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自閉症スペクトラム障害治療の目標は症状低減、学習促進、問題行動改善。効果的な介入にはABAやソーシャルスキルトレーニングが含まれる。(障害者・障害児心理学第12回)#放送大学講義録

様々な支援の方法があることを知る。

 

-----講義録始め-----

 

次は、自閉症スペクトラム障害への治療のゴールについて、今のところ、主に1. 中心的な症状、社会的なコミュニケーションと相互作用の欠如、情動反復的な行動、興味と併存的な症状の低減、2. 学習能力の促進と適応、行動スキルの獲得の最大化、3. 機能的スキルを妨害する問題行動(チャレンジングビヘイビアと呼ばれる)の改善があります。そして、治療のための介入は、教育、発達的介入、行動的介入の中で実施されます。

アメリカのナショナルオーティズムセンターは、22歳以下の自閉症スペクトラム障害者に対し、十分なエビデンスがある効果的な14の介入を紹介しています。ほとんどは、応用行動分析(Applied Behavior Analysis, ABA)によるものであり、行動心理学(Behavioral Psychology)、積極的行動支援(Positive Behavioral Support)に関連しています。発達心理学(Developmental Psychology)、障害児教育(Special Education)、言語理学(Speech-Language Pathology)による介入も増えています。

自閉症スペクトラム障害に有効な介入は、1. 行動的介入、2. 認知行動的介入、3. 包括的行動治療(幼児対象)、4. 表出言語訓練、5. モデリング、6. 自然な教授方略、7. ペアレントトレーニング(保護者へのトレーニング)、8. ピアトレーニング(友達へのトレーニング)、9. ピボタルレスポンストレーニング(PRT)、10. スケジューリング、11. セルフマネージメント、12. ソーシャルスキルトレーニング、13. 物語準拠型指導が効果的であるとされています。また、ナショナルオーティズムセンターによると、22歳以上の自閉症スペクトラム障害のある人を対象に確立されているのは、行動的介入のみです。

行動的介入とは、適応的な行動を増やし、問題行動(チャレンジングビヘイビア)を減少させる応用行動分析によるものを指します。自閉症スペクトラム障害の臨床ニーズは、認知、言語、運動動作、自立、社会性、情動、集団適応、問題行動、余暇活動、精神的ウェルビーイングなど広範囲の領域に及び、またそれらは成長に伴って変化します。幼児期が終わり学童期になっても、対人関係や社会性に関する適応や、問題行動や精神疾患の併存に対して、その都度状態に合わせた支援が必要になります。

自閉症スペクトラム障害に対する最もポピュラーな行動的アプローチは、応用行動分析によるものです。応用行動分析は、社会的に重要な行動を改善するために行動原理を組織的に応用し、実験を通じて行動の改善に影響した変数を同定する科学と定義されています。臨床的には、応用行動分析は教えるための技術であり、教える内容は対象者によって異なります。

就学後以降の応用行動分析によるアプローチは、学習のための教育的アプローチと、問題行動や併存症に対する治療的アプローチに大別できます。教育的アプローチには、読み書きを含む各教科の指導、学校適応のための社会的スキルの指導、家庭生活スキル(食事、着替え、入浴、清掃、金銭管理など)や、地域生活スキル(介護、公共施設の利用、交通機関の利用、地域行事への参加など)への指導が含まれます。応用行動分析の基本的技法には、タスクアナリシス、チェーン化、システマティックプロンプティングとフェーディング、ディスクリートトライアルトレーニング、ビデオモデリングなどがあります。

また、攻撃行動、自傷行動、破壊的行動などの問題行動(チャレンジングビヘイビア)に対しては、機能分析と機能的コミュニケーショントレーニングによる適切な代替行動を教えるアプローチが効果を上げています。

 

 

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