2025-01

2010・11・9(火)フランツ・ウェルザー=メスト指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

   サントリーホール  7時

 同行来日中止となったサロネンの代役として、今日のみウェルザー=メストが指揮した。
 プレートルはまだ日本にいるが、明夜との連日ではやはりご老体にはこたえるということだろう。それにサロネンの穴埋めとしては、やはり有名指揮者2人くらいを揃えてみせないとファンが納得しないだろうということもあったか。

 ウェルザー=メストは既にウィーン国立歌劇場の音楽監督だし、フィルハーモニーとも気心知れた間柄のはず。1曲目の「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲と愛の死」など、流石に手馴れた雰囲気を感じさせた。
 但し手慣れてはいるが、相変わらず味も素っ気もない指揮だ。「愛の死」の絶頂個所など、実に淡白であっさりした陶酔である。まあ、ウィーンで聴いた「指環」ツィクルスでの演奏を思えば、予想できたことであるけれど。

 後半はブルックナーの「交響曲第9番」。こちらも淡彩ではあるものの、ウィーン・フィルの豪壮さがものを言って、極めて壮大な音の建築が出現した。第1楽章の終結部など、巨大な津波が恐るべき勢いで盛り上がって来るといったイメージさえ呼び起こす演奏である。

 ウィーン・フィルの音は、先日のネルソンスの指揮の時と同様、かなりラフで猛々しく、このオケがかつて備えていた艶麗な音色からは程遠い。ガリガリ弾かされていた所為もあるのだろう。アンコールはなく、8時45分には終演となった。

コメント

お客も結構、素直でしたね。元々、小沢征爾氏が指揮するプログラムに戻っただけのはずなのに。<オケがかつて備えていた艶麗な音色からは程遠い>。非常に良い演奏なのに。味わいがない。
それに、このオケ。<ラフで猛々しく>こんなに鳴るオーケストラだったのかな。
味わいのあるといったら、この夏、チューリヒで聴いたハイティンク指揮が、良かった。(ワーグナーチューバの側の座席のお客人が、そろって耳をふさいでいたのはびっくりしたけど。)
日本のオーケストラでも、上品にできるはず。と思いました。3月の新日本フィルみたいに。
C席(Pブロック)に居たのに、やはり高い値段のコンサート。出した値段と実際の感動が、近年益々、両立しなくなりました。とても残念な思いもします。

メストはまだまだこれからの指揮者でしょう。

チューリヒでの「ばらの騎士」は、彼の本性をみせた名演。私見ではC.クライバー以上。オペラは文句なし。小澤の後任になったのも納得。素オケの曲、とくに交響曲に関しては、おそらく、今ひとつ没入できないのでしょう。彼は外見もクールですし、バンスタみたいに「うぉー」ってやるのが恥ずかしいのかな?でも以前やった、VPOとのハイドンは素晴らしかった。モダン奏法の極致ともいえる清楚・凛冽な演奏でした。

プレートルは凄かったですね。あれほど荒れ狂うVPOは滅多に聴けないのでは?日本人はウィーン・フィルに「ウィーンの情緒」を求めますが、彼らがBPOと並ぶ「最強の」オケであることも忘れてはなりません。

>サロネンの穴埋めとしては、やはり有名指揮者2人くらいを揃えてみせないとファンが納得しないだろうということもあったか。

???サロネンという指揮者がこれほど騒がれるのは???POとの来日公演も小細工が見え透いていて、まだまだ浅い感じでしたね。(特に「幻想」1楽章の、テンポとダイナミズムの無関係!若い指揮者が陥りやすい細部への拘泥。)プレートル、メストとなれば、吉野家の牛丼が、野田岩の天然鰻重に変身したようなものでしょう。サロネンのキャンセルには感謝。

VPOが多少粗かったのは、恐らくこの人のせいです→アンドリス・ネルソンス
若いから許してあげます。

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