な | 中田英寿 | サッカー |
は | ||
ま | 三浦和良 | サッカー |
や | ||
ら | ||
わ | ||
英数 |
あ行/か行/さ行/た行/な行/は行/ま行/や行/ら行/わ行/英数・記号
を明記してくださるととても助かります(特にキャラクター名と登場作品)。表に落とし込む為に情報を精査する手間が全然違うので…orz
掲示板
99 ななしのよっしん
2022/08/09(火) 17:29:47 ID: XWE2pg7Rtg
シリーズ内の異なる作品舞台の数だけ存在するプリティーシリーズの赤井めが姉ぇやゼノブレイドシリーズのノポン族にヴァンダム
100 ななしのよっしん
2023/12/07(木) 17:43:44 ID: NJ9fW9f3yg
最初の概要説明、内容が重複してませんか?
2.「起用した人物の魅力(キャラクター性)を他の企画でも流用」の内容だけで問題ないと思います。
現在は、1.「起用した人物の集客力をあてに企画・運用」と分別されていますが、
集客力が発生するのは、人物の魅力の上に成り立っていると思います。
よって、集客力の内容は魅力の説明に内包されており、魅力の説明だけで十分かと思います。
101 ななしのよっしん
2024/01/08(月) 10:13:15 ID: 6ygsdt6Ed1
FEのアンナはスターシステムを逆手にとったキャラだと思う。ほぼ全部の作品に似たような奴がいるけど
「見た目が似てるだけの姉妹」として成立させた
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最終更新:2024/12/23(月) 10:00
最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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