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発達障害定義の変遷、平成16年制定・28年改正の発達障害者支援法、社会的障壁概念導入、多様な発達障害の分類と理解強調。(精神疾患とその治療第11回)#放送大学講義録

発達障害についての法律が出来たのは画期的であった、

 

-----講義録始め----

 

もう1つの発達障害の定義は、平成16年に制定された発達障害者支援法の中にあります。このように記述されています: 発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠如・多動性障害その他これに類する脳機能の障害であり、その症状が通常低年齢において発現するものと定義されています。 ただし、前にも述べたように、発達障害は発達の凸凹だけで発症するものではありません。先ほどの定義では、脳機能の障害があることがすなわち発達障害と解釈されがちです。しかし、そうではありません。そこで、平成28年に発達障害者支援法が改正され、社会的障壁という概念が取り入れられました。 法律では、発達障害者とは、発達障害があり、それに加えて社会的障壁により日常生活または社会生活に制限を受けるものというのが新しい発達障害の定義です。繰り返しますが、障害だけでは発達障害にならず、それを妨げる社会的障壁があることが問題とされています。 この社会的障壁は、ミスマッチや不適応という問題とリンクします。例えば、発達障害者支援法では、社会的障壁とは、発達障害のある者にとって、日常生活または社会生活を営む上で障害となるような社会における事物、制度、慣習、観念その他一切のものとされています。 例えば、障害に対する必要な配慮がなされないこと、様々な制度上の不利益、物理的なバリアフリーへの欠如、そして何よりも、障害を持つ人々や障害事態に対する差別や偏見など、様々な社会的課題が、発達障害の適応と発達を妨げています。

それでは、個々の発達障害について少し触れたいと思います。 表1-1-3に代表的な6つの発達障害を挙げてあります。ただし、重要なことは、1人1人の子どもや大人を見ると、1人が1つの発達障害を持っているということは稀です。

同一人物に複数の発達障害が併存しており、しばしば1人の中でいくつかの発達障害が合わさっていることが多いです。これを例えば、「発達障害はミックスジュースのようだ」と表現する医師もいます。

1つの要素ではなく、様々な成分が含まれています。その混在した状態を便宜上6つに分類したものが表1-1-3です。この表には6つの発達障害が記載されており、1番左の欄には診断名があります。診断名は、例えば、知的発達障害、自閉スペクトラム症など、診断名が変遷しています。最新の診断名は「知的発達障害」であり、自閉スペクトラム症は以前は広汎性発達障害(PDD)とも呼ばれていましたが、現在は自閉スペクトラム症という表現が一般的です。これら6つの発達障害は、どのような能力の発達が遅れているかによって分類されています。それらは、知能、運動能力、コミュニケーション能力、注意力、集中力、社会的学習能力、そして複数の運動や調整能力の6つの分野に分けられています。

 

 

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