2025-01

2012・2・3(金)ラ・フォル・ジュルネ(2) 
シンフォニア・ヴァルソヴィアのチャイコフスキー:「第5交響曲」

   オーディトリウム・プーシキン  正午

 プレス・カードを所有している取材班は、どのホールにも入れるけれども、一般の有料入場者の着席が終わった頃に入場が認められるというシステムになっている。したがって、このコンサートのような人気プログラムでは、満席のために立ち見を強いられるというようなこともある。
 今回も結局、最上階で立ち見ということになったが、周囲は幼児がぎっしり。退屈して騒ぐ。そもそもこんな曲では、長さも含め、キッズには無理ではないかという気もするが・・・・。

 ジェルジ・セムコフという指揮者は、ナマで聴くのは初めてだが、何かギクシャクした指揮ぶりで、しかも音楽が平板で、あまり面白くない。シンフォニア・ヴァルソヴィアの演奏もすこぶる粗い。
 前回もそうだったが、概してこのフェスティバルでは、参加ソリストたちは真剣に演奏するものの、出演するオーケストラは何となく手を抜いたり、あるいは水準が低かったり、というケースが多く見られるようである。

 第4楽章序奏部分までは退屈していた子供たちも、第4楽章の主部のアレグロに入ると、音楽の景気のよさに喜ぶこと、喜ぶこと。一緒に指揮者の真似をしながら踊り出す子供もいるのが、何とも愉快な光景ではある。
 東京でこんなことが起こったら、たちどころに主催者にクレームが行くだろうが、こちらナントでは、客も寛容だ。
 子供たちは、音楽が一寸でも休止すれば、途端に拍手を始める。第2楽章真ん中のパウゼの個所や、第4楽章の序奏が終わった所でも手をたたき始める。子供だけでなく、少なからぬ数のおとなたちまで手をたたく。
 例の第4楽章コーダの前ではどんなに大きな拍手が起きるかと、演奏がつまらない分、楽しみにしていたのだが、案に相違してセムコフは、そのゲネラル・パウゼでは殆ど間をおかずにコーダに突入してしまったので、2、3人程度の拍手しか起きなかった。

 「チャイコの5番」での「第4楽章コーダの前の拍手」については、繰り返すが、藤岡幸夫さんがブログで書いていたエピソードが未だに私の脳裏にこびり付いている。
 それは彼が英国滞在時代にオーケストラのメンバーから聞いたという話で――もしあそこで拍手が起こったら、それは「新しいお客さんが増えたという証拠で、むしろ喜ぶべきこと」なのであり、かつ「そこで皆が思わず拍手をしてしまうくらいの素晴しい演奏をしなくちゃいけないのだ」と考えるべきだ、と。
 
 今日のコンサートの場合はどうだろう? 第1点は、確かに当たっているだろう。但し第2点の方には、あまり当てはまらぬようだが・・・・。

コメント

東条先生、遠路お疲れ様でした。

チャイ5第四楽章のコーダ前パウゼにおける拍手についての話(藤岡氏談)ですが…
私は、悲愴第三楽章終了時の拍手について、某国内オケの方から、同じような話を聞いたことがあります。
思わず出てしまう拍手という点で、むしろうれしいとのことでした。

それでも、ビギナーの方が多いコンサートでは、チャイ5四楽章でヒヤヒヤするのは確かですね。
これからは、先生を見習って、楽しみにするくらいの余裕を持ちたいと思います(笑)。

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