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発達障害支援は成功体験の積み重ね、2次障害対策、当事者性育成に重点を置き、セルフエスティームの向上を目指す。(精神疾患とその治療第11回)#放送大学講義録

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最後に、発達障害の支援の要点について少しまとめたいと思います。表の1-1-5もご覧になりながらお聞きください。発達の最大の原動力というのは、「できた」という成功体験であると私は考えています。ところが、発達障害があると1人では成功体験を積むことが難しくなってきます。よく「失敗は成功のもと」と言われますが、発達障害を持っている場合は元々うまくいかないことが多く、失敗の連続です。なので、失敗から学び、成功に転じていく、そして成功を体験していくことは非常に困難な場合が多いです。失敗が続くと、それは2次障害の元となってしまうことがほとんどです。

そこで、適切な支援を受けて成功体験を積んでいくことが発達の最大の原動力になります。発達障害の場合は、成功が発達の元ということになります。適切な支援とは、発達の特性の分析を行って、成功体験を増やしていくための戦略を練っていくことになります。ここに支援者の専門性があるわけです。ただし、支援者だけで特性の分析や戦略の立案を行うべきではありません。

なぜなら、支援の最終ゴールは、本人が自分自身の支援ができるようになること、つまり当事者性の育成にあるからです。つまり、本人や保護者と一緒に戦略を練っていく必要があります。その出発点は、最初に挙げたSOS、つまり日常生活での困りごとです。

日常生活の困りごとをSOSとして発信し、それを支援者がキャッチすることで、本人や保護者とともに特性の分析や戦略、対応の立案の共同作業をスタートさせます。そして、成功体験が増えていくことが支援の目的になります。成功体験が増えると、本人および家族の手応えが増し、セルフエスティームや自尊心が高まります。できないことだらけで失敗体験が多いと、自分の特性を振り返ることは難しいです。しかし、支援を受けて成功体験が増えると、手応えが増え、自分を振り返ることができるようになります。そうすると、自分でも自分の特性を少し理解し、それに合わせた対処行動ができるようになります。

このようにして、当事者能力が育っていきます。この繰り返しで、支援が最小限になっていくことが理想です。困った時は、自分の特性を振り返って、自分の特性に合わせた対処行動をしていくことで、対処行動のレパートリーが増えていきます。これが支援の自給自足です。しかし、それでも人生の様々なライフステージで本当に困った時、支援が必要な時は、何度でもSOSを出して良いということになります。色々な事例が頭に思い浮かびます。

 

 

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