相場雑感です。
日経平均株価はここのところヨコヨコの状態が続いており、特にイベントもないと感じていますが、個別銘柄では株価下落で値頃感が出てきている銘柄が散見されるようになってきました。電炉大手の大和工業や橋梁大手の横河ブリッジなどは興味深く観察しています。
大和工業の配当利回りは5.24%、財務基盤も鉄壁でいい会社ですが、セクターローテーション的に鉄鋼の好調が続くのかという不透明感も株価に内包しているかと感じます。また、配当400円のうち100円は記念配当ですので、巡航としては300円で配当利回りは4%弱となっています。
横河ブリッジの配当利回りは4.14%、業績も悪くはなく累進配当政策を採用していますので、ある程度の安心感をもって配当を確保できる銘柄かと思います。
○ NTTについて
NTTの株価は直近高値193円から146.5円まで下落しており、配当利回りも3.55%と魅力的になってきました。SNSでも色々と話題になっていますが、見通しについては複雑に考えすぎる必要もなく、シンプルにするのが理解しやすいですし事足りるのかなと思います。
定量的には、過去5年間におけるPERのレンジを見ると、9.3倍~13倍(株価なら121円~170円程度)となっています。これが、過去5年間で投資家が許容(このくらいなら買ってもいいと考えてきた)してきたPERです。現在の予想PERは11.2倍となっており、これは過去の平均値である11.3倍とほぼ同じであることから、株価はフェアバリュー。つまり、高くも安くもないという判断ができようかと考えます(言い換えれば、更に下落することも普通に起こり得ます)。
あとは、現在の配当利回り3.55%に納得できるか、どの程度の期間を投資対象としているのか、それぞれ検討していくことになろうかと思います。
定性的には、業績の安定性や連続増配という特性があること、当面はデータセンターなどへの投資が先行することから利益圧縮要因となること(EPSの伸びはさほど期待できない)、そのため経営指標ではキャッシュフローの増加を計るEBITDAを数値目標としていること、IOWNの利益貢献はまだ先であること、などを念頭においておけば十分かと思います。
政府の株式放出についてはどうなるかわかりませんが、現在進行形で投資している案件によりキャッシュ創出力は上昇しますので、10年程度をかけて定期的な自社株買いで引き受けて、すべて買い取った後で一括して消却するなど、色々と対応策はありそうな気もします。
NTTについては、事業は概ね会社の計画通りに進んでいるのではないでしょうか。事業が安定していれば予測の難度は相対的に下がります。あとはいくらで買うかだけの話になろうかと考えています。
○ 日経累進高配当株指数の銘柄定期入れ替えについて
これもSNSで話題になっていましたが、以下のような入れ替えがなされました。
【新規採用銘柄】
1802 大林組 1870 矢作建設工業 2317 システナ 3431 宮地エンジニアリンググループ 4503 アステラス製薬 4848 フルキャストホールディングス 6652 IDEC 7226 極東開発工業 7313 テイ・エス テック 7956 ピジョン 8097 三愛オブリ 8130 サンゲツ 8252 丸井グループ 8892 日本エスコン 9066 日新
【除外銘柄】
1941 中電工 5020 ENEOSホールディングス 5302 日本カーボン 5857 AREホールディングス 7433 伯東 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 8316 三井住友フィナンシャルグループ 8341 七十七銀行 8354 ふくおかフィナンシャルグループ 8411 みずほフィナンシャルグループ 8418 山口フィナンシャルグループ 8584 ジャックス 8595 ジャフコ グループ 8630 SOMPOホールディングス
メガバンクが3社とも除外となっているのが印象的だったのかもしれませんが、ルールに基づいての入れ替えとなりますので、このようなことは起こり得ます。
拙著3作目でも、抽出条件に基づいて機械的に選定しているに過ぎず、成長性や財務健全性はファクターとはなっていないこと、抽出条件は実績ベースで減配せず増配か配当維持(累進配当)を10年以上続ける銘柄のうち、日経の予想配当に基づく配当利回りが高い順に30銘柄で構成。このように紹介させていただいたのは記憶に新しいところです。
(拙著3作目、フルオート31.5より)
このような指数では大抵の場合、算出要領が公開されています。日経累進高配当株指数についてもルール(算出要領)は開示されていますので、確認して見るのもよいでしょう。 このように算出要領が公開されていると、5月の決算公表で入れ替えについてはかなり精度の高い予測が可能となりますので、ファンドなどは先回りして買っているかもしれません(長期投資家にとっては影響はありませんが)。
○ 6月28日(金)19時~ 出版記念セミナーについて
出版社の企画で出版記念セミナーが開催されます。
みなさんの前でお話する機会は、恐らくこれで最後になるのかなと思います。思い出に残る講義としたいと考えておりますので、ご検討いただけましたら幸いです。
○ 拙著のレビューについて
アマゾンや楽天ブックスなどでレビューを投稿してくださった読者のみなさん、お忙しい中ありがとうございます。星マーク評価の投稿だけでなく、コメントまで記載してくださっている読者もいて、大変励みになっております。心よりお礼申し上げます。
レビューはまだという読者がおられましたら、星マークだけでも励みになりますので、何かのついでに評価を投稿いただければ嬉しく存じます。レビューでのコメントは今後の情報発信の参考にさせていただきます。お手数ではございますが、何卒ご検討いただけましたら幸いに存じます。
長い投資人生のお供として、よろしければ拙著を。
2作目『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 』は、1冊目とは相互補完的な内容です。投資判断のモノサシを増やし、投資の精度を上げて割安な銘柄へ投資ができるよう、執筆しています。また、各セクターにおける日本を代表する銘柄を網羅的に紹介しています。幅広い優良銘柄の選択肢を用意しておいて、条件が整った時に投資するというような手法もとることが可能となります。