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相場雑感

相場雑感です


 日経平均株価はここのところ38,000円~39,000円程度を行ったり来たりのレンジ相場となっています。株価にも慣性の法則のようなものがあるのか、割安感や期待感から買われていた状態が、適正な水準でストップすることができず、そのまま上昇してしまった分がようやく戻してきている、というように見えなくもありません。


 今年は年初の終値が33,288円であり既に5,000円程度上昇済であること、日経平均の最高値を更新し一時は4万円台も突破というイベントをこなしていること等を踏まえると、現在の落ち着いた株価水準が概ねのフェアバリューという評価なのかもしれません。


 投資指標を冷徹に見れば、日経平均PER16.52倍、PBR1.48倍(いずれも加重平均)は、歴史的に見れば高い水準にあります。日本企業の業績予想は控えめに出して、期中に上方修正されるケースも少なくありませんが、昨年の5月末のPERが14.09倍、PBRが1.27倍であったことを踏まえると、過去の水準よりは割高な状態にあると言えなくもないでしょう。


 その一方で、コストプッシュを主な要因としつつもインフレが進んでいるのは誰の目にも明らかです。インフレが進むことにより現金の相対的な価値(購買力とも言い換えることができるかもしれません)は落ちていっていますので、資産防衛策としての株式での運用は、その必要性が増しているのもまた事実でしょう。


 隠れた税金とも呼ばれるインフレに対抗するには、株式投資は有効な手段の一つとなります。その一方で、株式投資はボラティリティが大きく、また、精神的負荷も大きくなるというような特性があります。相場での経験が短ければ短いほどに、株価が下落した際の精神的負荷も大きくなり、最悪、投資をやめてしまうというケースも起こりかねません。


 株価暴落というものは、今現在が暴落中という場合を除いて、いつ何時発生してもおかしくない事象です。株式投資を始めて、資産形成における最初のターニングポイントとなるのが株価暴落という事象で、ここを乗り越えられれば長期的な資産形成がより現実的なものとなります。そのためには、習うより慣れろ、という側面も少なからず存在しますので、投資入門者の方は、まずは儲けるというよりも慣れるということを大切にした方がよいともいえるでしょう。
 この点、現在は1株ずつ投資できる環境が整っていますので、まずは1株買ってみて、保有してみて、知識や経験を積むことは無駄にはなりません。


 長期金利(日本国債10年)の推移を確認すると、いよいよ1%を超えてきました。金利のある正常な世界への回帰です。これまでの低金利時代は永遠とも思えるような長い時間だったかもしれませんが、後世の歴史家からは、歴史的に見れば例外的なわずかな期間、という評価を受ける蓋然性はあると認識しています。
 金利が上昇すれば、メガバンク、生損保に有利に働きます。また、多くの企業にはネガティヴに作用します。株価は既に反応済であり、現時点でどの程度の投資妙味があるかは精査が必要ですが、金利が上昇すればメガバンク、生損保の業績も上がるという構造は変わりません。そのことは覚えておいて損はないでしょう。


20240601.png
(SBI証券のホームページより)


 メガバンクについては、三井住友フィナンシャルグループを1,220株保有していますのが、このうちの多く(1,000株)は2022年の6月から9月にかけて何回かに分けて集中的に投資したものです。当時の株価は4,000円ちょっと、ブログを振り返ると、配当キャッシュフローの増加を期待していたようです。人間の記憶は曖昧ですので、ブログで記録を残しておくと振り返りができていいですね。
 この2022年には、積水ハウスにも集中投資しています。現在の保有株数は1,432株ですが、そのうちの1,100株をこの年の5月から7月にかけて何回かに分けて投資しています。こちらは当時の株価は2,200円程度だったようです。
 三井住友フィナンシャルグループは花開き、積水ハウスも狙っていた状況に近づきつつあります。当時としては地味な投資だったと思いますが、当たれば大きく負けても損は小さい、というオッズがよい時に投資すると長い目で見ればリターンをもたらしてくれると考えます。


20240601 3
(拙著3作目より)



○ プレジデントオンラインに記事掲載
・5/28、5/29、5/31にプレジデントオンラインに記事が掲載されました。


○ 東洋経済オンラインに記事掲載
5/31に東洋経済オンラインに記事が掲載されました。


○ 拙著3作目の発売について
 今週の火曜日(5/28)に3作目の拙著となるフルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資』が発売されました。


 Xでは拙著を手に取っていただいているポストを拝見し、あらためて有り難い話だと感謝の念に堪えません。3作目が出版に至ったのは、常日頃からご支持をいただいております読者のみなさん、フォロワーのみなさんのおかげ以外のなにものでもありません。あらためて感謝申し上げます。
 本当にありがとうございます。


 不躾ではありますが、一つだけお願いさせて下さい。Amazonや楽天では、評価をレビューすることができます。拙著が世の中からどのような評価を受けているか、これは筆者にとって参考にすべき点であり、また、大変励みにもなります。今後の情報発信にも活かしていきたいと存じますため、お忙しい中、誠に恐れ入りますが、ご検討いただけましたら嬉しく思います。



○ その他
 出版社の企画で出版記念セミナーが開催されることになりました。
 2024年6月28日(金)19時~21時にオンラインで開催されます(※有料となります)。
 以下のサイトでお申し込みが可能です。お申し込み可能期間は2024/6/27(木) 12:00までとなります。(https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01nrzcqydbs31.html

出版記念セミナー


セミナーの内容は以下の通りです。
・株式が生み出すリターンの源泉を知る
・長期的視点で取り組む続けられる株式投資
・負けない投資を実践するために必要なこと
・具体的な銘柄でケーススタディ
・新NISAの活用法

 また、購入者特典として、行動経済学(投資とメンタルの関係)について執筆したPDF(20ページ程度)のプレゼントがあります(専用ルームURLの配信時にあわせて配布される予定とのことです)。なお、音声とスライドでの進行となりますので顔出しはありません。
 定員は200名ですが、出版社によると5/29の段階で64名の方にお申し込みいただいているとのことでした。本当に有り難く、思い出に残る講義としたいと気持ちをあらたにしております。




長い投資人生のお供として、よろしければ拙著を。
1作目『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』では、どのようにすれば、これまで株式投資をおこなった経験のない投資初心者が、株式市場から退場させられずに、長期配当投資のノウハウを学び実践できるか、について書かれています。


2作目『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 』は、1冊目とは相互補完的な内容です。投資判断のモノサシを増やし、投資の精度を上げて割安な銘柄へ投資ができるよう、執筆しています。また、各セクターにおける日本を代表する銘柄を網羅的に紹介しています。幅広い優良銘柄の選択肢を用意しておいて、条件が整った時に投資するというような手法もとることが可能となります。

コメント

No title

武田薬品

PER113 PBR0.9 ROE0.8

人類で最も赤字が大きく利益率0
30年間ずっと赤字なイメージなのですが
だれがどういう意図でこういう超赤字体質の株を
買うのでしょうか?
利益が出る可能性が全く存在しないなら永遠に株が下がり続けるはずなのですが。
しかし凄まじい数値でインパクトは強すぎです。

No title

数値だけ見るとすさまじいですが10年チャートを見ると
ほとんど下がってません。利益が出る可能性が全くなく、特許が切れる度大赤字、リスク超特大、リターン0。
全ての株主から逃げられそうなのに、今武田薬品をどんどん買ってる資産1億5000万ブロガーがいます。
初心者には不思議すぎてよくわかりません。

新作読みました

小型株が掲載されるとのことで楽しみにしておりましたが、「日本の優良企業100選」は2作目の再掲が多く少し残念でした。(すみません)
トヨタや信越化学、3大商社やメガバンク、NTTなど有名な大型株は十分知られているので割愛しても良かったのではないでしょうか?
むしろ、中・小型株で業績や財務が良い増配企業を紹介していただけると良かったと思います。例えば、
コムシス(1721)、野村不動産(3231)、東ソー(4042)、三菱ガス化学(4182)、
日本特殊陶業(5334)、アマダ(6113)、アマノ(6436)、テイエステック(7313)、
オカムラ(7994)、蝶理(8014)、兼松(8020)、稲畑産業(8098)、
クレオス(8101)、丸井(8252)、東京センチュリー(8439)、エスリード(8877)、
センコー(9069)、沖縄セルラー(9436)、東テク(9960)
など、一隅を照らすような企業が抜けているのは残念でした。

ちなみに、最近は株主還元策としてDOEを採用する企業が増えていますが、DOE についての解説が1、2作目は無く、3作目でも無かったのは不思議でした。

また、第4章p122~p123「成長性に着目した投資戦略」について、一般的に成長株投資と言えば「PEGレシオ」が割安度を測る指標として有名ですが(本書の視点と異なるのはわかりますが)、
ピーターリンチ氏も活用しているので知識を深めるという意味で紹介していただけると良かったのではないかと思います。
成長株は下がり始めると止まらなくなることもあるので、ほったらかし長期投資を続けていると大きな含み損を抱えることにもなりかねません。
このPEG レシオと定性的な見方を融合させることで危機を回避しつつ、10倍株もねらえるのではないかと思いました。

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第3作目は未読ですが!

武道家様

Twitter拝見してます。
 いつも大変参考になります。

貴方様に倣って端株を毎月購入してます。

 積立投資の優るものはないですね!

今後ともよろしくお願いします🙇‍♀️

ありがとうございます😊

No title

3冊目の本を読みながら勉強中ですが、「筆者推奨のポートフォリオ」の債券についてお聞きしたいです。

個人向け国債変動10年が0.57%ですが、
現在SBI証券のトップページにて、ソフトバンクグループの7年社債が3.03%で掲載されているのですが、こういった企業の社債は、ポートフォリオに入れるのは危険でしょうか?

個人向け国債は、1年後に2回分の金利を払えば現金に換えられますが、社債は原本割れのリスクがあるので、現金のポートフォリオに入れるのは難しいのでしょうか?

管理人のみ閲覧できます

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Re: 新作読みました

拙著を精読いただき、ありがとうございます。
100銘柄についてはご想像と異なっていたとこのこと、また、ご記載いただきました銘柄については貴重なご意見として今後の情報発信の参考とさせていただきたく存じます。
なお、DOEについては連続増配や累進配当という視点で投資家としての目的は内包しうること、PEGレシオは高いPERを許容する理由とされがちであること、その他、書籍の構成、情報の取捨選択等を含めて、検討を重ねて現在の3作目の内容という形になっております。
何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。

Re: 迷い

非公開コメント(関西)さま

以前から小生の情報発信に関心を持っていただき、ありがとうございます。
2020年から継続的に投資を実践できているとのことで、また、保有を検討していた優待株はほぼ揃えることができたとのことで何よりと存じます。

株式の長期的な期待リターンはプラスとなりますので、継続的な投資により、今後も紆余曲折はあれども、着実に資産形成は進んでいくものと思います。

3作目が今後の資産形成に少しでもお役に立てれば幸いでございます。

Re: 第3作目は未読ですが!

恐れ入ります。

毎月の継続的な投資が実践できているとのことで、何よりと存じます。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

Re: No title

拙著を丁寧に読んでいただき、ありがとうございます。

ご質問の点、「個人向け国債」は元本割れしない、「社債」は元本割れする可能性がある、という点で大きな違いがあります。
金利上昇局面では、金利の上昇が進むにつれて債券価格は下落していきますので、「個人向け国債」と「社債」を同列に扱うことは適当ではないと認識しております。
よって、「社債」を安全資産として現金比率の中に組み込むのは、難しいと考えております。

Re: ジュンク堂池袋

非公開コメント様

ジュンク堂池袋本店まで足を運んでいただき、ありがとうございます。

今作が一番良かったとの評価をいただき光栄です。今作は完結編ということもあり、投資技術や考え方について書き残しのないように意識して執筆しており、長期的な投資技術の向上という観点からは最もお役に立てる1冊とすることができたと感じております。

また、お心遣いに感謝申し上げます。引き続き、ブログでの情報発信は続けていきたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

No title

先生有難うございます。個人向け国債の購入を検討したいと思います。

何度もすいません。個人向け国債の買い方について、宜しければお聞きしたいのですが、

一気に現金資産の50%分購入すると、1年間の資金拘束中に株の暴落が起きた場合、買い増しが弱くなるので、

1年ずらしで現金資産の25%ずつ、個人向け国債に資金を入れる作戦は問題ありませんでしょうか?

Re: No title

恐れ入ります。

個人向け国債は原則として1年間は解約できません。そのため、手元流動性を高めるために、個人向け国債への想定投資額の半分を、1年ずらして投資するという考え方に問題はないと考えます。

どうぞよろしくお願いいたします。

No title

先生ありがとうございます。

個人向け国債をポートフォリオに組み込んで行きたいと思います。来月も金利が上がりそうで、いい時期に購入できそうです。

ありがとうございました。

Re: No title

恐れ入ります。

ご参考になったということであれば幸いです。

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株式投資の未来

投資で一番大切な20の教え

千年投資の公理

バビロンの大富豪

敗者のゲーム

ウォール街のランダム・ウォーカー

テンプルトン卿の流儀

新賢明なる投資家

3冊目の著書『フルオートモードで月に31.5万円~』(Amazon リンク)

2冊目の著書『半オートモードで月に23.5万円~』(Amazon リンク)

拙著『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』

プロフィール

長期株式投資

Author:長期株式投資
1977年生まれ。『オートモードで月に18・5万円が入ってくる「高配当」株投資』の著者。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。2023年3月末に45歳で会社を早期退職。配当を主な収入源とした生活を実践中。

日経マネー個人投資家調査2023の「参考にしている人ランキング」で15位

『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資』は8万部突破

『フルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資』は3万部突破


2004年より株式投資を始める。
2010年にジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」と出会い、日本株での配当再投資を投資戦略とする。
1級FP技能士。
TOEIC940点。
空手二段。剣道初段。

税引き後手取り配当金の推移
2004年 スタート
2008年  16万円
2009年  22万円
2010年  37万円(ここから当ブログで記録あり)
2011年  45万円
2012年  52万円
2013年  63万円
2014年  78万円
2015年  83万円
2016年 102万円
2017年 121万円
2018年 150万円
2019年 180万円
2020年 201万円
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2022年 282万円
2023年 378万円

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