2025-01

2010・11・7(日)METライブビューイング ワーグナー:「ラインの黄金」

   川崎109シネマズ  11時

 評判の良いMETのライヴ上演映像一般公開のシリーズ、今シーズンはこの演目で開始された。入場料3500円で、客もそこそこ入っている。
 この映画館は初めてだが、音響も悪くなく、音量も手頃に設定されていて聴き易い。但し配役一覧表も内容紹介の資料も配布されないのは、クラシック音楽ファンの心理を無視したもので、不親切である。

 20年以上にわたりMETの舞台を飾って来たオットー・シェンク演出のプロダクションに替わり、新制作されはじめたロベール・ルパージュ演出「ニーベルングの指環」――その第1弾がこれだ。
 まさにMETならではの非常に大掛かりな舞台で、巨大なセットが大きな角度で刻々と変化し、照明や吊り装置により登場人物の動きが視覚的にも異次元的な効果を生むのが面白い。セット・デザイナーのミシェル・ゴセラン、テクニカル・ディレクターのカール・フィリオンの力も与っているだろうが、何よりルパージュの美的感覚がものを言った舞台と言えよう。

 こういう舞台は、今日のような予算難の時代にあっては、他の歌劇場ではちょっと真似できないたぐいのものである。先シーズン、「トスカ」の渋い新演出に落胆したMETの観客も、今度の「指環」新演出版にはどうやら満足したのではなかろうか。

 若干皮肉な目で見れば、ルパージュの「指環」は、要するに舞台装置の華麗さと豪華さで特徴づけられるものであり、ドラマトゥルギーそのものに関してはむしろ平凡な域を出ていないか、もしくは欠如している、と言えるかも知れない。
 だがまあ、それはもう少し先を観てからにしよう。

 指揮は、前プロダクションと同様ジェイムズ・レヴァイン。「指環」といえば世界の歌劇場におけるステイタスだから、相変わらず人気のある音楽監督が自ら振るのは、まあ当然なのだろう。
 歌手では、ヴォータンのブリン・ターフェルが悪役顔で威容を誇示していた。だが最も存在感を示して気を吐いていたのは、アルベリヒのエリック・オーウェンズだった。ローゲのみ、独り盛んにブーイングを浴びていたのは気の毒。

コメント

日曜日、某所でみました。
あのブーイングは?
どこがブーだったのでしょうか。

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