2021・11・4(木)アンドレア・バッティストーニ指揮東京フィル
東京オペラシティ コンサートホール 7時
東京フィルの2021シーズン最終定期━━「シーズン」の組立は、オーケストラによって「9月~翌年3月」や「9月~翌年8月」など各種あるが、東京フィルは「1月~12月」型を採っているようで━━つまり今日が今シーズンの最終定期、ということになるのだそうである。
指揮は首席指揮者アンドレア・バッティストーニ、プログラムはバッティストーニの自作「フルート協奏曲《快楽の園》~ボスの絵画作品に寄せて」の日本初演と、チャイコフスキーの「交響曲第5番」という組み合わせ。コンサートマスターは三浦章宏。
「フルート協奏曲」は2019年の作品の由で、その委嘱者でもあったトンマーゾ・ベンチョリーニが今日のソリストだった。「天地創造」「エデンの園」「地獄」「庭」の4楽章からなる30分強の長さの曲だ。
たった1回の演奏を聴いただけであれこれ言うのは避けたいけれども、正直に言えば、往年のミクロス・ローザ(ロージャ・ミクローシュ)の映画音楽を聴いているような印象もあり、私にはあまり共感を抱けない作品としか、今のところは言いようがない。
ベンチョリーニはアンコールにバッハの「サラバンド」を吹いたが、これはまたすこぶる濃厚な色合いのものであった。
シンフォニーの方は、熱血バッティストーニの本領発揮というべきか、実に明るい、開放的そのもののチャイコフスキーだ。オーケストラもまあ鳴ること、鳴ること。トランペットは新宿駅まで届けとばかりの大きな音で吹きまくる。痛快ではあるものの、少々辟易させられる演奏でもあるが、これはこのオペラシティではなく、もっとホールの空間の広いオーチャードホールででも聴けば、もう少し違った印象を得るかもしれぬ。
第2楽章では、バッティストーニのいかにもイタリア人らしいカンタービレが利いて、チャイコフスキーのメロディの良さが再現されていたところもあった。
バッティストーニは、来年の9月定期で、リストの「巡礼の年」の「イタリア篇」の一部を自らオーケストレーションしたものを取り上げるとのこと。今日のアンコールでは、その予告編のようなものを演奏して聴かせてくれた。もしやこれから毎シーズン、彼の自作自演を入れる気か?
東京フィルの2021シーズン最終定期━━「シーズン」の組立は、オーケストラによって「9月~翌年3月」や「9月~翌年8月」など各種あるが、東京フィルは「1月~12月」型を採っているようで━━つまり今日が今シーズンの最終定期、ということになるのだそうである。
指揮は首席指揮者アンドレア・バッティストーニ、プログラムはバッティストーニの自作「フルート協奏曲《快楽の園》~ボスの絵画作品に寄せて」の日本初演と、チャイコフスキーの「交響曲第5番」という組み合わせ。コンサートマスターは三浦章宏。
「フルート協奏曲」は2019年の作品の由で、その委嘱者でもあったトンマーゾ・ベンチョリーニが今日のソリストだった。「天地創造」「エデンの園」「地獄」「庭」の4楽章からなる30分強の長さの曲だ。
たった1回の演奏を聴いただけであれこれ言うのは避けたいけれども、正直に言えば、往年のミクロス・ローザ(ロージャ・ミクローシュ)の映画音楽を聴いているような印象もあり、私にはあまり共感を抱けない作品としか、今のところは言いようがない。
ベンチョリーニはアンコールにバッハの「サラバンド」を吹いたが、これはまたすこぶる濃厚な色合いのものであった。
シンフォニーの方は、熱血バッティストーニの本領発揮というべきか、実に明るい、開放的そのもののチャイコフスキーだ。オーケストラもまあ鳴ること、鳴ること。トランペットは新宿駅まで届けとばかりの大きな音で吹きまくる。痛快ではあるものの、少々辟易させられる演奏でもあるが、これはこのオペラシティではなく、もっとホールの空間の広いオーチャードホールででも聴けば、もう少し違った印象を得るかもしれぬ。
第2楽章では、バッティストーニのいかにもイタリア人らしいカンタービレが利いて、チャイコフスキーのメロディの良さが再現されていたところもあった。
バッティストーニは、来年の9月定期で、リストの「巡礼の年」の「イタリア篇」の一部を自らオーケストレーションしたものを取り上げるとのこと。今日のアンコールでは、その予告編のようなものを演奏して聴かせてくれた。もしやこれから毎シーズン、彼の自作自演を入れる気か?
コメント
素晴らしい演奏でした。
小生もサントリー定期を拝聴。後半は、メランコリックで濃厚なロシア節というより、強い日差しが感じられるようなイタリア風チャイコフスキーでしたが、実に切れ味の鋭い演奏でした。
冒頭から、金管が最強奏され、このペースで最後までもつだろうか、スタミナ切れを起こすのではないだろうか、と少し心配になりましたが、そのようなこともなく、最後まで東京フィルの強靭なアンサンブルをこれでもかと堪能させてくれました。
2階LCブロックで拝聴したのですが、第4楽章のコーダで、一瞬、バンダが演奏しているのか、と勘違いするような反響を耳にしました。かつて音楽評論家の出谷啓氏が、オーマンディ指揮フィラデルフィア管の初来日公演で「フェスティバルホールが箱鳴りするのを初めて聴いた」と述べておられた記憶があるのですが、その言葉を思い出しました。
冒頭から、金管が最強奏され、このペースで最後までもつだろうか、スタミナ切れを起こすのではないだろうか、と少し心配になりましたが、そのようなこともなく、最後まで東京フィルの強靭なアンサンブルをこれでもかと堪能させてくれました。
2階LCブロックで拝聴したのですが、第4楽章のコーダで、一瞬、バンダが演奏しているのか、と勘違いするような反響を耳にしました。かつて音楽評論家の出谷啓氏が、オーマンディ指揮フィラデルフィア管の初来日公演で「フェスティバルホールが箱鳴りするのを初めて聴いた」と述べておられた記憶があるのですが、その言葉を思い出しました。
座席位置について
KENさんがサントリーの2階LCブロックの反響音についてコメントをしていましたが、この位置は特に反響が大きいのではないでしょうか。実は、先月のチョン・ミョンフンさんの指揮でブラームスを聴いた時に特に強く感じました。その前月のブラームスは二階正面やや右側の席でしたが、とてもバランスの良い音でしたので3番のSYが始まったときには何事が起きたのかと驚いたものでした。聴く位置によって音もかなり違って聞こえてくるものですね。聴く位置は生演奏を味わう楽しみの一つでもありますが、演奏の印象をも変えてしまう怖さ(逆に喜びの場合も)があるのかもしれませんね。ともあれ、感動できたことは何よりのことです。生演奏万歳!
チャイコフスキー5番、彼はいつも音量を気持ちよいほど大きく出させるが、今回もまさにそれでした。この演奏に陶酔して興奮した人が2,3人、二階席でも終わるや否や立ち上がって大拍手していました。こぎれい、ち密に聴かせるのとは違うが、これも勢い流れで、彼のパッションがオケを動かして良いのではと思います。定期の振替でオペラシティで彼の指揮で聴くときは大音量にやや身構えていきますが。