書は言を尽くさず、

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岩城裕明 『三丁目の地獄工場』

三丁目の地獄工場 (角川ホラー文庫)
日本ホラー小説大賞受賞後の第1作。
5編収録の短編集。
5編それぞれテーマも文体も異なる作品で、芸の幅の広さ・器用さに驚く。グロテスクさは一つ得意分野だと思うが、残酷、淡々、耽美などなど組み合わせで色々な魅せ方ができている。特に印象に残ったのは「女瓶」。受賞作『牛家』に収録の「瓶人」のスピンオフだが、丁寧な動作の描写や「瓶人」にはない若干の耽美的な雰囲気に惹き付けられるものがある。元祖を超えてしまっているのではないか。また、「キグルミ」も面白い。舞台演劇という設定を利用した何重ものメタ要素による酩酊的感覚。
講談社BOX刊行の作品も追ってみようかという気になった。