2025-01

2016・5・17(火)METライブビューイング プッチーニ「蝶々夫人」

   東劇  7時

 4月2日の上演ライヴ。
 アンソニー・ミンゲラ(英・映画監督)演出、舞台演出監督キャロリン・チョイ、マイケル・レヴァイン美術、ハン・フェン衣装。METでは定番のプロダクション。

 舞台装置は比較的シンプルな部類に入るだろうが、ピーター・マムフォードの巧みな照明を活用して、豪華絢爛、綺麗に見せる。
 しかも衣装が極度に華麗で、女性たちの着物だけでなく、神官や僧侶ボンゾや大尽ヤマドリの服装も恐ろしくカラフルである。それらが日本風であるかどうかは別として、それらの色彩感そのものが、このオペラを見事な幻想の世界として描き出しているともいえるだろう。

 さらに面白いのは、黒子を多用して蛍や鳥を動かすだけでなく、蝶々さんの子供を文楽の手法で黒子3人により動かしていることだ。従って子供の動作は、実物よりもはるかに細かく表情豊かになる━━ただその顔が、可愛いけれども、少々気味の悪いところがないでもないが。

 歌手陣。
 蝶々さんはクリスティーヌ・オポライス。無邪気さよりも知的で芯の強い女性というイメージで、これは当たり役であろう。
 スズキはマリア・ジフチャクで、小太りの体躯とメイクが不思議な良い味を出している。彼女の存在は蝶々さんにとっては、スカーレットに対するマミー、タチヤーナに対する乳母フィリッピエヴナのような役柄として描かれているように見える。

 ピンカートンはロベルト・アラーニャ、領事シャープレスはドゥウェイン・クロフト、いずれも非の打ちどころのない役柄表現だ。
 なお、スクリーンでは配役表が電光石火の勢いで流れるため見逃してしまったが、ヤマドリ役の(多分)中国人歌手(SEASON BOOKの当該配役表にも載っていない。OPERA NEWSには多分載っていると思うが、手許に無い)も実に雰囲気がいい。
 以上、歌唱力もみんな見事だ。

 指揮はカレル・マーク・シションという人で、英国生まれの45歳とか。これがMETデビューの由。極めて丁寧に、ゆっくりと音楽を歌わせる人のようだが、今回の「蝶々夫人」での指揮を聴く限り、滔々と音楽を押して行くというタイプの指揮者ではなさそうである。

 第2幕の第1場と第2場の間にも約30分の休憩(うち17分はインタビューだ)があったので、終映は10時半になった。案内役はデボラ・ヴォイト。この人の切り回しの巧さには、何度見ても舌を巻く。

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