2025-01

2013・8・24(土)サイトウ・キネン・フェスティバル松本2013(2)
ストラヴィンスキー:「兵士の物語」

  まつもと市民芸術館・実験劇場 2時

 SKFとまつもと市民芸術館の共同制作プロダクション。2011年にロラン・レヴィ演出でプレミエされている(2011年8月24日の項)。

 今回のこれは、前回悪魔役で出演していた串田和美の新演出によるもの。
 出演者は、石丸幹二(語り手、前回は兵士役)、首藤康之(兵士)、白井晃(悪魔)、ゲイレン・ジョンストン(王女 黙役・ダンスのみ)、それに助演者たち4人が効果音担当やダンスで加わる。演奏者は白井圭(ヴァイオリン)、吉田誠(クラリネット)、只友佑季(トランペット)、前田啓太(打楽器)ほか、という顔ぶれだ。

 新演出では、舞台進行や演技に様々な工夫を凝らしており、兵士と悪魔のカード勝負の場面を語り手や助演者も加えて大掛かりな演劇的な光景にしたり、終り近くの舞曲のところをクライマックスのダンス・シーンに構成したり、それなりに面白い舞台として作られている。
 ただ、それはいいのだが、芝居がやや間延びしているようにも感じられる。このため、ストラヴィンスキーの音楽がもつテンポ感や、リズミカルな進行との間に、少なからぬギャップが生じてしまっていたことも事実であろう。

 そして何といってもラストシーン――今回は、兵士が屈伏して悪魔の前にくずおれ、一度幕が閉まり、もう一度幕が開くと「燃える太陽の夕空」を背景に兵士と悪魔の小さい像のようなものが浮かび上がるという手法だったが、こればかりは、旧プロダクションの迫力と比べると、だいぶ差が出た。
 なんせ、あの旧演出では、背景の幕が開くと、まつもと市民芸術館の主ホールの客席全体が目の前に現われ、そこに立つ悪魔のシルエットが客席の上階まで不気味に拡がって、魔物と化した王女をあとに兵士が悪魔の方へ吸い寄せられて行くという、ギョッとさせられるような光景が見られたからである(この「実験劇場」が「主ホール」と背中合わせになっている構造を生かしたものだった)。熱演した人々には悪いが、私には今回のラストシーンはいかにも拍子抜けで・・・・。

 なお開演前には、客席入口で賑やかな鳴り物入りの呼び込みが行なわれたが、今回の演奏者たちが全員コミック風のメイクをして、踊りながら演奏して客を喜ばせていた。なかなかいいノリである。やるものですねえ、最近のプレイヤーのみなさんは。

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