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運動発達障害と自閉スペクトラム症の対応法、感覚調整障害への配慮、非言語コミュニケーション強化、感覚過敏対策を解説。(精神疾患とその治療第11回)#放送大学講義録

プラス面を伸ばすのは大事だなと思う。

 

-----講義録始め------

 

2番目は、運動発達障害がある子供の対応です。運動発達障害は狭い意味での発達障害には含まれませんが、発達の遅れがあって日常生活に不適合が生じているという定義には合致しますので、ここで述べたいと思います。運動発達障害の例としては、脳性麻痺を代表とする運動機能障害、あるいはダウン症などがあります。身体機能の配慮に加え、知能の遅れや2次的に生じる心理的な問題への配慮も不可欠です。毎日の生活の基本作業、子供同士の遊び、集団での一斉活動など、あらゆる場面で丁寧な配慮と支援が不可欠になります。一方で、大人ができる支援というのは積極的に行いますが、必要以上の支援が発達や特に自立の妨げになる場合もあります。支援のさじ加減を見極めて、必要な支援と不必要な支援を区分していく必要があります。なお、運動発達が遅れる病態の背景には様々な病気があります。専門機関や主治医との連携が不可欠になります。

例えば、てんかんの合併があってお薬を飲むことが不可欠な場合、あるいはダウン症の場合は心臓の病気や頚椎、首の骨の負担の軽減の問題など、様々な配慮が必要です。そういった日常生活、学校現場での必要な配慮についても、専門機関や主治医に確認する必要があります。

3番目、自閉スペクトラム症です。主な症状は、コミュニケーションや社会性の発達の遅れ、興味の偏り、こだわり、感覚調整障害です。まず、言葉や非言語を問わず、周囲との意思疎通や状況理解が苦手です。コミュニケーションのやり取りを豊かにしていくことが目標になります。

言葉が乏しく関わりが難しい場合は、子供の興味の対象を見つけ、その対象物を子供と大人が共有して遊んでいきます。最初は大人が子供に合わせ、子供目線に立ったやり取りを伸ばしていきます。非言語的なまなざしなどのコミュニケーションが十分でないと、言葉は増えていきません。言葉があるなしよりも、身振りや手振りやまなざしなど、非言語的なやり取りを豊かにしていくことが大切です。コミュニケーションが途切れずに繋がっていく楽しい時間を共有し、子供と一緒に笑い合うことが関わりの目安になります。

一方で、言葉が増えても自分だけの言葉にならないように、他者と通じ合う経験を重ねていきます。言葉はコミュニケーションの手段であることを実感してもらいます。集団場面でも分かりやすく状況の理解ができるように、時間や空間の見通しを良くする構造化を心がけます。

また、予想外のことが苦手で、予測の立ちやすいスケジュールを目で見えるように提示し、空間配置もわかりやすくします。感覚調整障害、一般に感覚過敏と言われますが、それへの配慮も不可欠です。定型発達よりも感度が高く、普通の刺激でも耐えがたく感じることがあります。特に幼児期では聴覚、触覚、味覚の過敏が目立ちます。

ざわざわした雰囲気や普段と違った雰囲気に敏感で、すぐに不安になります。苦手な刺激は無理に我慢させず、刺激の源と距離を取りながら徐々に慣らしていきます。パニックになったらその場を離れ、別のことで気持ちをそらしてクールダウンを図ります。苦手な刺激への無理はトラウマになることがあります。他にも、自閉スペクトラム症では、目に見えないこと、暗黙のルールや例え話、言葉の裏を読むこと、空気を読むことも苦手です。そういったものが「当たり前」と思わずに、子供が困っていればその都度噛み砕いた説明が必要になります。

一方で、興味の偏りやこだわりはプラスに作用する場面もあります。得意なことは積極的に伸ばし、その子の強みとして自信をつけさせていきます。成長するにつれ、表面的には問題がないように見える場合もありますが、身の回りの出来事への理解や感じ方、つまり認知は依然として独特な場合が多いです。本人がどのように感じて理解しているのかは、本人にしかわかりません。大きくなっても、それぞれの特性に合わせた支援や工夫は不可欠です。

 

 

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